防火地域の窓・サッシの規制とは?網入りガラスやシャッターなど利用できる建材も紹介
家やアパートを建てる際、建築予定地が防火地域に含まれることがあります。
防火地域では、隣地の境界線から一定の範囲に含まれる開口部(窓や玄関ドアなど)に耐火性の高い製品を使用することが義務付けられます。
たとえば、窓枠であるサッシ部分に耐火性が必要であったり、割れにくい網入りガラスを使用することが挙げられます。
本記事では、防火地域での窓に関する規制について解説します。
東京23区内などで家を建てる場合、防火に関する規制を受けるケースが多くなりますので、特に都市部で家を建てる方はぜひ参考にしてください。
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防火地域では開口部(窓・ドア)が規制を受ける
防火地域など、火災の延焼を防ぐ必要のある地域では、窓やドアといった開口部が規制を受けます。
どのような範囲がどのような規制を受けるのか確認しましょう。
延焼ライン内の開口部(窓・ドア)を防火設備に
防火地域では、延焼ライン(延焼のおそれのある部分)に含まれる開口部(窓・ドア)を防火設備にする必要があります。
建築基準法では、防火地域・準防火地域での建築物について、以下のように規定されています。
その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。
つまり、防火地域や準防火地域では、延焼ライン内に窓や玄関ドアを設置する場合、定められた技術的基準に適合する製品、および国土交通大臣が認定する製品を使う必要があるということです。
延焼ライン(延焼の恐れのある部分)とは?
では、開口部が規制を受ける延焼ライン(延焼の恐れのある部分)とはどの箇所なのでしょうか。
延焼ラインは火災が発生した場合に、隣家に向かって延焼を起こしやすい範囲を図示したもので、以下の図のように表されます。
隣地境界線から、1階は3mまで、2階は5mまでの範囲が延焼ラインとなります。
この範囲に開口部が入る場合、窓やドアといった箇所に防火設備として認定された製品を使用する必要があります。
防火地域・準防火地域・新たな防火規制区域が対象
こうした開口部に対しては、以下の3つの地域で規制の対象となります。
- 防火地域
- 準防火地域
- 新たな防火規制区域(東京都独自の制度)
例:防火地域における耐火建築物・準耐火建築物の規制範囲
引用:豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」
各地域では上の図のように、建物の高さや床面積によって、建物の仕様を耐火建築物や準耐火建築物にする必要があります。
関連記事:防火地域内の『耐火建築物・準耐火建築物』特徴を解説
耐火建築物・準耐火建築物では、延焼の恐れのある部分について防火構造とすること(=防火設備を使用すること)が義務付けられます。
建築予定地が防火地域・準防火地域・新たな防火規制区域、いずれかの区域に入っているか、さらに階数や床面積が規制に該当する規模なのかを確認する必要があります。
防火設備(防火戸)とは?
