内水氾濫と外水氾濫の違いとは?家庭でできる対策、ハザードマップの確認方法など解説
「外水氾濫と内水氾濫の違いが知りたい」
「内水氾濫が発生した場合に備えて、家庭でも取れる対策について知りたい」
本記事は、こうした希望を持つ方に向けて、そもそも内水氾濫、外水氾濫とは何か、また特に内水氾濫について具体的な対策についてもお伝えします。
事前に備えることで、ご自身やご家族の命や財産を失う可能性を抑えられます。
個人でできる具体的な対策を把握しましょう。
内水氾濫とは?
内水氾濫とは、降雨を適切に河川や海に流すことができず、側溝や排水溝などから雨水があふれ出すことで発生する洪水を指します。
- 市街化の進行によりコンクリート、アスファルトの面積が増えたこと
- ゲリラ豪雨や線状降水帯など短時間に大量の雨が降るケースが増えたこと
- 排水機場など排水施設の運転停止により適切に排水できないこと
こうした理由で堤防の内側(市街地側)から洪水が発生するケースが近年増えています。
関連記事:都市型水害とは?5つの対策を解説
外水氾濫とは?
外水氾濫とは、河川の水が堤防を越えることなどによって、河川や海の水が市街地に流れ込む水害を指します。
河川や海などの水が流入することから、河川や海の近くにお住まいの方が特に注意するべき水害です。
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内水氾濫が起きやすい場所の条件
内水氾濫が発生しやすい場所の条件は、以下の2つです。
- 周囲と比べて標高の低い場所
- 水路や下水の処理水が河川に流れ込む地点の周辺
周囲と比べて標高の低い場所は、降雨が集まりやすくなることから氾濫が発生するケースが増えます。
また、水路や下水道の排水先となる河川の流量が増えている場合は、水位の問題から排水できず逆流してしまうケースもあります。
内水氾濫の危険性を確認
ご自宅などが内水氾濫に遭遇した場合、次のような危険性がありますので把握しておきましょう。
川以外の場所でも発生する
内水氾濫は、水路や下水道を利用した排水が妨げられることや、流下能力を超えた場合に発生します。
このため、河川や海の近く以外の場所でも発生する危険性がある点が特徴です。
また、局所的に発生することから避難指示などの情報が遅れる可能性がある点にも注意が必要です。
側溝やマンホールなどへの転落
内水氾濫が発生した場合、水路や下水が逆流している可能性があり、マンホールなどのフタが外れる、排水溝の場所が見えにくくなる、といった危険性があります。
気づかずに足を踏み入れると吸い込まれる危険性もありますので、移動中の被災に注意しなければいけません。
配電設備の浸水による停電
内水氾濫によって自宅の配電設備などが浸水した場合は、停電が長期化する危険性もありますので注意が必要です。
自宅の配電設備に加えて、電力事業者の設備が被害を受けて停電が長期化する可能性がある点も把握しておきましょう。
すぐに取り組める内水氾濫への対策
首都圏など都市化された地域で発生する危険性の高い内水氾濫、事前に対策を取ることで人的、物的な被害を抑えられます。
はじめに、すぐに取り組むことのできる内水氾濫への対策を紹介します。
ハザードマップを利用したシミュレーション
1つ目は、ハザードマップを利用して内水氾濫が発生した場合についてシミュレーションすることです。
内水氾濫が発生する可能性のある自治体では、次のように内水氾濫を含めたハザードマップを作成しています。
ハザードマップを参照すると、地点ごとの浸水深さを確認できますので、どういった対策を取ればよいのか方針を検討できます。
また、家を建てる際は後ほど解説する垂直避難ができるよう配慮して家を建てることも重要です。
迅速な避難ができるよう荷物をまとめる
2つ目は、迅速に避難できるよう荷物をまとめておくことです。
内水氾濫が発生する可能性のある地域に住む場合、いつ内水氾濫が発生するか具体的なタイミングが分からないことから万が一に備えて準備が必要です。
- 避難の際に使用する食料や日用品の準備
- 万が一流出すると困る貴重品類の持ち出し準備
こうした備えを事前にすることが重要です。
避難所に早めに避難する
3つ目は、避難所への早めの避難です。
内水氾濫は大雨が降ったとき、排水能力が不足する場合に発生します。
このため雨の降り始めの時点から早めに避難することで、人的被害に遭遇する前に避難所に退避することが可能です。
