併用住宅とは|固定資産税は店舗・賃貸と一般住宅ではどう違う?税額の確認方法や軽減の条件

※こちらの記事は、2024年7月に公開したものを2026年6月に再編したものです。
併用住宅の固定資産税は、「どのくらいかかるのか」「軽減されるのか」が分かりにくいですが、間取りを工夫すれば、税額に数十万円単位の差が出るケースもあります。
自宅と事業用スペースが両方含まれる併用住宅では、固定資産税の計算が複雑になるため、あらかじめ仕組みを理解しておくことが重要です。
そこで本記事では、併用住宅の種類や専用住宅との税法上の違いから、計算方法・確認方法と軽減措置の基本、住宅ローンの取り扱い、節税メリットについてわかりやすく解説します。
固定資産税が経費になるかなど「よくある質問」も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事のポイント
・併用住宅でも、居住部分の割合が一定以上なら、一般住宅と同じ固定資産税の軽減(土地・建物)が受けられます。
・土地:住宅用地の特例で課税標準が最大1/6(小規模)または1/3(一般)に。併用住宅は居住割合に応じた「住宅用地率」で軽減対象が決まります。
・建物:新築は居住部分120㎡相当まで税額1/2減額。3階以上の耐火住宅は減額期間が5年(通常3年)。
・この建物の減額は令和13年(2031年)3月31日までに延長されています。
・店舗・賃貸部分には、建物とは別に「償却資産税」がかかる設備があります(申告漏れ注意)。
・東京23区の狭小地では、居住割合の確保しだいで軽減額が大きく変わります。設計段階での割合設計がカギです。
併用住宅とは|定義と専用住宅・兼用住宅との違い

▶︎施工事例:中央区・半地下活用木造賃貸住宅|敷地21.27坪|延床58.69坪
併用住宅とは、自宅として使う「居住用スペース」と、店舗や事務所、賃貸住宅などの「事業用スペース」が1つの建物にあるものを指します。
併用住宅には、固定資産税の軽減措置を受けられたり、事業用ローンより金利の低い住宅ローンを利用して建設できたりするなど、収益性や資金計画の面でメリットがあるため、東京などを中心に多く建てられているのが実情です。
専用住宅・兼用住宅との違い
専用住宅は、「居住用スペース」のみを有する一般的な住宅で、兼用住宅は併用住宅と同じく「居住用スペースと事業用スペース」の両方を有する建物ですが、2つには明確な違いがあります。
| 併用住宅 |
|
| 兼用住宅 |
|

なお、税法上では、居住用スペース・事業用スペースが内部で繋がっているかどうかは関係なく、固定資産税の額には影響しません。
建物に占める居住用スペースの割合(居住割合)が重要であり、併用住宅・兼用住宅のどちらも、居住割合の条件を満たせば軽減を受けられる可能性があります。
※第一種低層住居専用地域:主に、戸建住宅や低層マンションなどしか建てられない都市計画法で定める用途地域(兼用住宅であれば建築が認められる場合がある)
出典:e-GOV法令検索|建築基準法第48条、e-GOV法令検索|建築基準法施行令第130条の3
併用住宅の種類
併用住宅は、「事業用スペース」の用途により、主に以下の種類に分けられます。
| 店舗・事務所併用住宅 |
|
| 賃貸併用住宅 |
|
| 医院(クリニック)併用住宅 |
|
このように、自宅とどのような用途の事業スペースを組み合わせるかによって、生活の利便性や収益性が変わるため、ご自身のライフスタイルや将来設計に合わせた検討が必要です。
▶︎おすすめコラム:『賃貸併用住宅はやめとけ?』後悔を避けるため知るべき7つ理由、後悔を避ける8つの対策も解説
▶︎おすすめコラム:【事例あり】店舗併用住宅の間取り│暮らしやすく整えるポイントをご紹介
土地・建物における固定資産税の軽減措置の仕組み|併用住宅と一般的な住宅で違うのか

