【新たな防火規制区域とは】防火・準防火地域との違いや制度の内容を分かりやすく解説
「新たな防火規制区域はどういった規制を受けるエリアですか?」
東京都で家を建てる方の中には、建築予定地が”新たな防火規制区域”に含まれていることから、こうした疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、新たな防火規制区域の目的や制度の内容、対象区域の調べ方など制度全般について分かりやすく解説します。
類似する区域である、防火地域や準防火地域などとの違いも紹介しますので、都内で家づくりを検討される方はぜひ参考にしてください。
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Contents
新たな防火規制区域とは?
新たな防火規制区域は、東京都が独自に定めた「新たな防火規制」で指定される区域を指します。
どういった目的で指定されるのか、詳しく解説します。
新たな防火規制区域の目的
新たな防火規制区域を定める目的は、東京都のホームページに以下のように記載されています。
木造密集地域における災害時の安全性を確保するため、東京都では道路等の基盤整備や不燃建築物への建替え助成等の多様な施策を推進している。
これらの諸施策に加え、建築物の不燃化を促進し木造密集地域の再生産を防止するために、東京都建築安全条例を改正し、知事が指定する災害時の危険性が高い地域について、建築物の耐火性能を強化する。
つまり、新たな防火規制区域に指定されるエリアは、現在災害時の危険性が高い地域で(住宅が密集していて延焼が起こりやすいなど)、指定することで建物の仕様を制限し耐火性能の高い住宅への更新を見込んでいる地域ということです。
関連記事:木造密集地域とは?新築・建て替えの防耐火対策を解説
新たな防火規制区域の制度の内容
新たな防火規制区域に含まれる場合、新たに建築する建物は準耐火建築物、または耐火建築物として建てなければいけません。
具体的には、延べ面積が500㎡を超える場合は耐火建築物に、500㎡以下であれば準耐火建築物として建てます。
類似する防火系の区域である準防火地域と比べると、より耐火性に関する規制が厳しい地域といえます。
新たな防火規制区域の調べ方
気になるのは、どの範囲が新たな防火規制区域として指定を受けているのか、ということです。
東京都では、新たな防火規制区域の指定を受けた区域をまとめています。
各区ごとに、指定がある場合は図面が掲載されていますので、図面を参照して新たな防火規制区域の指定の有無を確認する必要があります。
新たな防火規制区域で指定される建物の基準
新たな防火規制区域で家を建てる場合、耐火建築物か準耐火建築物、いずれかの仕様にする必要があります。
それぞれ、どういった仕様なのか確認します。
耐火建築物
耐火建築物は建築基準法で定められた仕様で、以下2つの基準を満たす建築物を指します。
- 主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)に不燃材料を使用することなどにより、一定時間は倒壊、延焼を防ぐ
- 延焼の恐れのある部分に対して防火設備を設置する
準耐火建築物
準耐火建築物は耐火建築物と同様で、主要構造部への不燃材料の使用、および延焼の恐れのある部分に対する防火設備の設置が求められます。
ただし、耐火建築物より火災に耐える時間は短く設定されています。
木造で耐火建築物は可能?
一般的には耐火・準耐火建築物を建てる場合、鉄筋コンクリートや鉄骨造が利用されるケースが多い一方で、木造でも耐火建築物を建てることは可能です。
建築コストを抑えやすい点や狭小地でも施工しやすい点など、木造で耐火建築物にするメリットがあります。
一方、木造の構造部分を耐火被覆材で覆うなど、工法や素材が制限されます。
ただし、耐火建築物の制限内でもデザイン性を重視した設計は可能ですので、耐火建築物の施工実績が多いハウスメーカーに相談するのがおすすめです。
関連記事:【木造の耐火建築物とは?】特徴を徹底解説
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防火地域など類似する区域との違い
新たな防火規制区域には似ている指定区域があります。
それぞれの違いを確認しましょう。
防火地域
引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」
防火地域は、耐火性を求められる規制の中で最も厳しい基準です。
100㎡を超える場合や3階建て以上の建物を建てる場合、全て耐火建築物として設計・建築する必要があります。
100㎡以下で1階建て、2階建ての場合でも準耐火建築物として建てなければいけません。
準防火地域
引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」
準防火地域は、防火地域や新たな防火規制区域よりも緩やかな基準のエリアです。
図のとおり、耐火建築物にする必要がある建物は1,500㎡を超える場合や4階建て以上の建物に限られますので、3階建てまでの住宅を建てる場合は準耐火建築物として建てれば問題ありません。
また、500㎡以下で1階、2階建ての建物は防火構造でよいことから、2階建て住宅の場合はさらに規制が緩くなります。
※防火構造:外壁および軒裏に防火性のある建材を使用した建物
法22条地域
法22条地域は、屋根に不燃材料を使用すること、および外壁の一部(延焼のおそれのある部分)に不燃材料を使用することが求められる地域です。
主要構造部に対する規制がなく、準防火地域よりも緩い基準の地域といえます。
主に準防火地域の周囲が指定されます。
新たな防火規制区域に家を建てるメリット
記事の終わりに、新たな防火規制区域内で家を建てるとどういった特徴があるのか解説します。
まずは、メリットから紹介します。
- 準耐火建築物、または耐火建築物の仕様になり火災に対する安全性が高くなる
- 地震など通常の火災以外の災害に対しても延焼被害を軽減できる
- 周囲の建物も耐火、準耐火建築物に置き換わることから、安全性が高まり地価の上昇を期待できる
- 耐火・準耐火建築物にすることで火災保険料の割引を受けられる
- 利便性が高いエリアで土地、建物を取得できる
新たな防火規制区域は、火災が発生したときの延焼被害が拡大しやすい地域が指定されます。
このため指定を受けた当初は火災など災害を受ける可能性が高い地域といえますが、新築住宅を建てる際に準耐火建築物、または耐火建築物として建てる必要がありますので、将来的には火災に強い建物に切り替わることが期待できます。
周囲の建物の建て替えが進むにつれて、災害に対する安全性も高まりますので、災害への安全性の高まりや、地価の上昇といった効果を期待できます。
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新たな防火規制区域に家を建てるデメリット
続いて、新たな防火規制区域内に家を建てるデメリットを紹介します。
- 不燃材料の使用などによって建築費用が高くなる
- 使用できる建材が限られるため外観デザインの選択肢が限られる
- 耐火建築物の建築を受け付けているハウスメーカーに限られる
中でもデメリットとして感じやすい点は、建築費用が高くなる点です。
一般の住宅と比較して10~20%ほど建築費用が高くなりますので、資金計画に反映する必要があります。
なお、火災保険料の割引や住宅ローン金利の軽減を受けられる可能性もありますので、可能であれば活用して建築費用の負担を減らしましょう。
関連記事:【防火地域に耐火建築物】建築費用・値段は?安くする方法も解説
まとめ│防火・耐火建築物はクレバリーホーム東京へ
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東京都が独自に定める、新たな防火規制区域について、制度の目的や内容など詳しく解説しました。
新たな防火規制区域は、防火地域より緩く準防火地域より厳しい基準を求められる地域です。
ただし、床面積が500㎡以下かつ3階以下の場合は準耐火建築物の仕様で建てられますので、多くの住宅は準耐火建築物として建てられます。
該当するエリアで家を建てる場合は、耐火建築物や準耐火建築物での家づくりが得意な業者に依頼し、延焼・類焼など火災に強い家づくりにしましょう。