首都直下地震で津波は来る?高さや範囲、到達時間も解説│家族の暮らしを守る対策も紹介

「首都直下地震が起きたとき、東京に津波は来るのか」
こうした不安を抱える方は少なくありません。
内閣府の被害想定によると、首都直下地震による死者は約1.8万人、経済的損失は約83兆円にのぼるとされています。
死者の約3分の2を火災が占める一方で、沿岸部に居住する方を中心に津波のリスクは無視できるものではありません。
そこで本記事では、津波の高さや到達時間、浸水範囲、住まいへの対策まで、公的データを参照しながら解説します。
Contents
首都直下地震で津波は来るのか

首都直下地震とは、南関東を中心とした地域で発生する、マグニチュード7前後の規模で発生する直下型地震を指します。
内閣府では「都心南部直下地震(M7.3)」や「東京湾直下地震(M7.3)」など、複数のシナリオを想定しています。
「直下型地震では津波は発生しない」と認識している方もいらっしゃいますが、実は正確ではありません。
首都直下地震の想定でも津波の発生は考慮されています。
ただし、その規模は比較的小さく、堤防や水門が正常に機能した場合には浸水被害は発生しないと想定されています。
一方で、東京が警戒すべき津波には、相模トラフ沿いで発生する「海溝型地震(大正関東地震タイプなど)」によるものもあり、こちらは大きな浸水被害をもたらす可能性があります。
本記事では、これら異なるタイプの地震による津波リスクをそれぞれ解説します。
関連記事:【首都直下型地震で助かるには?】いつ来る・どう備える
※海溝型地震:海のプレートの移動に引き寄せられた陸のプレートが、限界に達して跳ね返ることで起きる巨大地震。
首都直下地震による津波の高さ・到達時間・浸水範囲
首都直下地震では、津波の高さや到達時間、浸水範囲が予想されています。
それぞれ、どういった想定がされているのか確認しましょう。
①津波の高さ│東京湾内1m以下
東京湾内では、都区部直下型の地震が発生した場合の津波高さについて「1m以下」と想定されています。
ただし、東京湾内を震源とする「大正関東地震」や「想定できる最大クラスの地震」の発生時には、東京湾内で2~3mになる可能性も指摘されています。
東京湾内の防潮堤は、過去最大級の高潮にも耐えられるよう整備が進んでおり、その高さは東京湾平均海面(T.P.)を基準として概ね+5m以上が確保されています。
しかし、地震の揺れによって堤防が損傷したり、水門が正常に機能しなかったりすれば浸水リスクは高まります。
※東京湾平均海面(T.P.):東京湾の平均的な海面高さ。土地の高さを測るための基準となる。
②津波の到達時間│最短10分以内(地域によって大きく異なる)
波の高さに加えて注意が必要な点は、到達時間の短さです。
東京湾の臨海部では、以下のとおり津波の到達時間が予想されています。
- 静岡県・千葉県・茨城県太平洋沿岸地域:約10分~
- 静岡県・千葉県・茨城県の一部:約20分~
- 東京都・千葉県・神奈川県の東京湾臨海部:約30分~
※最大クラスの地震の場合
最短で津波が到来した場合、津波に関する警報が届いてから避難しては被害に遭う可能性がある点に注意しましょう。
③海溝型地震での「津波高さ」想定│東京23区のうち6区
首都直下地震(直下型)とは別に、東京が警戒すべきなのが相模トラフで発生する「海溝型地震」です。
ここでは、その代表例である「大正関東地震タイプ」の地震が発生した場合の、海岸部における津波の高さの想定を紹介します。
本想定では、以下の6区で浸水被害が予測されています。
| 区 | 想定津波高さ(m) |
| 江戸川区 | 2.00 |
| 中央区 | 2.12 |
| 江東区 | 2.22 |
| 港区 | 2.00 |
| 品川区 | 2.01 |
| 大田区 | 1.85 |
これらは「津波そのものの高さ」であり、東京都のシミュレーションでは「防潮堤や水門が正常に機能すれば、23区内の市街地での浸水は発生しない」とされています。
一方で、「液状化による堤防の破壊・沈下」や「水門の閉鎖不能」が起きた場合には、ゼロメートル地帯を中心に浸水が広がる可能性も併せて指摘されています。
津波到達まで時間の猶予がない場合など、万が一に備えて垂直避難(3・4階建て)ができる家であれば安心につながります。
関連記事:東京湾の津波はどこまで届く?23区のシミュレーションを確認
首都直下地震における「河川津波」の脅威
東京の津波に関するリスクは海岸線に限りません。
荒川や隅田川などの大きな河川を通じて内陸部に津波が遡上する「河川津波」が発生する可能性もあります。
特に東京の地下鉄や地下街に河川津波が流入した場合、短時間で水没するリスクがありますので、「海から離れているから大丈夫」とは思わず、危険性を認識しなければいけません。
津波ハザードマップの確認が重要に
居住するエリアのリスクを具体的に把握するためには、ハザードマップの確認が欠かせません。
首都圏においては具体的には、以下2つのツールを活用しましょう。
- 東京都「被害想定デジタルマップ」:複数のシナリオから選択し浸水深などを確認できる
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」:浸水想定や液状化リスク、指定避難所などを重ねて表示できる
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津波リスクがあるエリアで暮らすための住宅設計