一般住宅には、土地と新築建物に係る固定資産税の軽減措置が適用されるのが原則です。
また、多くの自治体では、固定資産税と併せて都市計画税※の軽減措置も設けています。
ただし、併用住宅の場合は、居住割合によって軽減措置の適用可否が異なるので注意しましょう。
ここでは、固定資産税の軽減措置について、土地と建物それぞれについて詳しくご紹介します。
※固定資産税:毎年1月1日時点に土地と建物(家屋)を所有している人に課税される地方税
※都市計画税:都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるために、その地域にある土地や家屋に対して課せられる地方税
土地の軽減措置
一般的に、住宅が建つ土地(住宅用地)の固定資産税は、「住宅用地の特例※」が適用されます。
※住宅用地の特例:人が住む家の敷地にかかる固定資産税を軽くする仕組み
| 住宅用地の区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|
小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) |
1/6 | 1/3 |
|
一般住宅用地 (200㎡を超える部分) |
1/3 | 2/3 |
住宅用地の特例により、敷地面積が200㎡以下の部分は固定資産税が1/6(都市計画税は1/3)、200㎡を超える部分は1/3(都市計画税は2/3)まで減額されるということです。
建物の軽減措置
新築住宅の場合、建ててから一定期間は、建物(家屋)に係る固定資産税を1/2に軽減できます。
この軽減措置は、令和8年度の税制改正により、令和13年(2031年)3月31日までに新築された住宅が対象に延長されました。
ただし、軽減の適用期間は、建物の規模や種類によって異なる点には注意が必要です。
| 住宅の種類 | 住宅性能
(一般) |
住宅性能
(長期優良住宅※) |
|
一戸建て住宅 併用住宅 (延べ面積40㎡以上240㎡以下、賃貸部分は1戸あたり40㎡以上) |
3年間 | 5年間 |
|
耐火・準耐火建築物※ (3階建て以上) |
5年間 | 7年間 |
※長期優良住宅:国の基準を満たした、長く良好に住める認定住宅
※耐火・準耐火建築物:主要な構造を火に強い仕様とした建物
クレバリーホーム城東店・新宿店が都内の狭小地で手がける「木造耐火の3〜4階建て(もくよん®)」は、上記表の耐火建築物に該当するため、一般住宅より長い「5年間」の減額措置を受けられます。
東京都で併用住宅をご希望の方は、店舗併用住宅・賃貸併用住宅の施工実績が豊富なクレバリーホーム城東店・新宿店までお気軽にお問い合わせください。
▶︎おすすめコラム:木造4階建ては耐火構造が必須│建築の条件や費用、依頼先工務店の選び方まで解説
▶︎おすすめコラム:注文住宅を安くする方法|建築費用と固定資産税のポイント
【土地】併用住宅の固定資産税を軽減させる条件|居住割合1/4以上

▶︎施工事例:江東区・店舗併用二世帯住宅|敷地12.95坪|延床43.16坪
併用住宅で固定資産税の「住宅用地の特例」を適用させるためには、土地・建物(家屋)における居住割合の条件をチェックする必要があります。
住宅用地の特例を適用させるためには、居住部分の割合が「最低1/4以上」あることが必須条件です。
ただし、併用住宅の場合は、単純に敷地面積が200㎡以下の部分は、固定資産税が1/6になるというわけではありません。
併用住宅の土地において「住宅用地」としてみなされるのは、敷地面積に下記表の率を乗じた部分のみです。
| 居住割合 | 率 | |
| 下記以外の併用住宅 | 1/4以上1/2未満 | 0.5 |
| 1/2以上 | 1.0 | |
| 地上5階以上の耐火建築物の併用住宅 | 1/4以上1/2未満 | 0.5 |
| 1/2以上3/4未満 | 0.75 | |
| 3/4以上 | 1.0 |
つまり、敷地全体を「住宅用地」として軽減措置をフル活用したい場合は、居住用スペースが地上5階以上の耐火建築物は「3/4以上」、それ以外は「1/2以上」必要になるということです。

【建物】併用住宅の固定資産税を軽減させる条件|居住割合1/2以上

▶︎施工事例:中央区・賃貸用店舗と倉庫併用住宅|敷地34.07坪|延床71.91坪
併用住宅を新築する場合、建物の延べ面積に対して居住割合が「1/2以上」であれば、固定資産税が1/2に軽減されます。
ただし、この軽減措置は、令和8年度の税制改正によって、居住部分の延べ面積が40㎡以上240㎡以下の場合にのみ(賃貸部分などは1戸あたり40㎡以上)利用できるため、ご注意ください。
出典:東京都主税局|新築住宅に係る税額の減額措置、国土交通省|新築住宅に係る税額の減額措置
▶鉄骨造(耐震等級1)を超える耐震性の木造4階建て【もくよん®】
固定資産税の計算方法・確認方法

