延焼・類焼の違いとは?どんなときに起こる?火災を防ぐ5つの方法も解説
「延焼と類焼の違いを知りたい」
本記事は、こうした疑問に回答します。
一戸建てやアパートなどの住宅を建てるとき、地震や台風などと同様に火災への備えが必要です。
特に都内など住宅が密集する地域では、一度火災が発生すると燃え広がるケースもあり、火災に強い住まいが求められます。
火災のニュースで見かけることのある「延焼」「類焼」の意味や発生する場面、そして延焼・類焼を防ぐための対策について解説します。
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Contents
延焼と類焼の違いとは?
はじめに、延焼・類焼それぞれの意味と違い、関連して知っておきたい話題について解説します。
延焼とは
延焼は、火事が起きた火元から周囲の住宅などへ燃え広がることを指します。
出火した建物だけでなく、周囲の複数の建物も巻き込んで被害が拡大することから、延焼を防ぐために耐火建築物など後ほど紹介する様々な対策が取られています。
類焼(もらい火)とは
類焼は、火事が起きた火元から自宅などに火が燃え移り焼けることを指します。
たとえば隣家で火事が起きたとき、火の粉や火事の炎が自宅に移り着火する場合などが該当します。
延焼ラインとは?
延焼・類焼など火災の話題では、延焼ラインという単語を見かけます。
延焼ラインとは、火災が発生した際に隣家に燃え移りやすい範囲(延焼のおそれのある部分)を示しています。
防火地域など火災に強い家づくりを義務づけられているエリアでは、延焼ライン内の窓や外壁に不燃材料など火に強い建材を使用することが求められます。
延焼・類焼が起きた場合の責任について
火災の原因となる行動を避けることで、他人の家に燃え広がる延焼は防ぐことができます。
一方で隣家で火災が発生し自宅に燃え移る類焼(もらい火)は防ぐのが難しいですよね。
ところが、万が一類焼を受けた場合、火元となった隣家は基本的には責任を負うことはありません(失火責任法)。
隣家が責任を負うことになると、複数の家に延焼を起こした場合に賠償することが困難であることが理由です。
このため、延焼を受けた場合に備えて、一戸建てやアパートを所有する方は火災保険への加入が勧められます。
また、火災に対する消防活動によって、火元ではない自宅が破損したり水浸しになったりという被害を受ける可能性もあります。
この場合も消防隊に責任はなく、損害に対してはご自身の保険で対応することとなります。
参考:消防法「第二十九条」
延焼・類焼が起きるのはどんなとき?
延焼・類焼はどのようなときに起きるのでしょうか。
火災が発生しやすいケース、延焼・類焼が発生しやすいケースを確認します。
出火件数ランキングを確認
令和4年の住宅火災による死者972人のうち、割合が多いものは「電気器具121人(12.4%)」「たばこ117人(12.0%)」「ストーブ113人(11.6%)」です。
電気器具は「電灯電話等の配線・配線器具・テーブルタップ」といった項目に分類されます。
このことから、火災全体を防ぐためには、ストーブをはじめとする暖房器具の利用や配線類、たばこの後始末といった事柄に気をつける必要があります。
地震発生後の二次災害
日常生活での火災のほか、意識する必要があるのは地震発生後の二次災害です。
地震で家屋が倒壊したり、家具が倒れたりした場合、暖房器具やガスコンロから火災が発生する可能性があります。
引用:内閣府「阪神・淡路大震災における犠牲者(神戸市内)の死因」
1995年に発生した阪神・淡路大震災でも、被害の大きかった神戸市内の死者数のうち12.8%は焼死等によるものとされています。
住宅が密集している場合
建物が密集している住宅地では、火災が拡大する延焼被害が発生しやすいとされます。
隣家との距離が近いことで火が燃え移りやすく、広い道路や公園が少ないことから火災を遮断する機能が限られることが原因です。
東京都では、建物の密度や道路・公園の有無、火気・電熱器等の保有数から、地域ごとの地震や火災についての危険度を評価する取り組みを行っています。
こうした調査の結果も確認して、家やアパートを建てる予定エリアの火災に対するリスクを把握することも大切です。
防火対策されていない木造建築物がある場合
