【木造3階建ては構造計算の義務があるのか】どれくらいの規模?いつから?分かりやすく解説

「注文住宅を建てるとき、木造で3階建てで構造計算は義務ですか?」このような質問を受けることがあります。

平屋・2階建て・3階建てなど、建物の構造や高さによって、受ける規制は異なります。

特に東京23区内など首都圏では床面積を確保するために、3階建てや4階建てを選択して規制にかかるケースがありますので、規制の内容を把握するためにぜひ本記事をご覧ください。

なお、令和7年(2025年)4月から、簡易な構造計算で建築確認申請を受けられる高さの基準が緩和される話題についても紹介していますので、合わせてご確認ください。

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木造3階建ては簡易な構造計算が必要

結論から言うと、木造3階建て住宅を建てる場合に構造計算は必要です。
ただし、建物の規模によって必要となる構造計算の種類は異なります。

現行法では、次の条件を満たす住宅の場合、簡易な構造計算で建築確認申請を受けることが可能です。

  • 高さ13m以下
  • 軒高9m以下

一方で、近年は階高を高くした建築物への需要が高まっていることから、高さに関する制限が以下のとおり緩和されることとなりました。

  • 階数3以下
  • 高さ16m以下

つまり、3階建て住宅であっても、高さが16m以下であれば、簡易的な構造計算を行えばよく、設計費用を安価に抑えられるということです。

なお、紹介した条件の緩和は、令和7年(2025年)4月から施行される予定です。

建物の規模・高さ別構造計算が必要な建物

引用:国土交通省「令和4年改正 建築基準法について」

施行後は、こちらの表のとおり運用が行われますので、3階建てでも高さ16mを超える場合や、4階建て住宅を建てる場合には、高度な構造計算が必要です。

仕様規定や構造計算の違いを紹介

改正法の施行後、構造計算の種類は次の4つに分類されます。

  • 仕様規定
  • 簡易な構造計算
  • 高度な構造計算
  • 時刻歴応答解析

それぞれ、どういった種類の構造計算なのか紹介します。

仕様規定とは?

仕様規定や構造計算の違いを紹介

仕様規定とは、建物を建てるための各種仕様を定めた基準を指します。
特に構造については、次の3つの要素で成り立っています。

  • 壁量計算:耐力壁の量に不足がないか
  • 四分割法:建物のバランスが悪くないか
  • N値計算法:地震などで生じる引張力で金物が抜けないか

定められた各種仕様を満たす場合は構造上問題ないとする規定で、主に平屋や小規模な2階建て住宅で利用されます。

簡易な構造計算とは?

簡易な構造計算は、許容応力度計算によって建物の構造の安全性を確認します。

許容応力度計算は、建物に地震や台風などの荷重が加わったとき、柱や梁など、部材一つひとつが耐えられるのか確認する手法です。

各部材にかかる力(応力)を求めた上で、各部材が許容できる力(許容応力)を求め、許容応力が上回ることを確認します。

高度な構造計算とは?

高度な構造計算は、許容応力度計算に加えて、層間変形や保有水平耐力計算といった計算も行う方法です。

層間変形とは、地震などを受けた際に下階と上階の間で生じる変形も加えて計算する手法です。
保有水平耐力計算とは、地震など水平方向に加わる力に対して建物が倒壊しないよう耐えられる力を計算する方法です。

4階建てや16mを超える建物など、地震による変位量が大きくなる建物に利用されます。

時刻歴応答解析とは?

高さ60mを超えるビルなどでは、時刻歴応答解析が行われます。
地震などが発生したとき、構造物に生じる変形やひずみなどを解析する手法です。

このように、建物の規模によって必要となる構造計算の種類は変わる点を認識しましょう。

関連記事:木造3階建ては建築基準法の制限が厳しい?

 

改めて、3階建て住宅を建てる場合、次の条件下では簡易な構造計算(許容応力度計算)が必要です。

  • 令和7年(2025年)4月までは「高さ13m以下軒高9m以下」
  • 令和7年(2025年)4月以降では「高さ16m以下」

条件を超える場合は高度な構造計算(許容応力度等計算、保有水平耐力計算)が必要です。

木造4階建ては構造計算が必要?