これから併用住宅を建てる方で「固定資産税がどのくらいになるか具体的に知りたい」という方のために、税額の計算方法と確認方法をわかりやすく解説します。
計算方法
ここでは、土地と建物にかかるそれぞれの固定資産税を計算する方法をご紹介します。
※下記はイメージで、実際は土地・建物の「評価額」をもとに課税標準額を算出し、そこに特例(1/6・1/2など)を適用します。課税標準額は、立地・仕様で大きく変わりますのでご注意ください。
| 基本的な計算方法 | 課税標準額※×1.4%=税額 |
| 軽減措置適用前の計算例 |
→合計の固定資産税額:70万円 |
| 軽減措置適用後の計算例 |
→合計の固定資産税額:25.7万円(軽減措置適用前より44.3万円減額) |
※課税標準額:税額を計算するもとになる金額。評価額に特例を反映した額
実際に支払う税額の確認方法
その年に支払う固定資産税がいくらになるのかは、納付書と課税証明書(固定資産税)で確認できます。
納付書と課税証明書は、土地家屋を所有している所有者に対して、毎年4月~5月に行政から送付される書類です。
納付書は、支払う税額が記載されており、課税証明書は、土地や建物の評価額を確認できます。
評価額は、支払う税額の根拠となる資産の価値を知ることができるため、自身で計算する際の参考にしましょう。
店舗・賃貸部分には「償却資産税」もかかる
併用住宅のうち、店舗・クリニックや賃貸事業用スペースにある設備の一部も「固定資産税」に含まれ、土地・建物の固定資産税とは別に「償却資産税」の対象です。
償却資産税とは、事業で使う機械設備・器具・備品などにかかる税金で、厨房機器や医療設備、業務用エアコン、看板などが該当します。
償却資産税の対象物は、所有者が申告しなくてはならないため、「建物の固定資産税を払っているから設備は関係ない」と考えて申告漏れになりやすいため、注意しましょう。
併用住宅の固定資産税以外にもある節税メリット|住宅ローン控除・所得税・相続税

▶︎施工事例:世田谷区・木造3階建て店舗併用住宅|敷地41.65坪|延床55.95坪
住宅ローン控除(居住部分が対象)
併用住宅は、居住割合に応じて、住宅ローンを利用でき、住宅ローン控除の対象となります。
原則として、事業用ローンと比べると住宅ローンの金利は大きく低いため、仕事場と自宅を1つの建物にして併用住宅として融資を受ける方が圧倒的に有利と言えます。
近年、政策金利の引き上げによって住宅ローンの金利は、変動の場合で「0.5〜1.9%」、固定の場合で「1.7〜4.7%」程度で推移しており、以前よりも割安感は無くなりましたが、事業用ローンも金利が「4.0〜18.0%」と上昇傾向にあるため、住宅ローンを使う方がお得になるケースが大半です。
ここで、選ぶローンによって、返済額がどのくらい変わるのか、確認してみましょう。
【借入額8,000万円・借入期間30年間・元利均等返済・ボーナス払いなしの場合】
※下記シミュレーションはイメージです。実際の返済額と異なる場合がありますのでご注意ください。
| ローンの種類 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
| 住宅ローン
金利0.5% |
23.9万円 | 8,620万円 |
| 事業用ローン
金利4.0% |
38.2万円 | 1億3,750万円 |
このように、住宅ローンを利用することで、同じ借入額でも、総返済額を大きく抑えられる可能性があります。
ちなみに、住宅ローン控除を利用する場合は、居住部分と事業用部分それぞれの床面積で按分して控除額を計算します。
ただし、2024年以降に入居する新築住宅でこの控除を受けるには、原則として省エネ基準※への適合が必要となりますので、ご注意ください。
※省エネ基準:国が定める断熱・省エネの最低ラインで、「断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4以上」相当の性能
店舗・賃貸部分の経費算入(所得税対策)
事業用スペースは、固定資産税を経費に計上でき、所得税を抑えられる場合があります。
固定資産税を経費計上する場合、延べ面積を居住用・事業用で按分し、事業で使っていると認められる割合の税額のみ含む方法が原則です。
固定資産税以外にも、以下の費用は経費計上できる可能性がありますので、確定申告の際には、事前に税理士に確認しましょう。
|
※減価償却費:建物などの取得費を使用年数に応じて費用にする会計上の仕組み
相続税対策(小規模宅地等の特例)
将来の相続を見据えると、一定の要件を満たす宅地は「小規模宅地等の特例」により、課税評価額を下げられる場合がある点もポイントです。
自宅部分は特定居住用宅地等、店舗など自ら営む事業部分は特定事業用宅地等、賃貸部分は貸付事業用宅地等として扱われ、区分ごとに以下の割合で相続税の課税価格が減額される可能性があります。
※複数の区分を併用する場合は限度面積に調整があり、合計の上限も決まっています。要件が細かいため、詳しくは税理士にご確認ください。
| 建物の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
| 特定居住用宅地等
(自宅部分) |
330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等※
(店舗など自ら営む事業部分で不動産貸付業は除く) |
400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等※
(賃貸部分) |
200㎡ | 50% |
※被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が事業用に使用していた場合に限ります。
出典:国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
【FAQ】併用住宅の税金に関する「よくある質問」

