【軟弱地盤に家を建てる】7つの地震対策とは?確認方法や注意点も解説

 

【軟弱地盤に家を建てる】7つの地震対策とは?確認方法や注意点も解説

「軟弱地盤に家を建てるのは危険?」
能登半島沖地震で、軟弱地盤とされる地域の被害が大きかったというニュースが流れました。
家を建てる予定のエリアが軟弱地盤でないか、軟弱地盤ではどのように対策を取ればよいのか、こうした疑問を持つ方も多いでしょう。

そこで本記事では、軟弱地盤に家を建てる場合の7つの地震対策を紹介します。

確認方法など、軟弱地盤について知っておきたい知識や注意点も解説しますので、地震に対する不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

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軟弱地盤とは?

軟弱地盤とは、柔らかい粘土や固まっていない砂などで構成される地盤を指します。
地震が発生したとき、揺れが増幅される可能性がありますので、特に耐震対策を必要とする地盤と言えるでしょう。

国土交通省の資料では、以下のように記載されています。

軟弱地盤は、盛土及び構造物の荷重により大きな沈下を生じ、盛土端部が滑り、地盤が側方に移動する等の変形が著しく、開発事業において十分注意する必要がある地盤である。

なお、地震時に液状化が発生するおそれのある砂質地盤については一種の軟弱地盤と考えられ、必要に応じて別途検討するものとする。

引用:国土交通省「宅地防災マニュアル」

「滑り」「移動する」「液状化が発生する」など、地震などで荷重がかかったとき地盤が移動したり形を変えたりする性質を持つ地盤といえます。

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「軟弱地盤」知っておきたい知識・注意点

軟弱地盤を持つ土地に家を建てる場合など、事前に知っておきたい注意点などがありますので紹介します。

軟弱地盤は不等沈下を起こす可能性がある

1つ目は、軟弱地盤は不等沈下を起こす可能性があることです。
不等沈下は、建物の片側だけ沈下が発生して、建物に傾きが生じる現象を指します。

特に土地の一部が軟弱地盤である場合は、建物の重さによって軟弱地盤に向かって沈下が発生し不同沈下を起こす可能性が高まります。
窓の建付けが悪くなる、基礎や壁面にヒビが入るなど、体感できるレベルの問題が起こる危険性がありますので対策が必要です。

軟弱地盤は液状化を起こす可能性がある

軟弱地盤で発生する危険性がある「液状化現象」

引用:国土交通省「液状化現象について」

2つ目は、砂質系の軟弱地盤は液状化する可能性があることです。

軟弱地盤は地下水位が高い地域にあることが多く、地震が起きると地盤が地下水に浮いた状態になり、建物が基礎ごと沈むなどの被害が生じる場合があります。
砂質系の軟弱地盤である可能性が高い場合は、液状化への対策も検討する必要があります。

地盤によって揺れの増幅率が変わる

3つ目は、地盤によって揺れやすさが変わることです。
軟弱地盤と評価される地盤の中でも、揺れが増幅される程度は変わります。

東京都の地盤による地震の揺れの増幅率

引用:東京都「地震に関する地域危険度測定調査」

東京都の地盤を例にすると、比較的揺れやすいとされる沖積低地の中でも、軟弱な層の厚みによって増幅率は1.5から2.9まで幅があることが分かります。

地盤区分図から大まかな揺れやすさを評価することも大切ですが、建築予定地での地質調査から具体的に揺れへの影響を評価することも大切です。

関連記事:東京で地震に強い地域はどこ?23区地震危険度ランキングを紹介

軟弱地盤は地質調査で確認する

具体的に軟弱地盤を評価するためには、以下のとおり複数の手段から目的に合った方法で地質調査する必要があります。

  • SWS試験
  • 標準貫入試験(ボーリング調査)
  • 平板載荷試験 など

SWS試験は費用が安価、標準貫入試験は土の採取や地下水位の確認ができるなど、地質調査ごとに特徴があります。
地盤区分図や周囲のボーリング調査結果などから、建築予定地に最適な調査方法を選択しましょう。

参考:地質調査業協会「住宅の地質調査」

マップで軟弱地盤の確認も可能

検討中の建築予定地が軟弱地盤に該当するか気になる方もいるでしょう。
自治体によっては、地盤の特性や液状化の可能性についてマップにして公表しているケースもありますので確認してみましょう。

