リバースモーゲージってなに?特徴やメリット・デメリットを紹介
※2021年9月現在
「老後の医療費や生活資金に不安がある」
「年金生活だけど、もう少し今の暮らしを豊かにしたい」
「今住んでいる家をもう少し快適な家にリフォームしたい」
このような悩みや不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そんななか最近ニュースでも話題になっているのが『リバースモーゲージ』という、今住んでいる自宅を担保に老後の資金を借りられるローン商品です。
今回は、このリバースモーゲージという商品について特徴や商品の善し悪し、おすすめしたい人について詳しく解説していきます。
コラムのポイント
・リバースモーゲージの特徴を理解すると老後の資金問題を解決するヒントになります。
・リバースモーゲージ型住宅ローンのメリット・デメリットを理解することができます。
・このコラムを読むことでリバースモーゲージ型住宅ローンに向いている人が分かります。
− contents −
◼ リバースモーゲージの特徴を解説
◼ リバースモーゲージを利用するメリット
◼ リバースモーゲージを利用するデメリット
◼ リバースモーゲージ型住宅ローンがおすすめな人
◼ リバースモーゲージ型住宅ローンの注意点
◼ リバースモーゲージでゆとりある老後の暮らしを送ろう
リバースモーゲージの特徴を解説
リバースモーゲージとは現在住んでいる自宅に住み続けながらその自宅を担保に生活資金を借りることができ、借入人が死亡した際に担保である自宅を処分し、借入金を返済する仕組みです。リバースを直訳すると「逆」モーゲージは「抵当・抵当権」という意味になります。
一般的な住宅ローンは、最初に借り入れた融資額を月々決まった額で返済し、最終的には借入金の残高が0になるような仕組みです。一方、このリバースモーゲージは「毎月」あるいは一括で借り入れた額の残高を「最後にまとめて」返済する仕組みとなっています。
そのため、従来とは「逆(リバース)」の住宅ローンの仕組みとなるため、そのように呼称されるのです。
住宅を購入する際住宅ローンを組む人は多いですが、購入時(ローンを組むとき)の年齢が35歳だとするとローンを返済し終わるのは60歳〜70歳前後となります。しかし、年齢を重ねていくうえですべての人が健康を維持できるとは限りません。
老後の生活資金を年金収入でまかなうのであれば、定年後の住宅ローン返済との兼ね合いで生活資金のやりくりが困難になることもあるでしょう。そこで生活の助けとなるのが「住宅ローンからリバースモーゲージへの借り換え」です。
リバースモーゲージを利用するメリット
リバースモーゲージを利用するメリットには以下のようなものがあります。
メリット①
リバースモーゲージの一番のメリットは「毎月の支払いが利息のみ」であることです。これによって通常であれば毎月の返済元金+利息であることと比較しても、大幅に支出を減らすことができます。
メリット②
元金の返済方法は借入人が死亡した時点で「現金一括」「自宅の売却」のいずれかを選択できます。そのため、返済方法によっては家を残したままにすることも可能です。
メリット③
借入人が配偶者より先に死亡しても契約を引き継ぐことが可能であることが多いです。そのため、配偶者の居住についてのリスクを回避することができます。
メリット④
元々の預金・退職金などをある程度残しておけば居住環境を確保しつつ、老後資金の減少を遅らせることができるため、余裕を持った老後の生活を送ることができます。
リバースモーゲージを利用するデメリット
一方、リバースモーゲージのデメリットには以下のようなものがあります。
デメリット①
借入人が長生きすればするほど最初に設定された融資の限度額まで資金を使ってしまうことになります。
デメリット②
借入人が生存中に土地や建物の価値が落ちてしまうと、融資額の見直しをされてしまうことがあります。
デメリット③
変動金利であるため、金利の変動に伴うリスクが生じます。
リバースモーゲージ型住宅ローンがおすすめな人
リバースモーゲージは老後の生活に余裕をもたせたい人などにおすすめです。また、以下に紹介する人もリバースモーゲージが適しているため、ぜひ検討してみてください。
老後の資金確保に悩んでいる人
ある程度資産価値の高い自宅があり住むところには困らない一方で、預貯金があまりなく老後に使える生活資金に不安がある人は多いでしょう。たとえば社会福祉協議会のリバースモーゲージでは、世帯人の収入が非課税世帯程度といった条件があり、実際には利用できない人も多いです。