最後に、ここでは併用住宅の税金に関して、多くの方が気になる「よくある質問」を紹介します。
Q.併用住宅の店舗部分が廃業すると固定資産税は減る?
A.廃業後は、市区町村(東京23区は所在区の都税事務所)に用途変更の申告を行うと、建物全体が居住用として認められ、固定資産税が減額される可能性があります。
ただし、所有者が申告しなければ併用住宅のまま課税されるためご注意ください。
申告の際に、事業用スペースのリフォーム工事は必ずしも必要ありませんが、事業用の設備機器や什器、家具などが残っていると、居住用スペースとして認められない場合があります。
また、これらには、償却資産税がかかるため、こちらの申告が必要です。
そのため、事業を廃業した場合は、設備などを早めに撤去・廃棄し、居住用として市区町村(東京23区は所在区の都税事務所)に申告することをおすすめします。
Q.併用住宅は不動産取得税も安くなる?軽減措置はある?
A.自治体によって制度の詳細は異なりますが、東京都の場合は、併用住宅も居住割合が1/2以上であれば、住宅部分・非住宅部分を床面積で按分し、居住用のみ不動産取得税の軽減措置が適用されます。
不動産取得税の控除額は最大1,200万円(認定長期優良住宅などは1,300万円)です。
税率は原則4%ですが、住宅(居住用家屋)と土地は特例で3%に軽減されています(令和9年3月31日までの取得)。
軽減措置の要件として、住宅部分の床面積が原則50㎡以上240㎡以下であることも求められます(賃貸など一戸建て以外の貸家住宅は、1戸あたり40㎡以上240㎡以下)。
出典:東京都主税局|不動産取得税|不動産取得税の軽減制度に係るQ&A(非課税・住宅の軽減制度等)
まとめ
併用住宅も、一定の条件を満たすと固定資産税などの軽減措置を利用できます。
ただし、一般的な専用住宅とは適用条件が異なる点にはご注意ください。
併用住宅の固定資産税は、居住部分の割合をどう設計するかで軽減幅が大きく変わります。
とくに地価の高い東京23区では、限られた敷地で収益部分を確保しながら居住割合を1/2以上に保てるかどうかが、税負担を抑えるカギです。
計画段階で、居住部分が延べ床面積の1/2以上になる間取りかを必ず確認しましょう。
このように、併用住宅は「設計段階」で税額が大きく変わるため、実績のある設計会社への相談が重要です。
弊社では、都内の狭小地で木造耐火の3〜4階建て(もくよん®)による併用住宅を数多く手がけており、居住割合を見据えた間取り設計から、土地探し・資金計画までトータルでサポートします。
ou2(オーツー)が運営するクレバリーホーム城東店・新宿店は、都内の狭小地における『木造耐火3階建て・4階建て』の施工実績が豊富です。
価格高騰が続く中でも、省エネ性能を備え、敷地を最大限に活かす多層階住宅など、都市ならではのコストを抑えた家づくりはお任せください。
資金計画から土地探し、間取りのご提案まで、トータルでサポートいたします。