たとえば東京都では、地震に関する地域危険度測定調査の中で、地盤ごとに地域を分けて揺れやすさを評価しています。

参考:東京都「地震に関する地域危険度測定調査」

また、液状化に関して、可能性の低い地域から高い地域まで評価したマップもあります。

東京の液状化予測図(東京都建設局)

引用:東京都「東京の液状化予測図 令和5年度改訂版」

こうした視覚的に確認できるツールも利用しつつ土地を選ぶ方法もおすすめです。

現地調査で軟弱地盤の可能性を事前に把握

マップで確認するほか、実際に現地で軟弱地盤の危険性を評価する方法もあります。

  • 近くに海、川や池がある
  • 近くに水田がある
  • 水に関連する地名
  • 高低差がある地形の下段部分
  • 電柱の傾斜や擁壁のひび割れ

このように敷地を確認して軟弱地盤の危険性を評価する方法もありますので、候補地を住宅建築の専門家に確認してもらうことも重要です。

軟弱地盤で取るべき7つの対策・改良工法とは?

建築予定地が軟弱地盤であると評価された場合、どのような対策をとればよいのでしょうか。
具体的な方法を解説します。

軟弱地盤を改良する方法

軟弱地盤特有のリスクを回避するためには、地盤改良によって地盤の強度を高めることが効果的です。
一般住宅に対しては、主に以下の3つの方法が用いられています。

表層改良
  • セメント系固化材を地盤と混ぜ合わせることで地盤を固めて強度を高める。
  • 軟弱な地盤が1~2mほどと浅い場合に利用されることが多い。
  • 地盤改良の中で費用は最も安価。
柱状改良
  • セメント系固化材を地盤に注入しながら撹拌し、硬質な地盤から基礎まで届く大きなコンクリートの柱を作る工事。
  • 軟弱な地盤が2~8mほどの深さの際に利用されることが多い。
  • 中程度の費用が必要になる。
鋼管杭工法
  • 鋼製の杭を硬質な地盤に届くまで打ち込み、家を支える柱を作る工法。
  • 軟弱な地盤が10mほどと深い場合に利用される。
  • 3つの地盤改良工事の中では最も費用が高くなる。

それぞれ特徴がありますので、どの工法が優れているとはいえません。
地盤調査の結果を元に、最適な地盤改良の方法を選択しましょう。

住宅の耐震性を高める方法

地盤の強度を高める方法のほか、軟弱地盤の特徴で揺れが大きくなった場合でも被害が少なくなるよう、家の強度を高める対策も効果的です。

ベタ基礎
  • 建物底部全体に鉄筋コンクリート製の基礎を作る工法。
  • 底面で広く建物を支えるため、揺れを分散しやすく特定箇所への被害を避けられる
  • 面で建物を支えるため、不同沈下が発生しづらい。
  • 地面からの湿気を遮断でき、床下・木材の腐食を防げる。
耐震等級3の取得
  • 3つある等級のうち最も高い等級の耐震基準。
  • 最も低い基準、耐震等級1(震度6強~7でも倒壊しない)の1.5倍の強度。
  • 建物に対する地震による被害(傾きやひび割れなど)を抑えられる。
制震技術の導入
  • 地震のエネルギーを吸収する制震装置を取り付ける対策。
  • 最大80%揺れを軽減し被害を抑える。
  • 100年を超える耐久性があり、何度も発生する地震に対しても効果を発揮する。
免震技術の導入
  • 建物と基礎の間に免震装置を埋め込み、地震の揺れが建物に伝わりづらくする技術。
  • 大きな地震が起きても大幅に揺れを軽減できる。
  • 200万円を超えるなど、施工費用が高い点がデメリット。

 

このように、地盤を補強する方法から建物本体で耐震性を高める方法まで、地震対策は複数あります。

建築予定地や予算、家の建て方などの条件から、最適な地震対策を選択して軟弱地盤でも安心できる住まいを建てましょう。

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まとめ│地震に強い家はクレバリーホーム東京で

「軟弱地盤に家を建てる場合、どのような対策が必要ですか?」
こうした疑問にお答えしました。

軟弱地盤は、柔らかい粘土や締め固まっていない砂質土で構成される地盤です。
地震が起きたとき、通常の土地と比べて揺れやすく、液状化する可能性の高い地域と言えるでしょう。

マップや現地調査、地質調査などを駆使して建築予定地の軟弱地盤の度合いを確認した上で、紹介した地盤を強化する方法、建物本体を強化する方法を活用して、軟弱地盤でも安心できる住まいを建てましょう。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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