地震保険の加入率が低い理由とは?戸建てでいらない・入らない・やめた人の理由も紹介

地震保険の加入率が低い理由とは?戸建てでいらない・入らない・やめた人の理由も紹介

地震保険の加入率が低い理由をご存知でしょうか。

火災保険や地震保険は、一戸建ての住宅を取得すると発生する、火災や地震などのリスクを軽減する働きを持っています。
本記事では、リスクを軽減する効果を持つ地震保険の加入率が低い理由について解説します。

主な理由のほか、「いらない・入らない・やめた」その他の理由や、地震保険以外の地震対策についても紹介しますので、地震保険に加入するべきか迷う方はぜひ参考にしてください。

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地震保険の加入率は?

内閣府の試算によると、持ち家世帯の地震保険・共済の加入件数や割合は次のとおりです(2015年度末時点)。

補償の種類件数割合
火災補償2,880万件82%
地震補償1,732万件49%

引用:内閣府「いざというときに備えて保険・共済に加入しよう」

このように、火災保険に加入する方の割合が80%を超える一方で、地震保険に加入する方の割合は50%を下回り、火災保険の加入率と比べると地震保険の加入率は低いといえます。

なお、火災保険に地震保険を付帯する世帯の都道府県別の割合を確認すると、地域ごとに地震保険への加入率が異なることが分かります。

地震保険の付帯率が高い都道府県

都道府県地震保険付帯率
宮城県89.4%
高知県87.2%
熊本県86.2%

 

地震保険の付帯率が低い都道府県

都道府県地震保険付帯率
長崎県55.2%
沖縄県57.6%
東京都61.9%

引用:損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」

過去に大きな地震が発生した地域、または大きな地震が発生すると予想される地域では、地震保険への加入率が高くなる傾向が見られます。

建築予定地での地震の予測なども確認しながら、地震保険への加入を検討しましょう。

関連記事:首都直下型地震で助かるには?いつ来る・どう備える?

地震保険の加入率が低い「3つの理由」

地震保険の加入率が低いことを確認した上で、どうして加入率が低いのか、理由を解説します。

地震保険料の家計にかかる負担が大きいから

地震保険の加入率が低い理由:家計負担が大きい

1つ目の理由は、地震保険料の金額が高く家計への負担が大きいことです。

地震保険料の保険金額を2,000万円と仮定すると、東京都で木造住宅の場合、年間保険料は82,200円になります。

参考:日本損害保険協会「地震保険料の試算」

地震保険料は地震が発生しない限り支払い続けるだけで、恩恵を感じられることはありません。
このため、特に家計の状況が厳しくなる新築したばかりのときに限り、地震保険に加入しなければ保険料の節約になります。

関連記事:『地震保険不要論』は正しい?いらない理由、検討すべきケース

火災保険の30~50%までしか保険金が出ないから

2つ目の理由は、最大でも火災保険の50%までしか保険金をかけられないことです。

地震保険は国が運営していて、保険会社が異なっても保険の内容は変わりません。
また、保険金額の上限として火災保険金額の30~50%の範囲内と定められていて、地震保険に加入しても家を再建築できるだけの保険金が出ることはありません。

再建築できず、かけた保険料に見合う効果を得られないと感じるケースがあります。

参考:財務省「地震保険制度の概要」

大きな地震を受けても「一部損」になる可能性が高いから

3つ目の理由は、地震を受けた場合でも損傷なし、または一部損と判定された場合に十分な保険金を受け取れないことです。

地震保険は、次のとおり建物の損傷の程度に応じて保険金額が決まります。

  • 全損:保険金額の100%
  • 大半損:保険金額の60%
  • 小半損:保険金額の30%
  • 一部損:保険金額の5%

参考:財務省「地震保険制度の概要」

熊本地震における建築年別の建物被害状況

引用:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析」

たとえば震度7の揺れを2度記録した熊本地震でも、平成12年6月以降に建てられた住宅(現行の耐震基準に基づいて建てられた家)では、94%住宅が無被害、または軽微・小破・中破の被害で、大破、倒壊・崩壊被害の事例は6%に留まりました。

