防火地域の「外壁・屋根・軒天」への規制とは?耐火建築物の外観事例も紹介
防火地域で家を建てる場合、外壁や屋根、軒天といった建物の外観に影響のある箇所が規制を受けます。
そこで本記事では、防火地域などでの「外壁・屋根・軒天」の規制内容について解説します。
防火地域の木造耐火住宅の施工事例も紹介しますので、規制を受けてどのようなデザインの住まいを建てられるのか、気になる方もせひ参考にしてください。
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Contents
防火地域で受ける「外壁・屋根・軒天」の規制
はじめに、防火地域に家を建てる場合に、住まいの外観を構成する「外壁・屋根・軒天」がどのような規制を受けるのか確認しましょう。
外壁の規制
引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」
防火地域では、3階建てを超える建物、または延床面積が100㎡を超える建物は、耐火建築物として建てなければいけません。
また、その他の建物も、準耐火建築物として建てる必要があります。
耐火建築物は、柱やはり、床など主要構造部について、一定時間、倒壊や延焼を防ぐ性能が求められます。
耐火建築物の規制には外壁も含まれていて、それぞれ指定された時間、火熱が加えられても構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊などの損傷が生じないことが求められます。
- 耐火建築物:1時間
- 準耐火建築物:45分間
屋根の規制
屋根は外壁と同様に、構造耐力上支障のある箇所(火災で燃え落ちた場合、倒壊・崩壊につながる可能性のある箇所)であるため、外壁と同様に一定の時間火熱に耐える建材を利用しなければいけません。
- 耐火建築物:30分間
- 準耐火建築物:30分間
軒天(軒裏)の規制
軒天(軒裏)とは、屋根が外壁より外側に出ている箇所の天井部分を指します。
軒天(軒裏)は構造耐力上支障のある箇所ではありませんので、耐火建築物では規制を受けません。
一方で準耐火建築物では、基本的に45分間、火熱が加えられても燃焼しない素材での建築が求められます。
開口部に対する防火規制も必要
防火地域や準防火地域で家を建てる場合は、延焼のおそれのある部分に設置される開口部にも注意が必要です。
開口部とは、窓やドア、換気扇など外部と接する箇所の外壁に穴を空けて作られる箇所を指します。
該当する箇所には、防火設備と呼ばれる、耐火性能の高い建材や消火設備などを設置する必要があります。
参考:建築基準法「第二条六」
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屋根や外壁に制限を受けた家の外観事例
防火地域で屋根や外壁に制限を受ける場合、使用できる建材の種類が減ることから外観デザインも影響を受けます。
制限を受けた場合、どのような外観の住まいになるのか確認しましょう。
落ち着いた色味が魅力的な木造三階建て二世帯住宅
1つ目の事例は、1階部分と2・3階部分で外壁の色を分けた3階建ての事例です。
外壁から屋根までアースカラーでまとめて、落ち着いた雰囲気の外観に仕上げています。
本事例は完全分離型の二世帯住宅で、玄関も二箇所設けています。
趣の異なる玄関を採用しているものの、どちらも外壁の色味と雰囲気が合うように玄関ドアのデザインを選定しています。
屋根の背面には、バーベキューができるほど広々としたルーフバルコニーを設けています。
物干し金物も設置して、洗濯など日常的に便利に利用できるよう配慮しました。
ツートンカラーがおしゃれな木造耐火三階建て住宅
続いて紹介するのは、台東区の防火地域に建築された、木造の耐火三階建て住宅です。
こちらの事例は窓の高さに合わせて外壁の色味を変え、ツートンカラーの外観にしています。
窓の上下・横方向の配置も合わせていて、まとまりのある外観がおしゃれです。
玄関前には和を感じる照明を選択。
外壁の選択肢が限られる中で、照明などの設備で個性を出すのも効果的です。
また、外壁にタイルを使用している点にも注目です。
外壁タイルは耐火性に優れていて、タイルならではの質感が高級感を高めます。
さらに汚れが付着しづらい、耐久性が高いなど、機能性の面でもメリットがありますので、特に防火地域において活用したい建材です。
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こちらの事例も広々とした屋上空間を設けました。
照明やコンセント、シャワーも設置して使い勝手のよい空間が広がります。
防火地域は、東京23区内など建物が密集した狭小地が指定されることが多いため、屋上を活用してプライベート空間を確保することは住環境の向上につながります。
そもそも防火地域とは?
外壁や屋根、軒天に使用する建材の種類が限られる防火地域や準防火地域。
どのような地域に定められるのかなど、制度について確認しましょう。
防火地域・準防火地域:火災の危険を防除するため定める
防火地域と準防火地域は都市計画法に定められていて、どちらも「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」とされています。
具体的には、緊急車両の通行を妨げないように幹線道路沿いが指定されたり、火災の延焼で被害が拡大しないよう駅前や繁華街、住宅が密集している地域などが指定されます。
東京23区内は大部分がこうした地域になりますので、多くのエリアが防火地域・準防火地域に含まれます。
このため、東京23区で家を建てる場合は、都心部の住宅密集地や防火地域を主な施工エリアとするハウスメーカーに依頼すると安心です。
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その他の防火規制を受ける区域
防火地域・準防火地域のほか、外壁の防火に関する規制を受ける地域として法22条区域や新たな防火規制区域があります。
法22条区域では、建物の屋根を不燃材料とすることや、外壁のうち延焼の恐れのある部分を準防火構造にすることが求められます。
軒裏や開口部への規制がありませんので、防火地域・準防火地域と比べて規制が緩い地域といえるでしょう。
新たな防火規制区域は東京都が独自に定める地域で、指定されると準防火地域よりも厳しい防火基準で家を建てることとなります。
規制区域の調べ方
こうした各種規制区域は、建築を予定している自治体に問い合わせることで該当する地域を調べられます。
そのほかにも、自治体が独自で都市計画に関する地図などを公表していることがありますので、自治体のホームページを確認して規制の有無を確認しましょう。
関連記事:【防火地域・準防火地域の調べ方】マップで確認する方法
複数の規制にまたがる場合の取り扱い
関連記事:防火地域と準防火地域がまたがる場合は?
土地によっては、規制区域をまたぐケースがあります。
この場合は、より規制の強い地域の規定が適用されることとなります。
たとえば、防火地域(外壁1時間耐火)と準防火地域(外壁45分耐火)がまたがる場合は、防火地域の基準に従って家を建てることとなります。
なお、間に防火壁を設けることで、以降の箇所を緩い基準で建てることなど、緩和規定もあります。
こうして建築費用を抑えたり、外観デザインの選択肢を増やす手法もありますので、防火地域で家を建て慣れたハウスメーカーに依頼することが大切です。
まとめ│火災に強い家はクレバリーホーム東京で
防火地域で受ける、外壁や屋根、軒天についての規制について解説しました。
東京23区などの都市部では、ほとんどの地域が防火に関する規制区域に含まれますので、基準を満たす仕様で家を建てなければいけません。
一方で耐火性の高い住まいは建築費用の増加やデザインの制限がかかりますので、制限のある中で理想とする住まいを建てられるよう、防火地域での建築に慣れたハウスメーカーに依頼しましょう。