省令準耐火構造とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説│費用・火災保険料の割引・証明の確認方法

省令準耐火構造とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説│費用・火災保険料の割引・証明の確認方法

省令準耐火構造(しょうれいじゅんたいかこうぞう)とは、住宅ローンのフラット35を取り扱う住宅金融支援機構が定める、火災に強い住宅の基準です。

基準に合う仕様にすることで「外部からの延焼防止」「各室防火」「他室への延焼遅延」の3点が特徴の、耐火性の高い住まいになります。

 

本記事では、省令準耐火構造とは一体どのような構造なのか、基準に合うように家を建てることで得られるメリット・デメリットは何か、さらに耐火構造など似た言葉との違いや費用などについても紹介します。

防火地域や準防火地域外で、耐火構造などの仕様を義務づけられていない地域で家を建てる場合でも検討するメリットがありますので、これから家を建てる方はぜひ参考にしてください。

このコラムで分かること

  • 省令準耐火構造とは、住宅金融支援機構が定める火災に強い住宅の基準で、「外部からの延焼防止」「各室防火」「他室への延焼遅延」の3つが特徴です
  • 追加費用の目安は30万円前後である一方、火災保険はT構造扱いとなりH構造の半額程度になる例もあるため、長期的には費用を回収できる可能性があります
  • 東京23区の防火地域・準防火地域では、省令準耐火構造ではなく準耐火建築物・耐火建築物が求められるケースが多いため、土地の条件確認が重要です

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省令準耐火構造とは?

はじめに、省令準耐火構造とは一体どのような住まいなのか、定義や目的など基本的な事柄を紹介します。

省令準耐火構造は住宅金融支援機構が定める

省令準耐火構造と似た言葉に「耐火構造」「準耐火構造」といったものがありますが、こちらは国土交通省が所管し法律で定められるものです。

関連記事:『耐火・準耐火の違い』を解説

一方で省令準耐火構造は、住宅ローンのフラット35を取り扱う住宅金融支援機構が定める基準です。

このため耐火構造・準耐火構造の基準を満たしていないと家を建てられないケースはあっても、省令準耐火構造の基準を満たしていないから家を建てられない、といった事態にはなりません。

省令準耐火構造の目的

では、どうして省令準耐火構造が定められているのでしょうか。

省令準耐火構造は、耐火建築物や準耐火建築物ほどの耐火性はないものの、防火構造や22条区域(建築基準法により屋根などに一定の防火性能が求められる区域)内の規制よりも耐火性を高められる位置づけの仕様です。

出典:日本木造住宅産業協会 省令準耐火構造について

耐火性を高めるほど火災に強くなる一方で費用も増加しますので、「耐火建築物までは不要であるものの防火構造では不安がある」といったニーズを満たす位置づけと言えるでしょう。

関連記事:地震保険の加入率が低い理由とは?戸建てでいらない・入らない・やめた人の理由も紹介

省令準耐火構造はいつからある基準?

省令準耐火構造の「省令」は、旧住宅金融公庫の融資基準を定めた省令に由来する、歴史の長い基準です。

1990年代の建築基準法改正で「簡易耐火構造」が「準耐火構造」に改められたことに伴い、現在の「省令準耐火構造」という名称になりました。
2007年に住宅金融公庫の業務を引き継いだ住宅金融支援機構が、現在も基準の運用と改正を行っています。

なお、省令準耐火構造は主に以下の3つの特徴を持っています。

  • 近隣で火災が起きても延焼を受けづらい
  • 部屋で火災が起きても火を外に出さない
  • 部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい

近隣で火災が起きても延焼を受けづらい

省令準耐火構造の特徴1:近隣で火災が起きても延焼を受けづらい

出典:住宅金融支援機構 省令準耐火構造の住宅とは

1つ目の特徴は、外部からの延焼被害を受けづらいことです。

省令準耐火構造は、屋根や外壁、軒裏といった隣家からの火災で燃え移る可能性の高い箇所を、不燃材料や防火構造といった一定時間燃えにくい仕様として火災の延焼を防いでいます。

関連記事:火災に強い「不燃材料」とは?