このように、現行の基準に基づいて建てられれば小半損や一部損、または無被害になるケースが多いことも、地震保険が不要であるとする理由です。

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戸建てで地震保険が「いらない・入らない・やめた」理由

さらに個別に、一戸建てで地震保険が「いらない・入らない」または加入後に「やめた」理由を紹介します。

保障の範囲が限定的で利用しづらいから

地震保険は利用できるシーンが少ない点が、加入しない理由に挙げられます。

火災保険は、特約内容にもよりますが、火災のほか落雷や台風・強風、水濡れや外部からの物体の飛来など様々なケースに対して保険金がおります。

一方で地震保険は、地震や地震に起因する火災、津波といった被害にのみ保険金がおりますので、利用できるシーンが少ない点がデメリットです。

地震が少ない地域を選んだから

一戸建てを建てる地域で地震が少ない場合も、地震保険に加入しない理由になります。

都道府県別に地震の発生回数には偏りがあり、たとえば富山県や三重県、香川県といった地域では地震の発生回数が少ないことで知られています。

参考:気象庁「震度データベース検索」

地震の発生率が低い地域では、自宅が地震の被害に遭遇する確率が低くなりますので、加入しない選択をする家庭が多くなります。

建物の耐震性を高めれば被害を受けづらいから

新築の際に耐震性を高めることで被害を受けづらくなることも、地震保険に加入しない理由になります。

熊本地震で新しい基準で建てられた住宅の被害が少なかったように、家の耐震性を高める工夫を取ることで住まいの地震被害を軽減することが可能です。

耐震等級の取得や制震装置の取り付けなど、特別な地震対策を取っている住まいでも、地震保険は不要と判断されることがあります。

関連記事:耐震等級とは?1・2・3の違いも分かりやすく解説

地震保険以外の地震対策を紹介

地震に備えるための方法は、地震保険以外にもあります。
他の方法で備えれば地震保険が不要になる可能性もありますので、複数の選択肢を把握しましょう。

地盤の強い土地を選択する

地盤の強い土地を選ぶことで、地震の揺れの増幅を防ぐことができ被害を抑えられます。

東京都の地盤による地震の揺れの増幅率

引用:東京都「地震に関する地域危険度測定調査」

山地や丘陵地といった洪積層(固結した古い地盤)で形成された地盤は揺れが増幅されにくく、海や川の近くなど沖積層(形成された年代が新しい地盤)で形成された地盤は揺れが増幅されやすい特徴があります。

同じ沖積層のエリアでも軟弱層の厚さなどによって増幅率に差がありますので、揺れの少ないエリアを選択することをおすすめします。

関連記事:「東京で地震に強い地域はどこ?」23区地震危険度ランキングを調査

耐震等級3を取得する

住宅の耐震性を示す指標である耐震等級の中で、最高等級である耐震等級3を取得することもおすすめです。

耐震等級1と3、熊本地震における被災状況

引用:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析」

熊本地震のときも耐震等級3を取得した家では倒壊や大破した事例はなく、耐震等級3を取得する効果の高さを確認できます。
ハウスメーカーを選ぶ際も、耐震等級3を取得できる会社を選びましょう。

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制震装置を取り付ける

耐震による地震対策の弱点は、複数回発生する地震によって建物に歪みが蓄積することです。
こうした不安への対策として、制震装置の取り付けが効果的です。

制震装置とは、地震の揺れのエネルギーを熱など他のエネルギーに変換することで揺れを吸収する技術を指し、何度でも効果を発揮する特徴を持っています。

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公的支援を活用する

地震への備えとして、どのような公的支援を活用できるかを確認しておくことも重要です。

大きな地震が発生したとき、被災者生活再建支援金や義援金といった支援、補助を受けられますので、当面生活するために必要な費用の一部として期待できます。

地震後の住宅再建にかかる費用について

引用:内閣府「住宅・生活再建にはこんなにお金がかかる」

ただし地震保険と同様に、住宅を再建するために必要な費用としては不足しますので、建物の地震対策や預貯金による経済的な備えが重要です。

まとめ│複数の視点で地震対策を検討

【東京都台東区】スケルトン階段で明るい木造耐火構造の事例

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地震保険の加入率が低い理由について解説しました。

万が一に備える地震保険ですが、建物を建て替えるだけの保険金が出ることはなく、また建物の損壊の状態によっては、わずかな保険金額しか得られない可能性もあります。

このため、地震保険での備えに加えて、耐震等級3の取得や制震技術の導入といった対策を平行して検討し地震の被害を抑えられる住まいを目指しましょう。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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