防火地域の窓・サッシの規制とは?網入りガラスやシャッターなど利用できる建材も紹介

防火地域の窓・サッシの規制とは?網入りガラスやシャッターなど使える建材を紹介

「防火地域に家を建てる予定だが、窓に網が入ることは避けたい」
「断熱性の高いサッシを利用したいが可能なのか」
防火地域で新築を計画する際、開口部(窓や玄関ドアなど)についてこうしたお悩みを抱える方は少なくありません。

防火地域では、隣地の境界線から一定の範囲に含まれる開口部に耐火性の高い製品を使用することが義務付けられます。

たとえば、窓枠であるサッシ部分に耐火性が必要であったり、延焼を防ぐ網入りガラスを使用することなどが挙げられます。

本記事では、防火地域での窓に関する規制について解説します。
東京23区内などで家を建てる場合、防火に関する規制を受けるケースが多くなりますので、特に都市部で家を建てる方はぜひ参考にしてください。


この記事のポイント

・防火地域・準防火地域では、延焼ライン(隣地境界線・道路中心線から1階は3m以下/2階以上は5m以下)の中にある窓・玄関ドアは「防火設備」が義務。一般の窓は使えません

・戸建て・アパートで使う防火設備は「20分間の遮炎性能」が基準。選択肢は網入りガラス(割安)/耐熱強化ガラス(網なし・透明だが割高)/防火シャッターの3つが中心

・防火地域の建築費は、防火地域外と比べておおむね10〜20%ほどの上乗せが目安(仕様・規模により変動)

・延焼ラインを外した窓配置や壁面の計画しだいで、防火窓そのものを減らし、採光と眺望を確保できるケースもある(設計力で差が出る部分)


防火地域では開口部(窓・ドア)が規制を受ける

防火地域など、火災の延焼を防ぐ必要のある地域では、窓やドアといった開口部が規制を受けます。

どのような範囲がどのような規制を受けるのか確認しましょう。

延焼ライン内の開口部(窓・ドア)を防火設備に

防火地域では延焼ライン内の開口部(ドア・窓)を防火設備にする必要がある

防火地域では、延焼ライン(延焼のおそれのある部分)に含まれる開口部(窓・ドア)を防火設備にする必要があります。

建築基準法では、防火地域・準防火地域での建築物について、以下のように規定されています。

防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

引用:建築基準法「第六十一条 防火地域及び準防火地域内の建築物」

つまり、防火地域や準防火地域では、延焼ライン内に窓や玄関ドアを設置する場合、定められた技術的基準に適合する製品、および国土交通大臣が認定する製品を使う必要があるということです。

防火地域、準防火地域については「防火地域・準防火地域とは? 種類と違い、建築制限・規制を一覧比較」の記事で詳しく解説していますので、合わせて参考にしてください。

延焼ライン(延焼の恐れのある部分)とは?

では、開口部が規制を受ける延焼ライン(延焼の恐れのある部分)とはどの箇所なのでしょうか。

延焼ラインは火災が発生した場合に、隣家に向かって延焼を起こしやすい範囲を図示したもので、以下の図のように表されます。

延焼ラインの図解

引用:国土交通省「建築基準法の改正概要」

隣地境界線または道路中心線から、1階は3m以下、2階以上は5m以下の範囲が延焼ライン(延焼のおそれのある部分)です。
この範囲に開口部が入る場合、窓やドアといった箇所に防火設備として認定された製品を使用する必要があります。

さらに詳しく延焼ラインについて確認したい方は、「延焼ライン(延焼のおそれのある部分)とは?「緩和」で防火・準防火・22条区域で火災に強い家を建てる」の記事をご覧ください。

防火地域・準防火地域・新たな防火規制区域が対象

こうした開口部に対しては、以下の3つの地域で規制の対象となります。

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 新たな防火規制区域(東京都独自の制度)

例:防火地域における耐火建築物・準耐火建築物の規制範囲

防火地域内での耐火・準耐火建築物についての規制

引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」

各地域では上の図のように、建物の高さや床面積によって、建物の仕様を耐火建築物や準耐火建築物にする必要があります。

耐火建築物・準耐火建築物では、延焼の恐れのある部分について防火構造とすること(=防火設備を使用すること)が義務付けられます。

防火構造にする必要性を確認するには、建築予定地が防火地域・準防火地域・新たな防火規制区域いずれかの区域に入っているか、さらに階数や床面積が規制に該当する規模なのかを確認しなければいけません。

敷地が防火地域に含まれているか確認したい方は、「【防火地域・準防火地域の調べ方】マップで確認する方法を東京都の事例で解説」の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

防火設備(防火戸)とは?

