省令準耐火構造のメリットは?わかりやすく解説│費用・証明・確認方法も紹介
省令準耐火構造とは、住宅ローンのフラット35を取り扱う住宅金融支援機構が定める基準です。
基準に合う仕様にすることで「外部からの延焼防止」「各室防火」「他室への延焼遅延」の3点が特徴の、耐火性の高い住まいになります。
本記事では、省令準耐火構造とは一体どのような構造なのか、基準に合うように家を建てることで得られるメリット・デメリットは何か、さらに耐火構造など似た言葉との違いや費用などについても紹介します。
防火地域や準防火地域外で、耐火構造などの仕様を義務づけられていない地域で家を建てる場合でも検討するメリットがありますので、これから家を建てる方はぜひ参考にしてください。
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Contents
省令準耐火構造とは?
はじめに、省令準耐火構造とは一体どのような住まいなのか、定義や目的など基本的な事柄を紹介します。
省令準耐火構造は住宅金融支援機構が定める
省令準耐火構造と似た言葉に「耐火構造」や「準耐火構造」といったものがありますが、こちらは国土交通省が所管し法律で定められるものです。
関連記事:『耐火・準耐火の違い』を解説
一方で省令準耐火構造は、住宅ローンのフラット35を取り扱う住宅金融支援機構が定める基準です。
このため耐火構造・準耐火構造の基準を満たしていないことから家を建てられないケースはあっても、省令準耐火構造の基準を満たしていないから家を建てられない、といった事態にはなりません。
省令準耐火構造の目的
では、どうして省令準耐火構造が定められているのでしょうか。
省令準耐火構造は、耐火建築物や準耐火建築物ほどの耐火性はないものの、防火構造や22条区域内の規制よりも耐火性を高められる位置づけの仕様です。
耐火性は高めるほど火災に強くなる一方で費用も増加しますので、「耐火建築物までは不要であるものの防火構造では不安がある」といったニーズを満たす位置づけと言えるでしょう。
なお、省令準耐火構造は主に以下の3つの特徴を持っています。
- 近隣で火災が起きても延焼を受けづらい
- 部屋で火災が起きても火を外に出さない
- 部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい
近隣で火災が起きても延焼を受けづらい
1つ目の特徴は、外部からの延焼被害を受けづらいことです。
省令準耐火構造は、屋根や外壁、軒裏といった隣家からの火災で燃え移る可能性の高い箇所に対して、一定時間燃焼しないことを期待できる不燃材料を使用して火災の延焼を防いでいます。
関連記事:火災に強い「不燃材料」とは?
部屋で火災が起きても火を外に出さない
2つ目の特徴は、宅内で火災が発生した場合など、一定時間火災を部屋の外に出さないこと。
火災は発生しても周囲に燃え移るものがなければ徐々に鎮火していきます。
省令準耐火構造の住まいでは、石膏ボードなど火災に強い製品を使用していますので、他の内装などに燃え移るまでの時間を稼ぎ避難・初期消火の時間を確保できます。
部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい
3つ目の特徴は、万が一部屋で火災が発生した際に、隣室へと燃え広がる速度を抑えられることです。
火災は壁や天井を伝って燃え広がりますが、省令準耐火構造の住まいでは、火災の通り道となる箇所に断熱材などのファイヤーストップ材を設置します。
こちらは主に火災発生後に外に逃げる時間を稼いでくれます。
このように、省令準耐火構造にすることで、外部からの延焼被害を受けづらく、また内部で発生した火災が燃え広がりにくくなります。
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耐火構造・準耐火構造などとの違い
耐火構造と準耐火構造は、建築基準法で定められていることが省令準耐火構造との大きな違いです。
都内など住宅が密集している地域では、火災による延焼・倒壊で被害が生じないように、防火地域・準防火地域といった指定を行い、建築できる建物の仕様や大きさなどを制限しています。
こうした地域では、耐火構造・準耐火構造の認定を受けなければ、建築許可が下りないこともあります。
より詳しく、耐火構造・準耐火構造について知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。
関連記事:木造の耐火建築物とは?
