狭小住宅を住みやすくするアイデア

人口が密集し、土地の価格が高額な都心部では、狭小敷地に建てる狭小住宅を選択する人が増えています。

狭小住宅では、狭いという制限の中で、十分な居住面積と、快適な室内環境を調える為に、様々な設計上の手法やアイディアが必要とされます。

具体的に狭小住宅とはどのような住宅なのか、またその狭小住宅を快適な住まいにする為にはどのような工夫が必要なのかということについて考えていきましょう。

狭小住宅とは

狭小住宅とは、10坪弱~20坪以下の土地に建てられる住宅のことです。都内で一般的な戸建ての住宅を建てようとすると、郊外の一般的な広さの戸建て住宅よりも高額な費用がかかります。

一般的な戸建て住宅とは郊外であれば40坪前後、都心部であれば30坪前後の広さの家です。国土交通省がまとめた都市居住型誘導居住面積水準の単身者 40 ㎡、2人以上の世帯 20 ㎡×世帯人数+15 ㎡を満たす広さでもあります。

しかし、平成28年に行われた国税庁民間給与実態統計調査では、30代の平均的な年収は400万円~430万円、40代では450万円から500万円弱、夫婦共働きの家庭の世帯年収は、30代で559万8024円、40代で647万9040円という結果が出ています。

この2つの調査結果を合わせてみると、平均的な年収の家族が都心部に30坪の家を建てることは難しいと考えられます。そこで、どうしても都心部の利便性を捨てきれず、狭小敷地に建てる狭小住宅を選択する人が増えているのではないでしょうか?

都心部の立て込んだ地域では、整形地を2分割して販売する、道路整備がされない時代からの家が建ち並んでいるというような環境が少なくありません。その結果、狭小なだけではなく、三角形や平行四辺形のような変形敷地、間口が狭く、奥が広い旗竿地なども存在します。このような土地は整形地より価値が下がる為、狭小地の中でもさらに低額で購入できます。

しかし、敷地を低額で購入できる分、そこに建てる住宅には様々な問題があります。具体的には、家族で暮らす場合、平屋や2階建てでは十分な居住面積が確保できないこと、周辺を建物で囲まれている為に日当たりや風通しが悪くなる恐れがあること、それらの問題点を克服しつつ、耐震性を高める為に建築費が割高になることなどがあげられます。

その為、狭小住宅には様々な設計上の手法やアイディアが求められるのです。

暮らしやすさを作る間取りの工夫

狭小住宅を快適で暮らしやすい家にする為の間取りの工夫について考えてみましょう。

■ 無駄な空間を作らない 廊下や広い玄関ホール、無駄な収納スペースなどを極力省きます。

■ 兼用できる空間を増やす ダイニングとリビングを兼ねる、子供部屋や書斎を作らず、リビング内や階段の踊り場に勉強コーナー、書斎コーナーを設ける、ロフトを活用して子供のベッドを作るなどの工夫が必要です。

■ 居住面積を確保する 3階建て、4階建てにする、地下室を作るなどの方法で、必要な床面積を増やします。また、郊外の住宅のように2階を1階より小さくするというようなことをせず、総二階建てにして床面積を減らさないようにします。

■ 空間を縦に広げる 日当たりと風通しを良くする為には吹き抜けを作って縦の空間を広げる方法が有効です。吹き抜けには、狭さから生じる圧迫感も解消し、開放的な空間を作るという利点もあります。

■ 空間を横に広げる 中2階、中3階を造るスキップフロアという手法を採り入れ、空間を横に広げます。段差によって緩い区切りができるので、横の空間が広がり、間仕切壁を無くすことができます。その結果、日当たりと風通し、視線の抜けが実現し、広々とした空間が実現します。

■ プライバシーを守る 狭小敷地では隣家や道路との距離が近く、光と風を採り入れる為に設置した窓が使えないことがあります。道路や周辺の家からの視線が気になるからです。その為、狭小住宅では、周辺の環境を十分考慮して、窓の位置と大きさ、開閉方法を選ばなくてはなりません。

■ 出入口を減らす 玄関、トイレ、浴室にはドアが必要です。しかし、それ以外の場所では間取りの工夫でできるだけ空間を繋げることが狭小住宅での生活動線をスムーズにします。どうしてもドアが必要である場合には、引き戸の方が場所を無駄にしません。

狭小住宅の間取りを大きく左右する収納スペースの在り方

家の中が狭いとどうしても散らかった部屋になりがちです。その為、狭小住宅では収納スペースが部屋をすっきりさせる為の要素となります。しかし、収納スペースは数多く作れば良いというものではありません。いつの間にか部屋が片付くという収納スペースが必要なのです。数多く作れば、大事な床面積も週のにとられてしまいます。理想の収納スペースについて確認しておきましょう。

ウォークインクローゼット、又はウォークスルークローゼット
収納は各部屋に作らず、大型のクローゼットを玄関やリビングに作ります。そして大事なことは、家族の生活動線にあった位置に設置されていること、収納する物のサイズに合った間口と奥行きであることです。

例えば、子供のいる家庭の主婦の悩みの一つに玄関とリビングがいつも散らかっているというものがあります。これは、収納スペースが適切な位置にないからです。子供は帰宅すると、リビングで過ごすことが多いと思います。そしてリビングは玄関の近くにあります。もし子供の上着や荷物をしまう収納スペースが子供の部屋にあった場合、子供はわざわざ荷物を置きに行くでしょうか?多くの子供はリビングに置きっぱなしにします。その結果、リビングが散らかってしまうのです。また二世帯住宅では、親夫婦がお客様をお迎えする時に、孫たちの靴が玄関い散乱していて恥ずかしい思いをすることがあります。

これらの問題は、帰宅した家族がしまいやすい場所に収納スペースがないためにおこります。リビングに、家族が使える大型クローゼットがあれば、リビングに荷物が散乱することは避けられます。ドアのないウォークスルークローゼットにすれば、小さな子供でもリビングで遊んだおもちゃを自分でしまう習慣がつけられます。玄関にはシューズクローゼットの他に、コートや傘、子供の三輪車などがしまえる土間収納があれば、いつもすっきりした玄関が維持できます。

反対に使い勝手の悪い収納スペースを作ってしまうと、大切な空間の無駄使いになってしまいます。奥行きが深すぎて奥の物が取り出しにくい、間口の寸法が足らず、衣装ケースが入らないなどのサイズ的な問題のある収納スペース、わざわざしまいに行くのが面倒な位置にある収納スペースは、使い勝手の悪い収納スペースです。収納スペースのプランを作る際には、具体的に収納する物の種類と大きさ、使用頻度、家族の生活動線を考慮することが大切です。

デッドスペースを利用する収納スペース
間取りを作っていく上で、必然的にできてしまうデッドスペースを利用して収納スペースにする方法です。階段やスキップフロアの段差の下、階段の踊り場など、デッドスペースの形状に合わせて使いやすい収納スペースに変えます。この場合も用途を具体的に考えて、内部の棚の高さを考えないと、使いにくい収納スペースになってしまうので、注意が必要です。

見せる収納スペース
壁面を利用した収納スペースは、インテリア性を上げる為にも役立ちます。壁面の収納スペースには物を詰め込み過ぎると圧迫感が出てしまいます。見た目重視の収納スペースとして考えましょう。

狭小住宅は、間取りと収納の工夫で暮らしやすく、快適な家にできます。間取りのプランを考える時に、視覚的なイメージだけにとらわれす、家族のライフスタイルを十分考慮し、具体的に家族構成、家族の生活動線、家事動線、収納する物の大きさと種類、家具の位置と大きさなどを想定することが大切です。

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