防火地域4つの種類を解説│規制の内容や知っておきたいポイントも紹介

防火地域4つの種類を解説│規制の内容や知っておきたいポイントも紹介

東京23区などの都市部では、多くのエリアが防火に関する規制を受けます。
このような地域は主に4種類があり、それぞれ受ける規制が異なりますので、特徴を把握した上で家を建てる必要があります。

そこで本記事では、耐火性を求められる4種類の地域について特徴を解説します。

規制の内容や関連して知っておきたいポイントも紹介しますので、都市部で新築を計画している方はぜひ参考にしてください。

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防火地域4つの種類とは?

使用する建材が指定されるなど、住まいの防火性を高めることが義務付けられる地域には、以下の4種類があります。

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 法22条区域
  • 自治体ごとの防火規制(新たな防火区域など)

防火地域

防火地域は、各種防火に関係する規制の中で最も厳しい規制を受ける地域で、駅の近くや住宅が密集している地域が対象となります。

防火地域として指定を受けると、後述する耐火建築物や準耐火建築物の仕様に適合するよう家を建てる必要があります。

防火地域内での耐火・準耐火建築物についての規制

引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」

こちらの図のとおり、3階以上または床面積が100㎡を超える場合は耐火建築物の仕様で建てなけれないけません。

準防火地域

準防火地域は、防火地域よりも規制が緩い地域で、防火地域を囲むように広く指定されます。

準防火地域内での耐火・準耐火建築物についての規制

引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」

準防火地域はこちらの図のとおり、耐火建築物や準耐火建築物に指定される建物の仕様が緩和されます。
具体的には、準防火地域で家を建てる場合は、二階建てかつ500㎡以下であれば防火構造でよく、三階建てでも1,500㎡以下であれば準耐火建築物の基準で家を建てられます。

耐火建築物・準耐火建築物・防火構造、それぞれ規制の内容によって建てるべき家の仕様が変わります。
防火に関する規制を受ける地域で家を建てるなら、ご自宅がどのような規制を受けるのかを確認する必要があります。

関連記事:「防火地域・準防火地域とは?」わかりやすく解説

法22条区域

法22条区域についての説明図

準防火地域よりもさらに緩い規制を受けるのは、準防火地域のさらに外側に位置する、法22条区域です。
法22条区域は屋根についての規制がかかる地域で、不燃材料(一定時間加熱されても燃焼しない建材)を屋根に利用することが求められます。

法22条区域の規制を受ける場合、法23条(外壁に関する規制)も受けることとなりますので、法22条区域は外観に関して一定の制限を受ける地域といえるでしょう。

関連記事:防火地域より制限の緩い『法22条区域』を解説

自治体ごとの防火規制(新たな防火区域など)

ここまで建築基準法で定められている防火に関する規制を紹介しましたが、実は防火に関する規制を地方自治体が設定しているケースもあります。
たとえば東京都では、「新たな防火規制区域」を定めて、重点的に火災を防ぐ必要がある地域を指定しています。

新たな防火地域内での耐火・準耐火建築物についての規制

引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」

新たな防火規制区域は、防火地域と準防火地域の中間的な役割を果たす地域といえるでしょう。

新たな防火規制区域のように自治体が独自に規制を設けているケースもありますので、防火地域・準防火地域のほか、他の規制がかかっていないか確認することをおすすめします。

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防火地域に含まれる場合の建物への規制

ここで、防火に関する地域に含まれ、耐火建築物などの規制に該当する場合、具体的にどのような規制を受けるのか確認しましょう。

耐火建築物
  • 主要構造部を耐火構造(壁や柱などを一定時間、倒壊・延焼を防ぐ構造にすること)にする
  • 延焼ラインに防火戸・防火設備を設置する
準耐火建築物
  • 主要構造部を準耐火構造(壁や柱などを一定時間、延焼を防ぐ構造にすること)にする
  • 耐火構造より求められる時間が短い
  • 延焼ラインに防火戸・防火設備を設置する
防火構造
  • 外壁・軒裏を一定時間延焼しない構造にする
22条区域の制限
  • 屋根を不燃材料で作る
  • 木造建築物の場合、外壁も準防火性能で作る