【練馬区】1階ビルトインガレージで浸水時も安心な3階建て注文住宅の事例
地震や津波に伴うリスクを最小限に抑えるためには、過ごす時間の長い「自宅の建物に対する工夫」が重要になります。
具体的に、次の5つの方法を検討して地震や津波に備えましょう。
地震災害に強い家づくりに取り組む
津波から命を守る第一歩は、「地震の揺れで家が倒壊する事態を防ぐこと」です。
建物が倒壊、または大規模な損傷を受ければ、避難行動を取ることは困難になります。
たとえば、現行の耐震基準の1.5倍の耐震性を持つ「耐震等級3」の仕様に基づく設計は有効です。
加えて揺れを吸収する「制震技術」の導入など、さらなる地震対策を検討することをおすすめします。
関連記事:【地震に強い家の特徴】形や構造、コストを抑えて耐震性を高める方法
標高や地形から浸水リスクの低い土地を選ぶ
家を建てる土地から探している方は、以下のように土地選びの段階で被災するリスクを下げることが根本的な対策になります。
- ハザードマップで津波浸水想定域の外にあること
- 海抜・地盤高が十分にあること(ゼロメートル地帯を避ける)
- 最寄りの津波避難施設まで至近であること など
東京23区では、台地上のエリアなど標高の高い地域が相対的に津波リスクが低くなります。
また、切土や盛土、液状化リスクを含めて総合的な土地評価を検討しましょう。
関連記事:【水害に強い家】実現する6つの方法
垂直避難を考慮して「3階~4階建て」を選ぶ
津波の到達予想まで数分という地域では、高台などに避難する時間を十分に確保できない可能性もあります。
このとき有効になるのは「垂直避難」の考え方です。
自宅の上階に逃げれば、1階層につき2~3mの高さを確保可能です。
河川が近い土地の場合は、3~4階建ての住宅を選ぶことが実質的な津波対策として機能します。
さらに、屋上を避難場所として活用できる設計にすればより安心です。
災害時、傾斜がある屋根の上に乗って不安定な状態で救助を待つニュース映像を目にすることもありますが、平らな屋上(陸屋根)があれば、救助を待つ際も安定した足場を確保でき、精神的なゆとりにもつながります。
津波や河川からの洪水、大雨による内水氾濫対策としても陸屋根は有効です。
また、浸水対策としては止水板が有効です。
シンプルかつ、導入コストも安価ですので、災害対策としておすすめです。
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高基礎、ビルトインガレージなど高さで対策する
1階の床面を地面よりも高く設計する「高基礎」も、少量の浸水による生活、自宅への影響を軽減する効果があります。
また、1階をビルトインガレージとして活用することも、主要な間取りが浸水しないことから、万が一自宅が被災した場合の被害を最小限に抑える方法として効果的です。
被災後の生活を支える設備を導入する
地震や津波の後もライフラインが途絶えた状態で生活できる(自宅避難)状態を保つことは、住宅に求められる重要な性能のひとつです。
たとえば、以下の設備が有効です。
- 太陽光発電+蓄電池(停電時の電力を自給する)
- 耐震性の高い貯水タンク(断水時の飲料水を確保する)
- オール電化設備(ガス管損傷の影響を受けない)
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今すぐできる地震と津波に備える対策

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自宅に地震や津波対策を講じることのほか、避難経路の確認などのソフト面での対策を施すことも有効です。
以下のような対策は今日からでも始められますので、地震や津波に不安を感じる方は検討してみましょう。
- ハザードマップで確認した避難場所、津波避難ビルまでの経路を実際に歩いて確かめる
- 非常用持ち出し袋を用意し2階以上に保管。川・海近くではライフジャケットも準備する
- 災害用伝言ダイヤル(171)の使い方などを家族で確認し、集合場所と連絡方法を取り決める など
まとめ│正しい知識と住まい選びで家族の命を守る

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首都直下地震による津波リスクを中心に、被災想定や具体的な対策をご紹介しました。
東京湾内では、首都直下地震による津波での浸水被害は想定されていません。
しかし、大正関東地震のような海溝型地震が発生した場合には、最大で2mを超える高さの津波が想定されており、異なる種類の地震リスクとして備える必要があります。
このため海抜ゼロメートル以下の地帯も多い東京都では、臨海エリアを中心に対策が必要となります。
特に家づくりの最中は効果的な地震・津波対策を施すチャンスとなりますので、家族の命と財産を守るために具体的な対策を施しましょう。
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