耐火性能とは?耐火性のある建築物の確認方法、求められる地域や住まいの特徴も解説
「耐火性能とは?耐火性のある建築物の確認方法はありますか?」
こうした質問を頂くことがあります。
都市部など隣家との距離が近い地域では、万が一火災が発生したときに備えて耐火性能を高めたい方は多いでしょう。
そこで本記事では、耐火性能の高い家とはどういった住まいなのか紹介します。
建築中や建築後に耐火性の有無を確認したい方のために耐火性能の確認方法も紹介しますので、火災に対して不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
耐火性能とは?
耐火性能とは次の3つの要素を満たす建物を指します。
- 火災に遭遇した場合に倒壊しないこと
- 他の建物から自宅に火が燃え移りにくいこと
- 自宅から他の建物に火が燃え移りにくいこと
自宅が火災の被害に遭遇した場合、避難するまでに十分な時間だけ建物の倒壊を防ぐことができれば、火災による命の危険からご自身やご家族の身を守れます。
また、周囲の建物から火災が発生した場合は、自宅に燃え移る「類焼(もらい火)」を防ぐために、火熱を受けてもすぐに燃焼が始まらないよう対策が必要です。
自宅が火元となった場合は、他の建物に燃え移る「延焼」を起こさないよう、対策を検討する必要があります。
こうした特徴を持つ住まいが耐火性の高い家といえます。
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耐火性能5つの種類を紹介
耐火性能は公的に認められる、一定の基準が存在します。
どういった目的があり、どのような基準なのか確認しましょう。
耐火建築物
耐火性能について最も厳しい分類は、耐火建築物です。
耐火建築物は建築基準法で定められていて、主に以下2つの性能が求められます。
- 避難するまでの間、倒壊しないこと
- 近隣の建物へ延焼被害を及ぼさないこと
また、目的を達成するために主要構造部を耐火構造とすることや、延焼ラインに含まれる開口部(玄関ドアや窓など)を防火設備にすることなどが求められます。
主要構造部とは、壁や床、柱や梁、階段といった、避難する際に必要な箇所を指していて、火災時も定められた時間だけ損壊しないことで適切に避難できるようになります。
また、隣地境界線から1階は3m、2階以上は5mの範囲が定められる延焼ライン(建物同士で延焼を起こしやすい範囲)に火が燃え移ることを防ぐ防火設備を設置することで、火災の拡大を防ぎます。
準耐火建築物
耐火建築物に次いで厳しい分類は、準耐火建築物です。
準耐火建築物も建築基準法で定められる基準で、主に1つの性能が求められます。
- 近隣の建物へ延焼被害を及ぼさないこと
また、延焼被害を防止するため主要構造部を準耐火構造にすること、延焼ラインに含まれる開口部に防火設備を利用することなどが求められます。
関連記事:『耐火・準耐火の違い』を解説
省令準耐火構造
準耐火建築物より緩やかな分類は、省令準耐火構造です。
省令準耐火構造は住宅金融支援機構が定める分類で、法律で定められるものではありません。
省令準耐火構造は、以下3つの目的を達成するために定められます。
- 近隣で火災が起きても延焼を受けづらい
- 部屋で火災が起きても火を外に出さない
- 部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい
後ほど解説する防火構造より耐火性を重視したい、一方で耐火・準耐火建築物より建築費用を抑えたい場合に利用されます。
求められる具体的な仕様は、次のとおりです。
- 屋根を不燃材等で葺く
- 外壁と軒裏を防火構造にする
- 壁や天井のうち室内に面する部分を15分防火にする
関連記事:省令準耐火構造のメリットは?