防火地域に関連して知っておきたいポイント

記事の終わりに、防火地域に関連して知っておきたいポイントがありますので紹介します。

防火地域の種類の調べ方

1つ目は、防火地域の種類の調べ方です。

防火地域は土地によって受ける規制が異なりますので、建築を予定している土地がどのような規制を受けるのか確認する必要があります。

最も確実に確認する方法は建築予定地の自治体で確認することです。
住所を控えたうえで、建築課などの担当課に確認することで、防火に関する規制の有無を確認できます。

防火地域・準防火地域の調べ方:知りたいエリアを選択する

引用:東京都都市整備局「都市計画情報」

また、自治体のホームページ上で確認できるケースもありますので、まずはホームページを確認すると簡単に確認できます。

なお、法22条区域や新たな防火規制区域は通常の都市計画図に記載されていないこともありますので、規制の有無を確実に確認したい場合は自治体窓口で確認することをおすすめします。

関連記事:「防火地域・準防火地域の調べ方」東京都を事例にして解説

防火地域に指定されやすいエリアとは?

2つ目は、どんな地域が防火地域に指定されやすいのか、ということです。

そもそも防火地域が定められる目的は、都市計画法に記載されています。

防火地域または準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。

引用:都市計画法「第9条第21項」

つまり、防火に関する規制区域は、火災が発生する危険性が高い、または発生した際に被害の拡大が懸念される地域と言えます。
具体的には、以下のような地域が該当します。

  • 住宅同士が密集している地域
  • 耐火性の低い、古い木造住宅が多い地域
  • 近隣の道路幅が狭いエリア
  • 公園などの空き地が少ない地域

なお、こうした火災への危険性は東京都が取りまとめている「地震に関する地域危険度測定調査」の中でも取り上げられていますので、地震・火災など災害を避けたい場合は参考にしてみましょう。

関連記事:「東京で地震に強い地域はどこ?」23区地震危険度ランキング

延焼ライン(延焼の恐れのある部分)

3つ目は、延焼ライン(延焼の恐れのある部分)についてです。
延焼ラインとは、火災が発生した場合に隣家へと延焼を起こす可能性の高い範囲を示しています。

延焼ラインの図解

引用:国土交通省「建築基準法の改正概要」

延焼ラインに含まれる場合、防火地域・準防火地域の場合は開口部(玄関ドアや窓など)を防火設備として認定を受けた製品を、法22条区域の場合は外壁に準防火構造として認定を受けた製品を利用しなければいけませんので、土地購入や設計の前に確認する必要があります。

関連記事:延焼ライン(延焼のおそれのある部分)とは?

住宅金融支援機構が定める「省令準耐火構造」

4つ目は、耐火建築物や準耐火建築物と似た言葉である省令準耐火構造です。

耐火建築物・準耐火建築物・防火構造・22条区域の制限といった制限は建築基準法で定められた「守らなければいけない」基準である一方、省令準耐火構造は住宅金融支援機構が定めた基準で、基準を満たす義務はありません

一方で、省令準耐火構造に合致するよう家を建てることで、外部からの延焼被害を防止したり、他の家に延焼被害を与える可能性を下げられますので、防火に関する規制を受ける地域に含まれない場合でも、火災への不安を感じる方は省令耐火構造にすることも検討してみましょう。

関連記事:省令準耐火構造のメリットは?わかりやすく解説

まとめ│耐火性の高い住まいはクレバリーホーム東京へ

防火地域で建てる:落ち着いた色味が魅力的な木造三階建て二世帯住宅

【敷地12.17坪】木造耐火3階建て二世帯住宅の事例>>>

建物が密集する東京23区などで指定される、防火に関する4種類の地域について解説しました。

改めて、耐火性の高い家の仕様が義務付けられる地域は、主に以下の4つに分類されます。

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 法22条区域
  • 自治体ごとの防火規制(新たな防火区域など)

利便性の高い駅の近くや商業施設の近く、都市部などのエリアはいずれかの防火に関する規制を受けることが多くなります。

こうした地域で家を建てるなら耐火建築物の施工実績が豊富なハウスメーカー・工務店に依頼することをおすすめします。
東京23区内で耐火性の高い住まいを建てるなら、都内トップクラスの施工実績のあるクレバリーホーム東京へ、お気軽にご相談ください。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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