3階建て住宅を検討する方の中には、床面積を確保するために4階建てを選ぶ場合もあります。

4階建て住宅の場合は、建物の高さに関わらず高度な構造計算(許容応力度等計算、保有水平耐力計算)が必要です。

設計費用が50万円前後の価格差になることもありますので、契約前に構造計算の費用が見積もりに含まれているか確認してください。

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構造計算をするメリット

記事の終わりに、3階建てや4階建ての住宅で構造計算をする場合のメリット・デメリットを紹介します。
まずは、構造計算をすることによるメリットです。

建物の安全性を確実に把握できる

3階建て住宅は、平屋や2階建て住宅と比較した場合に重心が高くなり、地震や台風といった横方向からの外力の影響が大きくなります。

構造計算をすることで、耐震・耐風性能が確認できるため、地震や台風に対する安全性が確保できます

建物への被害を軽減する効果も期待できるため、復旧や補修の費用を抑えられる点もメリットです。

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設計の自由度が向上する

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構造計算で安全性を確認することで、強度を確保しながら好みのデザインを実現することも可能となります。

たとえば、敷地が限られる東京23区内などでは、1階部分をガレージにする間取りが好まれますが、建物の片側に大きな開口があることは耐震性の面で弱点となります。

しかし、構造計算をすることで安全性を確保しつつ求める間取りの家を建てることが可能です。

関連記事:注文住宅のガレージハウスとは?

資産価値の向上と維持

構造計算で安全性を確認した住まいは、将来転勤などで売却する際に資産価値を高める効果を発揮します。

近年、全国各地で震災リスクが顕在化しており、耐震性の高い住宅のニーズが高まっています。
長期的にも、地震や台風による劣化が少なくなることも期待でき、資産価値の維持に効果的です。

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構造計算をするデメリット

一方で、構造計算をすることによるデメリットもありますので、建築後に後悔しないよう確認しましょう。

構造計算に費用を要する

構造計算は専門知識が必要なため、相応の設計費用が必要になります。
また、耐力を確保するために特殊な建材を使用したり、部材のサイズを変更するなどした場合、建材費が高くなることもあります

設計・施工費用を抑えるには、3階建て・4階建て住宅のノウハウがあるハウスメーカーで建てることがおすすめです。

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設計、審査にかかる時間が増える

住宅が構造計算を受けるデメリット:設計、審査にかかる時間が増える

設計や審査に時間を要する点も、構造計算のデメリットといえます。

求める強度を満たすために細かな調節が必要になるケースもありますので、平屋や2階建て住宅で利用される仕様設計より設計に要する時間は長くなります。

また、設計内容を変更する際も、強度を満たすべく調節が必要で、変更設計にかかる時間も長くなりがちです。

ファーストプランの段階から設計の精度を高めるべく、住まいに対する要望をしっかりまとめておくことが重要です。

設計の自由度が制限を受ける場合も

建物の強度を満たすために、デザインや間取りの自由度が制限されるケースがあることもデメリットといえます。

たとえば、一定の耐震性を確保するために、柱や壁の配置が制限を受けたり、窓や玄関ドアなど開口部の大きさ・位置が制限されるケースです。

「LDKがつながった開放的な間取りにしたい」「大きな開口を設けたい」こうした希望がある場合は、早めに伝えることで希望に叶う間取り、構造の家を建てやすくなります。

まとめ│木造3・4階建てならクレバリーホーム東京へ

木造3階建ての構造計算の必要性について解説しました。

3階建ての建物は、床面積が小さい場合であっても構造計算をする必要があります。
構造計算には費用がかかりますが、3階建て4階建てにして床面積を確保し、土地の購入費用を節約できれば総額を抑えることが可能です。

土地を最大限に活用する3階建て、4階建てをご希望の方は、都内での施工実績が豊富なクレバリーホーム東京までお気軽にご相談ください。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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