こちらの図のとおり、自治体から「高齢者等避難」や「避難指示」が発令された段階などから避難すれば、内水氾濫による人的、物的被害を避けられる可能性があります。
垂直避難(3階、4階や屋上など)
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4つ目は、3階や4階、屋上など高い位置に避難する、垂直避難です。
道路を使用して高台などに避難することを水平避難と言いますが、対照的に上方向に避難することを垂直避難といいます。
浸水によって被害を受ける可能性が高い1階、2階を避け、より高い位置に避難することで被害の軽減が可能です。
関連記事:垂直避難とは?水平避難との違い、その他の備えも紹介
側溝や排水溝の掃除
5つ目は、側溝や排水溝の掃除です。
内水氾濫が発生する理由のひとつは、降雨を適切に河川に流せないことです。
排水を担う側溝や排水溝が詰まり、排水不良を起こさないように大雨の予報が出た場合は、雨が降り始める前に掃除することをおすすめします。
土のう、水のうの準備
6つ目は、土のうや水のうを準備することです。
土のうや水のうを利用してバリケードを作れば、敷地内、または建物内への浸水の発生を防げます。
また、水のうをトイレに詰めるなどして、下水道を通じた逆流を防ぐことも重要です。
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家づくりの際に取り組める内水氾濫への対策
続いて、注文住宅を建てるときなど、家づくりの際に取り組むことのできる内水氾濫への対策を紹介します。
3、4階建てや屋上のある家を建てる
【東京都江東区】万が一の際に垂直避難に活用できる屋上空間の事例
1つ目は、3、4階建てなど高さのある建物や、屋上のある家を建てることです。
内水氾濫に遭遇した場合でも、3、4階や屋上といった十分な高さのある場所に逃げ込めれば、人的被害や貴重品の流出といった被害を避けられます。
1階をピロティ構造にする
2つ目は、1階部分を駐車場として整備するなど、ピロティ構造にすることです。
ピロティ構造とは、主に柱で構成される間取りで、万が一内水氾濫があった場合でも、木部が浸水する事態を避けられ被害を軽減できます。
狭小地になりがちな都内で駐車場を確保することもできますので、土地価格の高い地域で家を建てる場合におすすめの方法です。
関連記事:注文住宅のガレージハウスとは?特徴や間取りのポイントを解説
塀を立てるなど外構工事での対策
3つ目は、塀を立てることなど外構工事で対策することです。
建物の周囲を塀で囲むことで、内水氾濫が発生した場合に浸水する経路を限定することができ、建物が浸水する危険性を抑えられます。
自宅での発電設備、蓄電池の導入
4つ目は、太陽光発電システムや蓄電池を導入することです。
内水氾濫の発生時、送電システムが損傷を受けるなどして停電が長期化する可能性があります。
太陽光発電システムや蓄電池があれば、地域の送電網が損傷を受けた場合でも、自宅で発電、蓄電して家電を使用し続けることができます。
遠隔地避難できる拠点を設ける
5つ目は、遠隔地避難できるよう2つ目の拠点を作ることです。
離れた場所に拠点があれば、自宅が内水氾濫で被災した場合でも、もう一方の拠点に避難することができます。
特に事業を営んでいる方は、2つ目の拠点でも活動できることが収入が途絶えることを防ぐためのリスクヘッジにもなりますので、災害対策として複数の拠点を作ることを検討してみましょう。
関連記事:デュアルライフとは?二拠点生活の特徴解説
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まとめ│内水氾濫は発生前に備える
「内水氾濫と外水氾濫の違いは何ですか?」
「家庭でできる対策はありますか?」
こうした疑問にお答えしました。
内水氾濫は河川から遠い場所でも発生する可能性があることから、近くに水が流れていない地域に住んでいる方も気をつける必要があります。
すでに家を建てている方、これから家を建てる方で内水氾濫に不安を感じている場合は、まずはハザードマップを確認してどの程度まで浸水する可能性があるのか把握することをおすすめします。
その上で、間取りや仕様、垂直避難の検討など具体的な対策を考えましょう。
都内で水害に強い住まいづくりを検討している方は、地震や水害に強い家の施工実績が豊富なクレバリーホーム東京まで、お気軽にご相談ください。