防火構造の建物
防火構造は、建物の周辺で火災が発生した場合に、外壁や軒裏を通じて火が燃え移る(類焼)ことを避ける仕様の構造です。
具体的には、火熱を加えられても変形などの破壊が発生しないよう、外壁や軒裏に対して使用する建材が制限を受けます。
建物内で発生した火災に対しても耐火性能を期待する、省令準耐火構造よりも緩やかな基準といえます。
法22条区域の制限
法22条区域に指定されている場合、屋根や外壁に対して次のとおり制限を受けます。
- 屋根に不燃材料を使用すること
- 延焼ラインに含まれる外壁に準防火性能に準じるものを使用すること
このような制限に適合することで、防火構造と同様に周囲の建物からの燃え移り(類焼)による被害を防ぎます。
耐火性能の確認方法
これから家を建てる場合、または建築済みの場合、建築に関わる書類の中で特定の箇所を確認することで住まいの耐火性能を確認できます。
確認する箇所の例を紹介しますので、いずれに該当するか確認してみましょう。
建築確認申請書
耐火建築物や準耐火建築物については、「建築確認申請書の第四面 5.主要構造部」を閲覧することで確認可能です。
建築確認申請書は、自治体や審査機関に提出し審査を受けた後、写しを返されますので、防火性について確認したい方はチェックしてみましょう。
設計仕様書・図面
建築確認申請書に添付される、設計仕様書や図面にも記載されることがあります。
特に仕様書には耐火建築物など、守るべき特殊な仕様について記載されていますので、手元に図面がある方は確認しましょう。
省令準耐火構造が確認できる書類
省令準耐火構造については、法律で定められるものではないことから、建築確認申請書では確認できません。
住宅金融支援機構から発行される書類や認定証を確認しましょう。
耐火性能が求められる地域
東京23区内など、住宅が密集しやすい地域では延焼・類焼被害を避けるために一定の耐火性能が求められます。
耐火建築物など、耐火性能を求められる主な地域は、次の4つです。
防火地域
引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」
防火地域は、建物の密集地域などを中心に指定されます。
図のとおり一定の階数、規模の建物を建てる場合に、耐火建築物、または準耐火建築物の仕様とする必要があります。
準防火地域
引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」
準防火地域も、防火地域と同様の目的で指定される地域ですが、防火地域よりも密集する度合いが低いケースが多く、求められる基準も緩やかです。
具体的には図の通り、階数や規模によって耐火建築物、準耐火建築物、防火構造のいずれかの仕様にすることが求められます。
法22条区域
法22条区域は、準防火地域のさらに外縁部が指定されます。
建物が密集する割合がさらに低くなり、また求められる仕様も屋根や外壁に関するものに限られます。
新たな防火規制区域
新たな防火規制区域は、東京都が独自に定める基準です。
防火地域より緩やか、準防火地域より厳しい基準で、自治体が特に火災への対策が必要と判断する地域が指定されます。
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耐火性能の高い家の特徴
耐火性能の高い家を建てる場合、火災に強い家になる他の特徴もありますので紹介します。
利便性の高い地域に家を建てられる
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東京23区などの都市部は、多くの地域が防火地域・準防火地域に含まれています。
耐火建築物や準耐火建築物でなければ建築許可が下りないことから、耐火性能の高い仕様にすることで都市部でも家を建てられます。
利便性の高い地域に居住できますので、通勤通学や買い物など便利な生活になる点はメリットです。
建築費用を用意する必要がある
耐火性能の高い家は、不燃材料や防火設備を利用することから建築費用が高くなりがちです。
また、設計費用も通常の住宅と比較して高くなる可能性があります。
一方で、火災保険料の割引を受けられることや補助金を利用できるケースもありますので、建築費用が気になる方は積極的に活用して家づくりすることをおすすめします。
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まとめ│耐火性能の高い家はクレバリーホーム東京へ
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耐火性能の高い住まいについて、種類や特徴を解説しました。
耐火性能が高いと火災に強い家になり、延焼、類焼(もらい火)被害を避けられるうえ、万が一自宅が火災に遭遇した場合でも避難するために十分な時間耐えられるメリットがあります。
近隣の家が火元となる可能性もありますので、住宅が密集している東京23区内で家を建てるなら、万が一に備えて十分な耐火性のある家にしましょう。