延焼・類焼の起こりやすさは、防火対策が施された建物の割合も関係します。
後ほど解説しますが、火災が発生した際に延焼を起こしづらい、耐火建築物や準耐火建築物といった仕様の建物があります。
図のように、町並みを作る建物の中で、耐火建築物や準耐火建築物の割合が多いほうが延焼は起こりづらく、一般の木造建築物の割合が多いほうが延焼を起こしやすくなります。
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延焼・類焼を防ぐ5つの対策
火災が広がる延焼・類焼ですが、万が一火災が起きた場合に備えて対策を取ることは可能です。
具体的には、以下の5つの対策が効果的です。
- 耐火建築物・準耐火建築物にする
- 省令準耐火構造にする
- 住宅の耐震性を高める
- 制震・免震技術を導入する
- 隣家との距離を開けるなど土地利用の工夫
耐火建築物・準耐火建築物にする
1つ目は、耐火建築物・準耐火建築物にすることです。
どちらも建築基準法で定められている基準で、適合する仕様にすることで火災に強い住宅になります。
具体的には、以下の特徴を持つ建築物を指します。
- 耐火建築物:定められた時間、倒壊・延焼を防止する
- 準耐火建築物:定められた時間、延焼を防止する
関連記事:『耐火・準耐火の違い』を分かりやすく解説
省令準耐火構造にする
2つ目は、省令準耐火構造にすることです。
耐火建築物などと異なり、省令準耐火構造は法律ではなく住宅金融支援機構が定める基準です。
- 近隣で火災が起きても延焼を受けづらい
- 部屋で火災が起きても火を外に出さない
- 部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい
上記3点の目標を達成するために、外壁や内装材、建築方法などの基準を満たした住宅が該当します。
このように、建築基準法や住宅金融支援機構が定めた基準に合致する住まいであれば、隣家で火災が起きても類焼を受けづらく、万が一自宅で火災が起きても延焼を起こしづらい住まいになります。
住宅の耐震性を高める
3つ目は、住宅の耐震性を高めることです。
地震の二次災害としての火災を防ぐためには、自宅が倒壊したり電気・ガスといった設備機器に異常が生じないようにする対策が重要です。
そこで耐震等級3を取得するなど、地震が起きても倒壊・損壊しない家づくりを意識しましょう。
関連記事:『地震に強い家の特徴』を分かりやすく解説
制震・免震技術を導入する
4つ目は、制震・免震といった技術の導入です。
制震は揺れを吸収・減衰する技術で、免震は揺れが建物に伝わりにくくする技術です。
制震・免震の利用によって建物の倒壊・損壊する確率を下げられるほか、建物に発生する揺れを抑えられることから、家具・家電の転倒を防ぐことにもつながります。
結果として地震後の火災を防ぐことも期待できますので、耐震と合わせて検討してみましょう。
隣家との距離を開けるなど土地利用の工夫
5つ目は、土地に対する建物の配置などの工夫です。
延焼・類焼は隣家との距離が近い場合に発生する危険性が高まります。
住宅の建築計画を立てる際に、隣家との距離を開けて配置することで延焼・類焼のリスクを下げられます。
単に距離を取ることのほか、建物を斜めに配置する、駐車場を距離の近い隣家側に配置するといった工夫も効果的です。
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まとめ│延焼・類焼を防ぐクレバリーホームの耐火木造住宅
【台東区】明るく温かみが感じられる木造耐火3階建ての事例>>>
火災についてのニュースで聞くことのある「延焼・類焼」。
似た言葉ではありますが、延焼は「他の建物へ火が燃え移ること」、類焼(もらい火)は「火元から自宅などへ火が燃え移ること」と反対の意味を指します。
どちらも発生は避けたいところですが、可能性をゼロにすることはできません。一方で発生や延焼・類焼の可能性を下げることは可能です。
耐火建築物・準耐火建築物への適合や耐震・制震技術の導入などで、火災・地震に強い安心して暮らせる住まいを建てましょう。
東京23区内で延焼・類焼を防ぐ家を建てるなら、施工物件の半数以上が耐火建築である弊社クレバリーホームまでご相談ください。
高い耐火性と納得できる建築コスト・デザインなどへの希望を満たす住まいの実現をお約束致します。