防火設備(防火戸)とは?

【江東区】敷地12.17坪の敷地に建つ木造耐火3階建て二世帯住宅の事例>>>

城東エリア(江東区)の木造耐火3階建て(敷地12.17坪)の事例では、隣接する賃貸住宅側に向けた窓の数を減らし、一方で視界の開ける道路側には透明な耐熱強化ガラスを採用しています。

こうした使い分けによって採光とコストの両立を目指すことのできる防火設備(防火戸)について、さらに詳しく確認しましょう。

 

防火設備(防火戸)とは、開口部から周囲の建物への延焼を防ぐことを目的として、一定の技術的基準を満たしたもの、または技術的基準を満たす性能があることを、国土交通大臣から認定を受けた建材です。

認定を受けると、以下の表のように認定コードが割り振られ、製品の遮炎性能を確認することができます。

特定防火設備 防火設備
大臣認定コード
(製品ごとに割り振られる)
EA EB EC
必要要件 加熱面以外の面に火炎を出さない
必要性能 遮炎性能 準遮炎性能
遮炎時間 1時間 20分間
火災の種類 建築物の屋内または周囲で発生する通常の火災 建築物の周囲で発生する通常の火災

 

防火設備は、1時間の遮炎性能が求められる特定防火設備と、20分間の遮炎性能が求められる防火設備に分けられます。
一戸建てやアパートなど、小規模な建物であれば20分遮炎の防火設備を利用することとなります。

さらに具体的に、一戸建て・アパートで利用される防火設備(防火戸)を見てみましょう。

※遮炎性能:火災の炎を一定時間さえぎる性能
※特定防火設備:1時間の遮炎性能をもつ防火設備。主に防火区画用

加熱を受けてもガラスの脱落を防ぐ「網入りガラス」

火災発生時のガラスの脱落を防ぐ網入りガラス

防火地域などの延焼ライン内で最も利用されている防火設備は、網入りガラスです。

網入りガラスは、ガラス内部に金属製のワイヤーを挟み込んだ製品で、火災が発生して熱によってガラスが変形・破損した場合でも網の効果でガラスの脱落を防ぐ製品です。

火災の炎が室外に出ることを防げますので、他の建物への延焼を防ぐ効果があります。

透明でも耐火性を持つ「耐熱強化ガラス」

網入りガラスは比較的割安に防火設備の基準を満たせる一方で、外の景色を見る際にワイヤーが眺望の邪魔になるケースがあります。

そこで利用されているのは、耐熱効果を高めた網なしのガラスです。
高い耐熱性を確保することで規定の熱が生じても割れず、眺望のよさと防火設備の基準、どちらも満たすことが可能です。

透明であることから視界や眺望を遮ることなく、リビングなど景観を楽しみたい部屋に設置することもおすすめです。

ただし、網入りガラスと比較して値段が高くなります。
予算が限られる場合は、リビングなど主要な部屋には耐熱ガラスを、寝室などには網入りガラスを設置するなど、場所による使い分けが重要です。

窓の位置を延焼ラインの外に寄せる、または壁で炎を遮る配置にできれば、一般の窓(透明・低コスト)を使える場合があります。
狭小地ほど設計の自由度は下がりますが、間取りと外観の初期段階で開口部を計画することで、防火窓の数とコストを抑えられます。

出典:YKK AP株式会社 防火窓、LIXIL 防火戸関連カタログ

防音・遮熱などにも効果的「防火シャッター」

防音・遮熱などにも効果的「防火シャッター」

網入りガラス・耐熱強化ガラスなど、開口部の耐火性を高めるもののほか、防火性能を持ったシャッターを取り付ける方法もあります。

防火認定を受けたシャッターを利用することで、網入りガラスを利用せずに済み、耐熱強化ガラスのように眺望を確保できます。
また、シャッターを閉じることで防犯対策になったり、遮熱・断熱効果を高めたりといった効果も期待できます。

一方で開閉時の音や、屋根・軒など窓まわりの建材と干渉して設置できないケースがあるなど、デメリットもありますので、適した箇所に設置する必要があります。

 

