木造密集地域とは?新築・建て替えの防耐火対策を解説│国・東京都の支援制度も紹介

延焼の可能性が指摘される木造密集地域

木造密集地域とは、東京23区内などの都市部で木造住宅が密集して建築されている地域を指します。

十分な大きさの道路や公園などの都市基盤が不十分であること、老朽化した木造建築物が多いことから、火災や地震の発生時に延焼する可能性が高い地域として各自治体が災害対策を強化しています。

 

東京23区など都市部で一戸建てを計画している場合、住宅が密集する木造密集地域が建築予定地の候補になることがあります。

 

木造密集地域とはどのような地域で、新築住宅を建てる際にどういった特徴を持っているのか解説します。

 

 

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“木密地域”と呼ばれる木造密集地域とは?

木造建築物が密集する、木造密集地域の風景

引用:東京都都市整備局「防災都市づくりの目標と考え方」

はじめに、木造密集地域とはどのような地域なのか確認しましょう。

首都圏不燃建築公社によると、木造密集地域とは「道路や公園等の都市基盤が不十分なことに加え、老朽化した木造建築物が多く、地震・火災などに際して大きな被害が想定される地域」とされています。

引用:首都圏不燃建築公社「木造密集の解消」

地震で建物が倒壊した際に道路が塞がれ、緊急車両が通行できずに延焼が拡大することなども問題視されています。

東京都が行う各種木造密集地域での火災対策

災害時の延焼防止を目的として、各自治体は木造密集地域に対して様々な防災対策を施しています。

本記事では、東京都に絞って木造密集地域の防災対策事例を紹介します。

防災都市づくり推進計画の実施

参考:東京都都市整備局「防災都市づくりの目標と考え方」

参考:東京都都市整備局「防災都市づくりの目標と考え方」

東京都では、木造密集地域に対して10年間にわたって「防災都市づくり推進計画」を行ってきました。

この活動の中で行われている具体的な対策として挙げられているのは、以下の3つです。

  • 延焼遮断帯の形成
  • 避難場所の確保
  • 整備地域等の不燃化

延焼遮断帯は、都市計画道路を中心として河川や鉄道により地域をメッシュ状に分ける対策です。

主要な道路や延焼遮断帯が震災時の避難経路、救援活動時の輸送路として活躍します。

火災対策として利用される「延焼遮断帯」の図

引用:東京都都市整備局「防災都市づくりに関する地域等の指定等」

避難場所の確保は、大規模な公園や堤防、公営住宅や学校などにあるオープンスペースを活用して、被災時の避難距離の短縮と安全性の向上を目指すものです。

 

整備地域等の不燃化は、老朽化した建物に対して、建物の除却費の助成や、建て替えの際に生じる設計費・工事費に対して助成するものです。

なお、除却・建て替えに対する具体的な補助金額は各区によって異なります。

老朽建築物の除却・建て替えで延焼を防ぐ不燃特区内の支援制度

引用:東京都都市整備局「不燃化特区の制度」

こうした各種対策を施すことで、老朽化した火災に弱い建物を耐火・準耐火建築物に建て替えることを推し進めたり、火災時でも安全な場所や避難経路の確保ができるようになります。

(不燃化特区の対象地区)

不燃化特区の対象となる52地区

引用:東京都都市整備局「不燃化特区の制度」

 

なお、東京都では不燃化特区内で建て替えを行った場合に固定資産税・都市計画税の減免を受けられる制度が実施されています。

参考:東京都主税局「住宅に対する固定資産税・都市計画税の減免」

参考:東京都主税局「土地に対する固定資産税・都市計画税の減免」

ほかにも23区のうち19の区で不燃化に関する助成事業が行われており、木造密集地域で家を建てる場合はこうした制度を利用することをおすすめします。

参考:一般財団法人住宅生産振興財団:木密「東京都・各区の助成制度」

新たな防火規制の指定も

準防火地域内で指摘される「新たな防火規制区域」

引用:東京都豊島区「準防火地域・新たな防火規制区域・防火地域について」

木造密集地域の増加を防ぐこうした取り組みと共に行われているものとして、新たな防火規制区域が挙げられます。

 