そのような人におすすめなのがリバースモーゲージ型住宅ローンとなります。自宅に住みながら生活資金を増やせ、返済は死亡時に現金か自宅を売却することで可能であるため、安心して老後の生活を送ることが可能です。
老後の資金はあるけどいざというときにとっておきたい人
老後の資金はある程度確保できているが、いざというときの備えとしておきたい人もいるでしょう。定年後に旅行や趣味など有意義に過ごしたいなど、目的はさまざまです。
そのような人もリバースモーゲージ型住宅ローンを利用することで老後生活中の資金減少を抑えることができるため、おすすめとなるでしょう。
相続人がいないため今の暮らしを充実させたい人
相続人がいなかったり自宅を残しておく必要がないのであれば、リタイア後の生活を有意義なものとし、老後の資金の心配をしない生活を送ることも可能です。
そのような人はリバースモーゲージ型住宅ローンを利用することで、老後資金を確保しつつ、返済は自宅の売却で済ませることができます。ただし、一人でも子供がいる場合には必ずリバースモーゲージを利用する前に同意を得ることを覚えておきましょう。
住宅ローンの返済を楽にしたい人
リバースモーゲージ型住宅ローンは住宅ローンからの借り換えが可能です。返済方法が大幅に変わり、月々の返済額は元金の利息のみとなります。
そのため、返済元金の分を生活資金や娯楽などに充てることが可能です
老人ホームでの暮らしを検討している人
子供が遠くに住んでいたり自宅で暮らすよりも、老人ホームで誰かが世話をしてくれる生活を望む人であれば自宅を残しておく必要はありません。
老人ホームの入居費用は高いことが多いので、リバースモーゲージ型住宅ローンで返済額を減らすことができればまとまった資金を入居費用に充てることが可能です。
自宅を売却した費用で入居費用を確保することも可能ですが、年に何度かは家族が集まれる場所を残しておきたいと考える人もいるでしょう。そのため、家を残しつつ資金面に余裕を持たせることができるというリバースモーゲージの特徴を活かすことができるのです。
リバースモーゲージ型住宅ローンの注意点
リバースモーゲージ型住宅ローンという商品は、社会福祉協議会や住宅金融支援機構のリバースモーゲージの仕組みをベースに、借入条件や使い勝手を取り幅広くしたものです。
社会福祉協議会が扱うリバースモーゲージは住居に住んでいる世帯人「全員」が65歳以上であることが条件となっています。しかし、リバースモーゲージ型住宅ローンでは55歳〜60歳以上の人が対象だったり、りそなや三井住友のように50歳以上からの申し込みができるところもあるのです。
金融機関にもよりますが、リバースモーゲージ型住宅ローンには「リコース型」と「ノンリコース型」の2種類があります。
リコース型はローンの残債を相続人が負担し、ノンリコース型はその必要がありません。そのため、一般的にノンリコース型のほうが金利は高いです。また、その他の注意点としては以下のようなものがあります。
①.利用できる物件のエリアに制限があることが多い
②.月々の利息返済額が変わりやすい(リスクになることも)
③.通常の住宅ローンと違い団体信用生命保険に加入することができない
④.担保となる物件の価値の下落により途中での返済が必要になることもある
特に④については注意が必要です。多くは担保評価額の50〜60%が貸付限度額ですが、数年ごとの評価の見直しに合わせてこの限度額についても見直しが行われます。その際、それまでの借入額が限度額を上回ってしまうと、上回った分、あるいは残高すべてを返済する必要があるのです。
リバースモーゲージでゆとりある老後の暮らしを送ろう
リバースモーゲージを利用することで今の家に住み続けながら老後の資金を確保することができます。返済は借入人の死亡時に現金あるいは自宅を売却することで行われるため、月々の支出を抑えることができる、大変便利な仕組みといえるでしょう。
金融機関によっては50歳以上であれば申込可能であるため、早いうちから老後の資金計画を立てることができ、資金面でも精神面でも余裕を持つことができます。ただし、相続人がいる場合には必ず同意を得ることも重要です。
今回の記事を参考に、老後資金に不安がある人や家の処分をどうするか迷っている人は、リバースモーゲージという新しい仕組みを利用してみてはいかがでしょうか。