防火地域としての指定も多い首都圏狭小地での建築設計において課題となるのは、「限られた敷地を有効活用し、採光や通風を確保すること」です。

十分な床面積を確保し、開口部も設ける目的では木造3・4階建ての仕様が有効となります。
狭小地での家づくりをご検討中の方は、クレバリーホーム城東店・新宿店の提供する「もくよん®(木造4階建て)」をおすすめします。

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防火地域と窓について注意しておきたいポイント

記事の終わりに、防火地域に窓を設置する際に注意しておきたいポイントを紹介します。

防火規制に対応するための予算を確保する

延焼被害を防止する工夫を加えた防火窓は、通常の窓と比較して価格が高くなる傾向があります。
また、防火地域では外壁や軒裏など、窓以外の箇所についても耐火建築物の規制に合致するよう建材を選ぶ必要があります。

このため、防火地域外での建築と比べて、10~20%ほどの費用増を見込む必要があります。
※仕様や規模、地域によって異なりますので、目安としてお考えください。

防火地域における建築費用について気になる方は、「【防火地域に耐火建築物】建築費用・値段は?安くする方法も解説」の記事もおすすめです。

樹脂・木製サッシを選べないケースもある

高断熱な住まいづくりでは窓の性能強化が求められますが、防火・準防火地域では「防火窓」の制限を受けます。

防火窓は現在、大手メーカーから防火認定を受けた樹脂サッシも登場しています。
ただし、サッシ枠が樹脂であっても、選べるガラスには注意が必要です。
多くのサイズで展開されているのは「Low-E網入ガラス」であり、視界を遮らない「網なし(耐熱強化ガラス)」仕様は商品やサイズが限定されます。
また、木製サッシの防火認定品は依然として数が少ないため、樹脂サッシと比べてもさらに選択肢は狭まります。

さらに、防火窓は特殊構造のため通常品より割高になる傾向があることから、予算とサイズを考慮した開口部計画を立てる必要があります。

防犯を目的とする場合は専用のガラスを選択する

防火窓として利用されることの多い網入りガラスですが、防犯性に配慮された製品ではない点に注意しましょう。

なお、防火窓の中には、ガラス破り対策をした防犯性能の高い製品もあります。
防犯性能を高める場合は、防犯に配慮されたガラスを利用するか、シャッター付きの窓を選択しましょう。

まとめ│防火地域の住まいはクレバリーホーム城東店・新宿店へ

防火地域の住まいはクレバリーホーム城東店・新宿店へ

【中央区】狭小地を最大限に活用した木造3階建て耐火注文住宅>>>

防火地域内で家やアパートを建てる場合、窓や玄関ドアに対して規制を受けることがあります。
使用できる建材が限られ建築費用も高くなる一方で、住宅密集地での不安材料である火災に強い家を建てることが可能です。

防火窓はコストも仕様の制約も大きくなりがちですが、延焼ラインを外した窓配置や壁面といった、設計上の工夫によって採光と防火性能を両立できる余地は残されています。

都市部の狭小地では、こうした開口部まわりの設計判断と木造耐火の施工ノウハウが、住み心地と建築コストを大きく左右します。

 

ou2(オーツー)が運営するクレバリーホーム城東店・新宿店は、都内の狭小地における『木造耐火3階建て・4階建て』の施工実績が豊富です。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社(オーツー株式会社) 専務取締役 / 一級建築士

早稲田大学商学部卒業後、「完全な文系人間」から建築の世界へ飛び込み、一級建築士として活躍。10年にわたる商業建築で培ったシビアな空間設計ノウハウと、25年の戸建住宅の設計実績を併せ持つ。特に東京都内の木造密集地域や防火地域において、施工性と設計の柔軟性を活かした木造耐火4階建て住宅(もくよん®等)や、天災時には避難場所となる地下室・屋上を備えた災害住宅の提唱・実践を続けている。

プライベートでは子育てを終え、現在は登山やキャンプ、スキーなど活動的な休日を過ごしている。また、「空き家レスキュー」や「こども食堂」、シェアハウスの運営を通じた地域活動の場を提供するなど、地域社会支援にも精力的に取り組んできた。スペックだけでなく、住まう人の「暮らしの温かさ」に深く寄り添う提案を得意としている。

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