新たな防火規制区域は、東京都知事が指定する災害時の危険性が高い地域において、住宅の耐火性能向上・不燃化を促進する制度です。

本制度は準防火地域の一部が指定され、指定された地域では延べ面積50㎡以内の附属建築物で外壁・軒裏が防火構造の建物を除き、耐火建築物等、または準耐火建築物等として建築することを義務付けるものです。

関連記事:「防火地域・準防火地域とは?」わかりやすく解説

 

コンパクトな敷地が多く家屋が密集しているエリアでは、自治体も災害への備えなど対策を講じています。

公的機関が行う災害対策と地域住民が主体的に取り組む対策を把握してご自身の災害への備えを万全にしておくことが大切です。

木造密集地域に新築住宅を建てる場合の特徴

木造密集地域では、公的機関による各種対策が行われています。

しかし、同時に家を建てる個人も火災への対策を行うことで、より安全性が高く安心できる住まいを実現できるでしょう。

 

木造密集地域で家を建てる場合、個人の視点ではどういった特徴があるのでしょうか。

安心して暮らすために個人でも防火対策を行う

木造密集地域は、建物が密集している点、老朽化した木造住宅が多い点などから、国や自治体が様々な防火対策を実施しています。

延焼による消失を抑えるための不燃化特区制度の現状

引用:東京都都市整備局「防災都市づくりの目標と考え方」

しかし対策も万全ではなく、防火の指標のひとつである不燃領域率(市街地の面積に占める耐火建築物の敷地、および幅員6m以上の道路など公共施設面積の割合)は目標値である70%に届いていません。

公的な防火対策は整備途上ですので、住民側でも十分な防火対策を行う必要があります。

 

耐火性能の高い家を建てれば、木造密集地域内であっても周囲の建物から延焼被害を受ける可能性を下げることができ、万一延焼を受けた場合でも、避難する際に十分な時間を確保できます。

建物を耐火構造とするなどの火災対策を行うことで木造密集地域内でも安心できる住まいを目指しましょう。

 

なお、耐火建築物を建てる際には鉄筋コンクリートや鉄骨造りだけでなく、木造でも耐火建築物の基準を満たすことができます。

資材費や人件費を抑えられ、木の温かみを感じられる「木造耐火住宅」も検討してみましょう。

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狭小地が多いが3・4階建て利用で床面積を確保できる

防火規制区域の規制に合致した木造耐火3階建て住宅(足立区)

【敷地29.22坪】防火規制区域の規制に合致した木造耐火3階建ての事例>>>

木造密集地域は土地がコンパクトであるケースが多く、平屋や2階建て住宅では十分な床面積を確保することが難しい場合があります。

建築予定地が狭小地であっても、3階建て・4階建て住宅を選択することで十分な床面積を持つ住まいを実現できるでしょう。

 

1階ガレージや地下室、屋上といった間取りを導入することで、有効に使える床面積をさらに増やすこともできますので、木造密集地域に家を建てる場合は空間利用を得意とするハウスメーカーに依頼することをおすすめします。

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プライバシーに配慮した建て方を意識する

木造密集地域など、周囲を建物に囲まれた土地に家を建てる場合は、住宅のプライバシーの確保が問題になることがあります。

土地が接する道路からの視線に加えて、周囲を取り囲む建物からの視線を想像して間取りや仕様を決めましょう。

 

なお、木造密集地域は建て替え需要の高い地域であることから、現在老朽化した平屋や2階建てが建っている場合でも、建て替えにより3階建て・4階建てが建つケースもあります。

隣接する住宅が建て変わった場合でもプライバシーを確保できるよう、配慮して設計を行いましょう。

関連記事:プライバシーに配慮した家の建て方とは?

まとめ|東京の木造密集地なら木造耐火住宅で不燃化対策

ホームエレベーターのある利便性の高い木造耐火住宅(台東区)

【敷地29.22坪】ホームエレベーターのある木造耐火3階建て住宅の事例>>>

東京23区内など、利便性が高く住宅が密集する地域で指定されることの多い木造密集地域について解説しました。

木造密集地域は、隣接する建物の距離が近く建物の老朽化が進んでいる場合も多いことから、火災に対する不安を感じやすいエリアです。

 

公的機関の各種対策とともに、個人でも火災など災害に強い家を建てることで、万が一に備えた安心できる住まいを建てましょう。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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