耐震等級3で倒壊しない震度とは?熊本地震の被災状況から分かること
「耐震等級3の家は、どのくらいの震度で倒壊しますか?」
このように、耐震等級と震度の関係が気になる方もいるでしょう。
そこで本記事では、耐震等級3で倒壊しない震度や、関連して知っておきたい、耐震基準についても解説します。
地震への不安を抱えている方は、ぜひ参考にして安心、安全な住まいを建てましょう。
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Contents
耐震等級3で倒壊しない震度とは?
結論から言うと、耐震等級3で倒壊しないと期待される震度は震度6強から7クラスの地震です。
気象庁が発表する震度階級の最大は震度7ですので、耐震等級3であれば想定される最大級の地震を受けても倒壊する確率が低いといえます。
参考:住宅性能評価・表示協会「新築住宅の性能表示かんたんガイド」
耐震等級1で倒壊しない震度は「震度6強~7」
家を建てるとき、耐震性を確認するための指標として利用される耐震等級で最も低い等級は耐震等級1です。
実は耐震等級1でも、震度6強から7クラス(数百年に一度程度)の地震を受けても倒壊・崩壊しないことを期待できます。
耐震等級1で損傷しない震度は「震度5強」
耐震性を確認する上で知っておきたい指標は、倒壊・崩壊しにくさのほかに、地震に遭遇した際の建物の損傷しにくさもあります。
損傷の程度を耐震等級で評価する場合、耐震等級1の住まいでは、震度5強クラス(数十年に一度程度)を受けても損傷が生じないこととなっています。
倒壊・崩壊しないことのほか、損傷のしづらさといった視点があることを確認しておきましょう。
耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の強度
耐震等級1でも、震度6強~7の地震で倒壊せず、震度5強の地震でも損傷しないことが期待されますが、耐震等級3はその1.5倍の耐震性を持ちます。
つまり、「耐震等級3の家は、どのくらいの震度で倒壊するか?」と聞かれた場合の答えは、耐震等級1の家と同様に、震度6強~7の地震でも倒壊しない、というものです。
しかし中身が違っており、耐震等級3の住まいであれば複数回発生する震度6強~7の地震にも耐え、震度5強以上の地震でも損傷しないなど、より地震に強い家になることが期待されます。
熊本地震では耐震等級3で倒壊した建物はなし
実際に起きた地震では、耐震等級の違いによる被害の差が出ているのか確認しましょう。
実は、2016年に発生した熊本地震では、震度7を2回記録した益城町において、耐震等級3の住まいで倒壊した建物はありませんでした。
耐震等級1:2.3% 耐震等級3:0%
益城町での熊本地震の建物被害を調査した資料によると、建築基準法レベル(耐震等級1)の住まいでは、以下の被害状況でした。
【全体】301棟
- 無被害:181棟(60.1%)
- 軽微、小破、中破:101棟(33.6%)
- 大破:12棟(4%)
- 倒壊:7棟(2.3%)
一方で、耐震等級3を取得した住まいの被災状況は以下のとおりです。
【全体】16棟
- 無被害:14棟(87.5%)
- 軽微、小破:2棟(12.5%)
このとおり、建築基準法レベル(耐震等級1)の住まいでは中破、大破、倒壊の事例がある一方で、耐震等級3の住まいでは最も被害が大きな建物でも小破に留まっています。
耐震等級1と3の違いが、こうした被災状況に表れているといえるでしょう。
耐震「基準」も倒壊に関係する
耐震等級が重要視される一方で、現在築年数が経過した家にお住まいの方は、耐震「基準」を意識することも大切です。
耐震基準とは、建築基準法で規定される耐震性についての基準を指しています。
- 旧耐震基準:1950年~1981年
- 新耐震基準:1981年~2000年
- 現行基準:2000年~
主にこうした区分がされていて、特に旧耐震基準の家にお住まいの方は、安心できる住まいにするために、耐震診断や耐震改修、建て替えをおすすめします。
旧耐震基準:28.2%倒壊 現行基準:2.2%倒壊
熊本地震の被害調査は、耐震基準についても考察されています。
各基準の住まいの被害状況の中で、倒壊した建物の件数と割合は以下のとおりです。
- 旧耐震基準:214棟(28.2%)
- 新耐震基準:76棟(8.7%)
- 現行基準:7棟(2.2%)
このように、より新たな耐震基準に適合した住まいを建てることで、地震に遭遇した場合の被害を減らせる可能性が高まります。
現在の住まいの耐震性に不安を感じる方は、正確な築年数を確認してみましょう。
他に倒壊を防ぐ方法は?
耐震等級や耐震基準のほかにも、住まいの倒壊を防ぐ方法を紹介します。
制震技術の導入
1つ目の方法は、制震技術を導入することです。
制震とは、地震が発生した場合に揺れのエネルギーを吸収・変換する効果を持つ制震ダンパーや特殊な部材を柱や梁など構造部分に取り付けるものです。
耐震は地震に耐える性質を持つ一方で、制震は地震の揺れを減衰する効果を持ちますので、家にかかる地震の負担が少なくなります。
複数回発生する地震に対して、家の柱や梁の歪みが少なくなることを期待できます。
免震技術の導入
2つ目の方法は、免震技術を導入することです。
免震技術は建物の基礎と本体の間に免震装置を設置するもので、地震による揺れを建物に伝わりづらくする技術です。
地震の揺れを軽減する効果は高いものの、300万円~など比較的高額であることから、一般的には「耐震+制震」での対策が主流となっています。
耐火性の高い仕様の導入
地震災害への備えとして、住宅の耐火性を高めることも効果的です。
地震が発生して停電したあと、電気が復旧した際に通電したストーブなどにより火災が発生することがあります(二次災害といいます)。
地震で建物が被害を受けなかった場合でも、二次災害としての火災の発生によって自宅が被害に遭うケースがあります。
関連記事:地震による二次被害・災害とは?
屋根や外壁など、類焼(もらい火)による被害を受けやすい箇所の耐火性を高めることで防げる可能性もありますので、耐震性を高めることと同時に耐火性の高い住まいも必須となります。
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その他の地震に強い家の工夫を導入
紹介した対策以外にも、地震に強い家にする工夫は以下のように複数あります。
- 家の形を正方形や長方形に
- 軽量な屋根素材を利用
- 地盤が強い土地を選択する
- 定期的なメンテナンスで柱・梁の状態を確認する
こうした仕様にすることで、地震災害の被害を抑えやすくなります。
関連記事:地震に強い家とは?特徴を解説
まとめ│耐震等級3の家はクレバリーホーム東京で
「耐震等級3の家は、どのくらいの震度で倒壊しますか?」
こうした疑問について回答しました。
耐震等級1は、震度6強~7の地震でも倒壊せず、震度5強の地震でも損傷しないことを期待される等級です。
そして耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の強度を持つとされる住まいです。このことから、耐震等級3は震度6強~7の地震を受けても倒壊しない住まいといえます。
実際に震度7を2回記録した熊本地震では、耐震等級3の住まいが倒壊・崩壊した記録はありません。
地震被害の状況を見ても、耐震等級3の家は安心の住まいといえるでしょう。
また、耐震等級に加えて、制震・耐火など地震災害に強い技術を導入することで、より安全で安心できる家づくりを目指しましょう。