部屋で火災が起きても火を外に出さない

省令準耐火構造の特徴2:部屋で火災が起きても火を外に出さない

出典:住宅金融支援機構 省令準耐火構造の住宅とは

 

2つ目の特徴は、宅内で火災が発生した場合など、一定時間火災を部屋の外に出さないこと

火災は発生しても周囲に燃え移るものがなければ徐々に鎮火していきます。

省令準耐火構造の住まいでは、石こうボードなど火災に強い製品を使用していますので、他の内装などに燃え移るまでの時間を稼ぎ避難・初期消火の時間を確保できます

部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい

省令準耐火構造の特徴3:部屋で火災が起きても隣室に広がりづらい

出典:住宅金融支援機構 省令準耐火構造の住宅とは

3つ目の特徴は、万が一部屋で火災が発生した際に、隣室へと燃え広がる速度を抑えられることです。

火災は壁や天井を伝って燃え広がりますが、省令準耐火構造の住まいでは、火災の通り道となる箇所に断熱材などのファイヤーストップ材を設置します。

こちらは主に火災発生後に外に逃げる時間を稼いでくれます。

 

このように、省令準耐火構造にすることで、外部からの延焼被害を受けづらく、また内部で発生した火災が燃え広がりにくくなります。

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耐火構造・準耐火構造などとの違い

耐火構造と準耐火構造は、建築基準法で定められていることが省令準耐火構造との大きな違いです。

都内など住宅が密集している地域では、火災による延焼・倒壊で被害が生じないように、防火地域・準防火地域といった指定を行い、建築できる建物の仕様や大きさなどを制限しています。

関連記事:「防火地域・準防火地域とは?」わかりやすく解説

こうした地域では、建物の規模に応じて耐火建築物や準耐火建築物とすることが建築基準法で定められており、基準を満たさない建物は建築確認が下りません

実際、東京23区は市街地の大半が防火地域・準防火地域に指定されており、当社が城東エリアなどで手がける住まいでも、省令準耐火構造ではなく準耐火建築物や耐火建築物としての建築が必要になるケースが少なくありません。
ご自身の土地がどちらの地域に当たるかは、自治体の都市計画情報で必ず確認しましょう。

より詳しく、耐火構造・準耐火構造について知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。

関連記事:木造の耐火建築物とは?

関連記事:耐火性能とは?耐火性のある建築物の確認方法

省令準耐火構造の要件とは

省令準耐火構造の住まいを建てるための条件は細かく規定されていますが、主には以下の4つの条件が概要として示されています。

  • 屋根は不燃材料等
  • 外壁・軒裏は防火構造
  • 壁・天井の室内に面する部分が15分耐火(各室防火)
  • 上記に定めるもののほか、住宅の各部分が、防火上支障のない構造であること

出典:住宅金融支援機構 省令準耐火構造Q&A

仕様の概要や建物の構造ごとのチェックリストなども公開されていますので、気になる方は省令準耐火構造についてのページをご確認ください。

なお、2024年10月以降に設計検査を申請する物件からは、壁や天井の防火被覆を貫通して設備器具を取り付ける場合の措置も検査で確認されるようになりました
基準そのものに変更はありませんが、これから建てる方は最新の検査方法が適用されます。

出典:住宅金融支援機構 省令準耐火構造の住宅とは

省令準耐火構造にするための費用

気になるのは、省令準耐火構造にするためにかかる費用です。

一般的には、通常の仕様から省令準耐火構造の仕様に変更する場合、30万円前後の費用がかかるとされています。

なお、実際に必要な費用は建物の構造や2階建て、3階建てなど高さなどによって変わりますので、検討しているハウスメーカーに確認しましょう。

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省令準耐火構造の証明・確認方法

現在建っている建物が省令準耐火構造に該当するのか確認するためには、以下の資料を確認してみましょう。

  • フラット35利用時に検査機関が発行する適合証明書など
  • すでに契約している火災保険の保険証券など
  • 工事請負契約書に添付された省令準耐火構造の特記仕様書

