【防火・準防火地域でカーポート】できる?規制の内容や対策を解説
「防火地域や準防火地域、法22条区域では、カーポートも規制の対象になりますか?」
こうした疑問を聞くことがあります。
防火・準防火地域や法22条区域は、住宅が密集するなどして火災の延焼・類焼被害が生じる可能性がある地域で、住宅を建てるときに屋根や外壁などに使用する素材に一定の規制がかかることがあります。
では、車を雨風や直射日光から守るカーポートはどのような扱いになるのでしょうか。
本記事では規制の内容や、防火地域などで設置するための対策や注意点を紹介します。
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Contents
防火・準防火地域でもカーポートは設置できる
結論からお伝えすると、防火地域や準防火地域、法22条区域、いずれの地域においてもカーポートを設置することは可能です。
ただし、広さや仕様によってカーポートに使用できる建材が異なる点に注意が必要です。
どのような違いがあるのか、さらに詳しく解説します。
なお、本記事で紹介するカーポートは、上の写真のように柱と屋根で構成される構造の車庫です。
ガレージとは異なり、壁面がなく開放的な駐車場所を指します。
(1)防火・準防火、法22条区域に含まれているか
以下の3つの地域に指定されている土地はカーポートに関する規制をうけます。
- 防火地域
- 準防火地域
- 法22条区域
いずれの地域も市街地など建物が密集するエリアで、火災が発生したとき延焼・類焼(もらい火)被害を避けるために指定されます。
具体的に建築基準法では、防火地域、および準防火地域について以下のように規定されています。
防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
また、法22条についても、同様に以下のとおり規定されています。
特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。(以下略)
つまり、防火地域や準防火地域、法22条区域では、一定の基準に適合する建材、または認定を受けた建材しか利用できないということです。
(2)延焼のおそれのある部分に含まれているか
防火地域や準防火地域、法22条区域に含まれている場合でも、床面積が150m2以内で、延焼のおそれのある部分に含まれていなければ、耐火性を気にすることなくカーポートを設置可能です。
参考:建築基準法施行令「第百三十六条の十 簡易な構造の建築物の基準」
延焼のおそれのある部分とは、隣地境界線から1階部分は3m、2階部分は5mの範囲のことで、隣地で火災があった場合に火熱の影響を受けやすい範囲を示しています。
この範囲から外れている場合は、防火に関する地域に含まれていても規制を受けずにカーポートを設置できます。
(3)床面積が30m2を超えるか
カーポートは建築基準法の中では「十分に外気に開放された自動車車庫」にあたります。
この場合、床面積が30m2以下だと、ポリカーボネート製の屋根(DW認定品)を使用することができます。
ポリカーボネート製の屋根は価格が安価で耐衝撃性や耐久性など、様々な点で優れていることからカーポートに利用されることの多い素材です。
一方でカーポートの床面積が30m2を超える場合は、ガルバリウム鋼板など不燃材やFRP板(DR認定品)を選ぶ必要がありますので、注意が必要です。
なお、国土交通省が公表している指針によると1台分の駐車スペースは15m2ほどですので、1台分から2台分までのカーポートであれば、ポリカーボネート製(DW認定品)を利用可能です。
こうした規制の内容をまとめると、以下の表のとおりになります。
屋根の種類 | 延焼のおそれのある部分に含まれる | 延焼のおそれのある部分に含まれない (150m2以内) | |
30m2以内 | 30m2を超える | ||
ポリカーボネート板(DW認定品) | ◯ | ☓ | ◯ |
FRP板(DR認定品) | ◯ | ◯ | ◯ |
鋼板など(不燃材認定品) | ◯ | ◯ | ◯ |
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防火地域内でカーポートを設置する!対策や注意点
紹介する方法を利用することで、防火地域内でもカーポートを設置できます。
延焼のおそれのある部分を避ける
1つ目は延焼のおそれのある部分を避けることです。
防火に関係する規制を受ける地域でも、150m2以内であれば各種規制を受けずにカーポートを設置できます。
ただし、防火地域や準防火地域が指定されるエリアは市街地であることが多く、特に土地の単価が高い東京23区内などでは、延焼のおそれのある部分を避けてカーポートを設けるのは困難で、他の方法を利用することが推奨されます。
屋根に不燃材を利用する
2つ目は、屋根に不燃材を利用することです。
火熱に一定時間さらされても発火しない不燃材料を利用することで、延焼のおそれのある部分でもカーポートを設置することは可能です。
不燃材料を利用することで、カーポートの設置費用が高くなる点については注意が必要です。
関連記事:【不燃材料とは】耐火構造の違いも解説
インナーガレージを利用する
3つ目は、カーポートではなくインナーガレージを利用することです。
住宅の1階部分などをガレージとして利用するインナーガレージは、カーポートよりも雨風に強く、太陽光も避けられますので、愛車を綺麗に保ちたい方にとって有力な手段となります。
また、3階建て、4階建てなど縦方向に家を伸ばすことで、都市部において貴重な土地を有効活用できる点もメリットと言えます。
【敷地17.33坪】縦長2台分のインナーガレージのある木造耐火3階建ての事例>>>
こちらの事例のように、縦方向にガレージを伸ばしたり、次の事例のように横方向にガレージを伸長させることで、2台以上駐車できるスペースも設計次第で確保可能です。
【敷地42.08坪】横に2台分の半地下駐車場のある3階建ての事例>>>
このように、都内で自宅に駐車場を作りたい方は、インナーガレージの建築実績が多いハウスメーカーや工務店に依頼することが重要といえます。
自治体によって解釈が異なる
防火に関する地域で注意するべき点は、カーポートに対する解釈が自治体によって異なることです。
同じ法律に基づいてカーポートを審査する場合でも、自治体によって解釈が異なりますので、想定と異なる指導を受ける場合もあります。
本記事で紹介した事柄についても、設計の段階で必ず建築予定地の自治体に確認することをおすすめします。
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まとめ│防火地域でもカーポートを利用して愛車を綺麗に
防火地域や準防火地域、法22条区域といった、火災に強い家を建てるための規制を受ける地域にカーポートを作るケースについて解説しました。
改めて防火に関する規制を受ける地域でも、カーポートの設置は可能です。
ただし、条件によっては屋根に不燃材を使用することが求められるなど、仕様を義務付けられるケースは少なくありません。
こうした規制を受ける地域は土地の価格が高くなるケースも多いですので、土地を有効活用できるインナーガレージのある家も検討候補に加えつつ家づくりすることをおすすめします。