省令準耐火構造の要件とは
省令準耐火構造の住まいを建てるための条件は細かく規定されていますが、主には以下の4つの条件が概要として示されています。
- 屋根は不燃材料等
- 外壁・軒裏は防火構造
- 壁・天井の室内に面する部分が15分耐火(各室防火)
- 上記に定めるもののほか、住宅の各部分が、防火上支障のない構造であること
仕様の概要や建物の構造ごとのチェックリストなども公開されていますので、気になる方は省令準耐火構造についてのページをご確認ください。
省令準耐火構造にするための費用
気になるのは、省令準耐火構造にするためにかかる費用です。
一般的には、通常の仕様から省令準耐火構造の仕様に変更する場合、30万円前後の費用がかかるとされています。
なお、実際に必要な費用は建物の構造や2階建て、3階建てなど高さなどによって変わりますので、検討しているハウスメーカーに確認しましょう。
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省令準耐火構造の証明・確認方法
現在建っている建物が省令準耐火構造に該当するのか確認するためには、以下の資料を確認してみましょう。
- 住宅金融支援機構が発行する適合証明書など
- すでに契約している火災保険の保険証券など
- フラット35を利用する場合などの関係書類など
それでも分からない場合は、自宅を建てたハウスメーカーや中古住宅などの場合は不動産業者などに問い合わせると確認が取れる場合があります。
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省令準耐火構造にするメリット
自宅を省令準耐火構造にした場合、どういった特徴があるのか、さらに詳しく確認します。
自宅を省令準耐火構造にする主なメリットは、以下の4つです。
- 隣家などからの延焼を受けづらい
- 隣家などへ延焼させづらい
- 一時消火や避難の時間を稼げる
- 火災・地震保険料が安くなることも
隣家などからの延焼を受けづらい
1つ目は、近隣で火災が発生した場合でも延焼被害を受けづらいことです。
省令準耐火構造は、屋根や外壁、軒裏といった隣家の火災で影響を受けやすい部材に対して防火性の高い素材を使用します。
このため密集した市街地など、延焼による被害を受けやすい土地に家を建てる場合であっても火災を受ける危険性を減らせます。
関連記事:木造密集地域とは?新築・建て替えの防耐火対策を解説
隣家などへ延焼させづらい
2つ目は、万が一自宅で火災が発生した場合に、隣家などに延焼させづらいことです。
省令準耐火構造では、不燃性の高い石こうボードを利用して部屋ごとに区画を作り、部屋から火を出さない対策が講じられます。
この結果、自宅で火災が起きた場合に、近隣に延焼させるリスクを減らすことができます。
一時消火や避難の時間を稼げる
3つ目は、一時消火や避難のために必要な時間を稼げることです。
延焼の話題で触れたとおり、省令準耐火構造の住まいは部屋の中から火災を広げない仕様です。
このため火災が延焼するまでの時間に猶予ができ、避難するために十分な時間を取れたり、場合によっては一時消火でき火災を未然に防げることもあるでしょう。
火災・地震保険料が安くなることも
4つ目は、火災保険料や地震保険料が安くなることです。
住宅は火災に強いT構造と、通常のH構造とに分かれます。
省令準耐火構造はT構造に含まれることから、火災保険料の大幅な割引を受けられるケースがあります。
日本木造住宅産業協会の資料では、T構造とH構造とを比較した場合に、10年間で35万円も火災保険料を節約できる試算が掲載されています。
省令準耐火構造にするデメリット
ここまでメリットをお伝えしましたが、省令準耐火構造にはデメリットもありますので紹介します。
建築費用を捻出する必要がある
1つ目は、省令準耐火構造に適合するよう仕様を変更する必要があり、建築費用が上がることです。
30万円前後と建築費用全体から考えると大きい金額ではありませんが、たとえば30万円あればキッチンや浴室などの設備をグレードアップしたり、カップボードを追加するなどの費用に充てることもできるでしょう。
火災への対策や設備、家の広さなど、予算をかける場所について入念な検討が必要になります。
素材や間取りが限定されることがある
2つ目は、素材や間取りが限定されることです。
省令準耐火構造にするためには、屋根・外壁・軒裏、壁や天井といった箇所に使用する素材を、不燃材料など火災に強いものにする必要があります。
好みのデザインや仕上げを選びたくても、省令準耐火構造の仕様を満たすために使えない場合があることを認識しましょう。
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まとめ│火災に強い家はクレバリーホーム東京まで
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隣家などからの延焼を防ぎ、自宅で火災が発生した場合に火が外に出ないようにする省令準耐火構造について、メリット・デメリットや考え方などを紹介しました。
防火地域や準防火地域以外の方も、省令準耐火構造など火災に強い仕様の住まいにすることで、万が一火災が発生したときでも、命や財産を守る安全・安心な暮らしが送れます。
火災に強い家を建てる場合には、特別な素材や工法の仕様が求められることもありますので、耐火構造など火災に強い家づくりを得意とするハウスメーカーに依頼しましょう。
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