【図解】防火地域と準防火地域がまたがる場合は?規制や調べ方も解説
防火地域と準防火地域がまたがる場合、制限が厳しい方の基準が適用されます。
つまり、防火地域の基準を適用して設計することが求められます。
一戸建てを建てる際、建築予定地が防火地域や準防火地域に含まれる例は少なくありません。
中には防火地域と準防火地域にまたがる場合もあります。
本記事では、地域がまたがる場合の防火規制を図解しながら分かりやすく解説します。
家を建てるとき、土地を選ぶとき、防火に関係する規制によって外観デザイン・予算の面で後悔を抱えることのないように確認しましょう。
Contents
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防火地域と準防火地域、またがる場合はどうなる?
はじめに、建築予定地が防火地域と準防火地域にまたがる場合についての取り扱いを、建築基準法を参照して確認しましょう。
各ケースごとに図解しながら分かりやすく解説します。
またがる場合は「厳しい方の制限が適用される」
建築基準法第六十五条では「建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置」が記載されており、本条は2つの項に分かれています。
防火地域と指定のない区域にまたがる場合
1つ目の項では、防火地域と防火に関する指定のない地域にまたがる場合について記載されています。
建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
引用:建築基準法「第六十五条」
つまり、建築物が防火地域や準防火地域と、防火の指定がない区域にまたがる場合は、建物全体を防火地域か準防火地域(指定されている地域)の規定に従って建てる必要があります。
図にすると上記のとおりで、住居が防火地域と指定のない区域にまたがる場合は、指定のない区域の部分についても防火地域の規定を遵守する必要があります。
また、本項には続いて以下の記載があります。
ただし、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。
引用:建築基準法「第六十五条」
防火地域や準防火地域と指定のない区域にまたがる場合は、全体を防火地域または準防火地域の基準に合わせて建てる必要があります。
一方で以下の図のとおり、防火壁を設けることで防火壁を設けた箇所以降の部分については防火指定のない場合の基準で建ててもよいということです。
防火地域や準防火地域で家を建てる場合は、耐火建築物や準耐火建築物にする必要があり、建築費用が上がるとともに使用する建材やデザインが制限されます。
防火壁を利用することで、指定なしの箇所だけでも通常の住宅と同様の仕様で家を建てられるようになります。
なお、防火壁とは、耐火構造で作られた燃えにくい・延焼しにくい壁のことで、こちらも建築基準法で定められた基準に合致する必要があります。
防火地域と準防火地域にまたがる場合
また、建築基準法第六十五条第2項には以下のとおりの記載があります。
建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
こちらは、上図のとおり防火地域と準防火地域にまたがって家を建てる場合は、全体を防火地域内の建築物として建てる必要があるということです。
さらに、防火壁を設ける場合は、防火壁のある箇所以降は準防火地域の基準で建てられるということを指しています。
防火地域で家を建てる場合は、耐火建築物・準耐火建築物・防火構造の建築物、いずれかの基準に合わせて家を建てる必要があります。
しかし、耐火建築物として利用されることの多い鉄骨やRC(鉄筋コンクリート)造の住宅は坪単価が高くなりがちです。
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防火地域・準防火地域ではどんな規制がかかるの?
ここで、改めて防火地域や準防火地域で家を建てる場合は、どういった基準を守る必要があるのか確認してみましょう。
防火地域・準防火地域で求められる建築物の基準
防火地域や準防火地域内で家を建てる場合は、建物を以下のいずれかの基準を満たす建物にする必要があります。
- 耐火建築物
- 準耐火建築物
- 防火構造の建築物
このうち耐火建築物と準耐火建築物は、住人の避難が完了するまでのあいだ建物が倒壊しないこと、および周辺の建物への延焼を防ぐための基準です。
たとえば3階建ての耐火建築物であれば、間仕切り壁・外壁・柱・床・はりといった箇所は1時間、屋根や階段といった箇所は30分、火災に耐えて形を残しておく必要があります。
一方で防火構造の建築物は、主に周辺の建物への延焼を防ぐための基準です。
耐火建築物が最も規制が強く、準耐火建築物・防火構造の建築物の順番に規制が緩くなっていきます。
各構造ごとに、指定された箇所に対して基準に適合する建材を使用することを求められます。
関連記事:防火地域・準防火地域とは?
防火関連の地域・区域を確認する方法
続いて気になることは、防火地域や準防火地域がどのような地域に指定されているのかということです。
多くの自治体では、防火地域に関する情報はインターネット上で確認できます。
たとえば東京都では、都市整備局のホームページから防火地域、および準防火地域の情報を確認できます。
自治体の白地図に重ね合わせる形で地図を表示でき、建築予定の地域の防火地域・準防火地域の指定状況を一目で確認できます。
関連記事:防火地域・準防火地域の調べ方
22条指定区域・新たな防火規制に注意
注意しておきたいことは、防火・準防火地域以外にも防火規制の対象となる地域があることです。
防火地域・準防火地域よりも緩い規制の区域として、建築基準法では22条指定区域が定められています。
東京都都市整備局のマップでは22条指定区域を確認することができないことから、防火地域・準防火地域に入っていない場合でも、念のため自治体に確認することをおすすめします。
また、東京23区内で家を建てる場合は、防火・準防火地域・22条指定区域に加えて「新たな防火規制」に指定される地域もあります。
こちらも防火対策を講じる必要がありますので、土地の購入を決める前にエリア内に入っていないか確認することをおすすめします。
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まとめ│防火・準防火地域なら「木造耐火住宅」がおすすめ
防火地域と準防火地域にまたがって住宅を建てる場合に、どういった法規制を受けるのか確認しました。
基本的には、防火に関して異なる区域設定がされている場合は、より厳しい条件の規制に適合するように家を建てる必要があります。
ただし、防火壁を立てることで、防火壁以降の箇所については緩い条件の規定で家を建てることが可能です。
東京23区内など建物が密集しているエリアでは、防火地域・準防火地域・22条区域・新たな防火規制といった防火に関する規制を受けるケースは少なくありません。
一方で防火規制を受ける場合は、指定された箇所については国に認定された建材を使用する必要があり、建物のデザインが制限されることや建築費用が高くなることが予想されます。
土地を購入する段階から相談できるハウスメーカーや不動産業者を選定し、候補地に防火関連の規制が入る場合はいつでも相談できる状態を作っておきましょう。
また、建て替えを検討している方も、防火地域の区域変更や新たな防火規制区域の制定など、規制に変更があるケースもありますので、防火地域に詳しいハウスメーカーに相談することをおすすめします。