それでも分からない場合は、新築なら自宅を建てたハウスメーカーへ、中古住宅なら購入時の不動産会社へ問い合わせると確認が取れることがあります。

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省令準耐火構造にするメリット

自宅を省令準耐火構造にした場合、どういった特徴があるのか、さらに詳しく確認します。

自宅を省令準耐火構造にする主なメリットは、以下の4つです。

  • 隣家などからの延焼を受けづらい
  • 隣家などへ延焼させづらい
  • 初期消火(一時消火)や避難の時間を稼げる
  • 火災・地震保険料が安くなることも

隣家などからの延焼を受けづらい

1つ目は、近隣で火災が発生した場合でも延焼被害を受けづらいことです。

省令準耐火構造は、屋根や外壁、軒裏といった隣家の火災で影響を受けやすい部材に対して防火性の高い素材を使用します。

このため密集した市街地など、延焼による被害を受けやすい土地に家を建てる場合であっても火災を受ける危険性を減らせます。

関連記事:木造密集地域とは?新築・建て替えの防耐火対策を解説

隣家などへ延焼させづらい

2つ目は、万が一自宅で火災が発生した場合に、隣家などに延焼させづらいことです。

省令準耐火構造では、不燃性の高い石こうボードを利用して部屋ごとに区画を作り、部屋から火を出さない対策が講じられます。

この結果、自宅で火災が起きた場合に、近隣に延焼させるリスクを減らすことができます。

初期消火(一時消火)や避難の時間を稼げる

3つ目は、初期消火や避難のために必要な時間を稼げることです。

延焼の話題で触れたとおり、省令準耐火構造の住まいは部屋の中から火災を広げない仕様です。

このため火災が延焼するまでの時間に猶予ができ、避難するために十分な時間を取れたり、場合によっては初期消火により火災の拡大を未然に防げることもあるでしょう。

火災・地震保険料が安くなることも

4つ目は、火災保険料や地震保険料が安くなることです。

戸建て住宅は、火災に強いT構造と、通常のH構造とに分かれます。

省令準耐火構造はT構造に含まれることから、火災保険料の大幅な割引を受けられるケースがあります。地震保険でもイ構造の扱いとなり、通常の木造より保険料が安くなります。

保険料は保険会社や補償内容によって異なりますが、同じ条件のH構造と比較して保険料が半額程度になる例もあり、長期的には省令準耐火構造にするための追加費用を上回る節約につながる可能性があります。

出典:日本木造住宅産業協会 省令準耐火構造について

省令準耐火構造にするデメリット

ここまでメリットをお伝えしましたが、省令準耐火構造にはデメリットもありますので紹介します。

建築費用を捻出する必要がある

1つ目は、省令準耐火構造に適合するよう仕様を変更する必要があり、建築費用が上がることです。

30万円前後と建築費用全体から考えると大きい金額ではありませんが、たとえば30万円あればキッチンや浴室などの設備をグレードアップしたり、カップボードを追加するなどの費用に充てることもできるでしょう。

火災への対策や設備、家の広さなど、予算をかける場所について入念な検討が必要になります。

素材や間取りが限定されることがある

2つ目は、素材や間取りが限定されることです。

省令準耐火構造にするためには、屋根・外壁・軒裏、壁や天井といった箇所に使用する素材を、不燃材料など火災に強いものにする必要があります。

好みのデザインや仕上げを選びたくても、省令準耐火構造の仕様を満たすために使えない場合があることを認識しましょう。

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まとめ│東京23区の省令準耐火構造住宅はクレバリーホーム城東店・新宿店まで

【台東区】耐火・耐久性の高いタイルを利用した防火地域の木造4階建て

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隣家などからの延焼を防ぎ、自宅で火災が発生した場合に火が外に出ないようにする省令準耐火構造について、メリット・デメリットや考え方などを紹介しました。

防火地域や準防火地域以外の方も、省令準耐火構造など火災に強い仕様の住まいにすることで、万が一火災が発生したときでも、逃げる時間を確保し、被害を抑えやすくなります。

火災に強い家を建てる場合には、特別な素材や工法の仕様が求められることもありますので、耐火構造など火災に強い家づくりを得意とするハウスメーカーに依頼しましょう。

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社(オーツー株式会社) 専務取締役 / 一級建築士

早稲田大学商学部卒業後、「完全な文系人間」から建築の世界へ飛び込み、一級建築士として活躍。10年にわたる商業建築で培ったシビアな空間設計ノウハウと、25年の戸建住宅の設計実績を併せ持つ。特に東京都内の木造密集地域や防火地域において、施工性と設計の柔軟性を活かした木造耐火4階建て住宅(もくよん®等)や、天災時には避難場所となる地下室・屋上を備えた災害住宅の提唱・実践を続けている。

プライベートでは子育てを終え、現在は登山やキャンプ、スキーなど活動的な休日を過ごしている。また、「空き家レスキュー」や「こども食堂」、シェアハウスの運営を通じた地域活動の場を提供するなど、地域社会支援にも精力的に取り組んできた。スペックだけでなく、住まう人の「暮らしの温かさ」に深く寄り添う提案を得意としている。

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