延焼ライン内の開口部に使用できる防火設備(防火戸)について、さらに詳しく確認しましょう。
防火設備(防火戸)とは、開口部から周囲の建物への延焼を防ぐことを目的として、一定の技術的基準を満たしたもの、または技術的基準を満たす性能があることを、国土交通大臣から認定を受けた建材です。
認定を受けると、以下の表のように認定コードが割り振られ、製品の遮炎性能を確認することができます。
特定防火設備 | 防火設備 | ||
大臣認定コード (製品ごとに割り振られる) | EA | EB | EC |
必要要件 | 加熱面以外の面に火炎を出さない | ||
必要性能 | 遮炎性能 | 準遮炎性能 | |
遮炎時間 | 1時間 | 20分間 | |
火災の種類 | 建築物の屋内または周囲で発生する通常の火災 | 建築物の周囲で発生する通常の火災 |
防火設備は、1時間の遮炎性能が求められる特定防火設備と、20分間の遮炎性能が求められる防火設備に分けられます。
一戸建てやアパートなど、小規模な建物であれば20分遮炎の防火設備を利用することとなります。
さらに具体的に、一戸建て・アパートで利用される防火設備(防火戸)を見てみましょう。
加熱を受けてもガラスの脱落を防ぐ「網入りガラス」
防火地域などの延焼ライン内で最も利用されている防火設備は、網入りガラスです。
網入りガラスは、ガラス内部に金属製のワイヤーを挟み込んだ製品で、火災が発生して熱によってガラスが変形・破損した場合でも網の効果でガラスの脱落を防ぐ製品です。
火災の炎が室外に出ることを防げますので、他の建物への延焼を防ぐ効果があります。
透明でも耐火性を持つ「耐熱強化ガラス」
網入りガラスは比較的割安に防火設備の基準を満たせる一方で、外の景色を見る際にワイヤーが眺望の邪魔になるケースがあります。
そこで近年利用されているのは、耐熱効果を高めた網なしのガラスです。
高い耐熱性を確保することで規定の熱が生じても割れず、眺望のよさと防火設備の基準、どちらも満たすことが可能です。
ただし、網入りガラスと比較して値段が高くなります。
予算が限られる場合は、リビングなど主要な部屋には耐熱ガラスを、寝室などには網入りガラスを設置するなど、場所による使い分けが重要です。
参考:YKK AP株式会社「エピソードⅡ 防火窓 GNEO」
防音・遮熱などにも効果的「防火シャッター」
網入りガラス・耐熱強化ガラスなど、開口部の耐火性を高めるもののほか、防火性能を持ったシャッターを取り付ける方法もあります。
防火認定を受けたシャッターを利用することで、網入りガラスを利用せずに済み、耐熱強化ガラスのように眺望を確保できます。
また、シャッターを閉じることで防犯対策になったり、遮熱・断熱効果を高めたりといった効果も期待できます。
一方で開閉時の音や、屋根・軒など窓まわりの建材と干渉して設置できないケースがあるなど、デメリットもありますので、適した箇所に設置する必要があります。
防火地域と窓について注意しておきたいポイント
記事の終わりに、防火地域に窓を設置する際に注意しておきたいポイントを紹介します。
防火規制に対応するための予算を確保する
延焼被害を防止する工夫を加えた防火窓は、通常の窓と比較して価格が高くなる傾向があります。
また、防火地域では外壁や軒裏など、窓以外の箇所についても耐火建築物の規制に合致するよう建材を選ぶ必要があります。
このため、防火地域外での建築と比べて、10~20%ほどの費用増を見込む必要があります。
樹脂・木製サッシを選べないケースもある
夏涼しく冬暖かい住まいを目指す場合、熱が侵入しやすい窓部分の仕様を高めることが効果的です。
一般的に断熱性の高い窓として、樹脂サッシ・木製サッシが知られていますが、防火窓の認定を受けた樹脂・木製サッシは数が限られます。
求めている寸法の窓が見つからない場合もありますので、注意が必要です。
防犯を目的とする場合は専用のガラスを選択する
防火窓として利用されることの多い網入りガラスですが、防犯性に配慮された製品ではない点に注意しましょう。
なお、防火窓の中には、ガラス破り対策をした防犯性能の高い製品もあります。
防犯性能を高める場合は、防犯に配慮されたガラスを利用するか、シャッター付きの窓を選択しましょう。
まとめ│防火地域の住まいはクレバリーホーム東京へ
防火地域内で家やアパートを建てる場合、窓や玄関ドアに対して規制を受けることがあります。
使用できる建材が限られ建築費用も高くなる一方で、住宅密集地での不安材料である火災に強い家を建てられます。
建築費用を抑えつつ火災に強い家を建てるなら、防火地域内での施工実績が豊富で多くのノウハウを持つ業者に依頼することがおすすめです。
都内での注文住宅を検討中の方は、都内トップクラスの施工実績を持つ、クレバリーホーム東京へお気軽にご相談ください。