都市型ZEH Orientedとは│補助金や狭小敷地面積の基準は?メリット・デメリットも解説
ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)とは、都市部や多雪地帯など、太陽光発電の条件が厳しい地域でもZEH補助金が活用できる制度です。
政府が普及を推進するZEH住宅(省エネ・創エネで家庭からのエネルギー排出量ゼロを目指す住まい)の一種ですが、創エネの基準が課せられないため、太陽光パネルなしでも適用されます。
本記事ではZEH Oriented(オリエンテッド)の対象地域や、基準、メリット・デメリット、補助金の金額や申請方法などを解説します。
都市部など狭小地に家を建てる場合、太陽光発電ができる面積が小さいことから、通常のZEH基準を満たすことが困難な場合があります。
そんなときでも補助金を活用できるZEH Orientedの条件や基準を詳しく確認しましょう。
Contents
【東京都助成金対象】太陽光発電+蓄電池で実現する都市型ZEH住宅
ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)とは?どんな基準なの?
はじめにZEHとはどんな基準で、基準に合致する住まいを建てた場合にどんな住まいを実現できるのか、確認してみましょう。
ZEHは「省エネ・創エネ」でエネルギー排出ゼロを目指す住まい
ZEHは「net Zero Energy House」の略称で、一般的には「ゼッチ」と読みます。
「net Zero Energy House」は日本語に訳すと「エネルギー量の総和がゼロの家」となります。
つまり、省エネ設備や高い気密・断熱性の確保によって消費するエネルギー量を削減しつつ、太陽光発電のような創エネ設備でエネルギーを創出することで、家庭内で使用するエネルギーと創出するエネルギーを計算上ゼロにする住まいを指します。
ZEH Oriented(オリエンテッド)はZEHの種類のひとつ
このZEHには、以下のように複数の種類があります。
- ZEH
- Nearly ZEH
- ZEH Oriented
- ZEH+
- Nearly ZEH+
- 次世代ZEH+
- ZEH-M
- Nearly ZEH-M
- ZEH-M Ready
- ZEH-M Oriented
こうした様々な種類のZEHは、経済産業省と環境省が実施する補助金を運用するために定義づけられているもので、今回紹介する「ZEH Oriented」はそのうちのひとつです。
ZEH Oriented(オリエンテッド)は都市部と多雪地域が対象の基準
具体的に、ZEH Orientedとは、どのような住まいを指すのか確認しましょう。
ZEH Orientedと認定されるためには、省エネ性能(外皮性能と設備の性能)と地域性の2つの条件を満たす必要があります。
条件①省エネ性能:外皮の断熱性と設備の性能の基準
1つ目の条件の省エネ性です。省エネ性能は、断熱性と設備の性能が地域によって基準となる数値は異なります。東京23区(6地域)であれば、「外皮平均熱貫流率 0.60以下」「冷房機の平均日射熱取得率 2.8以下」が求められます。
住宅金融支援機構の資料では、ZEHの仕様に適合する例が示されています。
こうした仕様を満たす家であれば、ZEHに求められる省エネ性能を満たすことができます。
条件②地域性:対象となる都市部狭小地・多雪地帯の基準
2つ目の条件は、地域性です。対象地域は、都市部狭小地、または多雪地帯です。
ZEH Orientedの都市部狭小地における土地や敷地面積の基準は、用途地域(土地の使い方に制限がある地域)で定められた北側斜線制限の対象となる地域(主に戸建て住宅が建てられる地域)、かつ敷地面積85㎡(約25.7坪)未満の土地が対象です。
また、多雪地域は各自治体が定める、垂直積雪量が100cmを超えるエリアで、主に東北・北海道エリアが対象となります。
こうした都市部狭小地や多雪地域では太陽光を十分に受けづらいことから、創エネ部分の基準を求められておらず、外皮性能や設備性能が基準を満たせば補助金の対象となります。
なお、太陽光発電設備の導入は光熱費の節約や災害を受けた場合の電源としての利用を見込めるため、小さな容量でも非常に有効です。
さらに東京都では太陽光発電設備や蓄電池などを対象に補助金がありますので、ZEH Orientedを目指す場合でも太陽光発電の併用もおすすめです。
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ZEH Orientedに選ばれた場合の補助額は「55万円」
ZEH基準に合致する住宅は、種類ごとに補助金額が異なります。
ZEH Orientedの条件に合致する住まいは、一戸あたり55万円の補助を受けられます。
参考:環境共創イニシアチブ「ZEH補助金 交付規程・公募要領等」
東京都では関連補助金も(太陽光・蓄電池・V2H)
なお、東京都では太陽光発電設備、および蓄電池やV2H(電気自動車のバッテリーを家庭用の電源として利用するシステム)といった関連設備を導入する際に補助金を受けられる制度もあります。
たとえば、新築住宅に3.6kW以下の容量の太陽光発電設備を導入する場合、1kW当たり12万円の補助金が交付されます。
ZEHの導入を目指している方は、こうした自治体独自の補助金も一緒に検討してみましょう。
関連記事:東京都の太陽光発電導入促進事業を解説
関連記事:東京都の蓄電池設置の補助金を解説
関連記事:東京都のV2H補助金を解説
ZEH Orientedに採択されるための手順
ZEH Orientedに採択され、補助金を受け取るためには、以下の流れで補助金を申請します。
- ZEH認定ビルダーに建築を依頼
- ZEH補助金の申請
- 竣工後に実績報告を行い補助金を受け取る
補助金の申請はハウスメーカーが代行してくれます。ZEH認定ビルダーを選定して、ZEH Orientedの補助金を受けたいとハウスメーカーに伝えると申請に必要な手続きを教えてくれます。
建築予定地がZEH Orientedの対象かどうかなどのオンライン相談が便利です。
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ZEH Orientedを目指すメリット・デメリット
改めて、ZEH Orientedの補助金を受ける場合に、どんなメリット・デメリットがあるのか確認してみましょう。
- メリット:補助金を受けて建築費用の負担を下げられる
- メリット:高い省エネ性能で光熱費を下げられる
- メリット:家中の温度差が少なくなり快適な住環境に
- デメリット:高性能な断熱材で建築費用が割高に
- デメリット:設備、仕様や間取りが限られる場合も
中でも、ZEH Orientedの基準に合致した住まいを建てた場合に住み始めてから感じられるメリットは、高い気密性・断熱性で室内の温度差が少なく、冷暖房が効きやすい優れた温熱環境になることです。
また、地震や台風などの災害で停電があった場合でも快適な生活を続けたい場合は、ZEH Orientedの基準を満たしつつ、太陽光発電設備の導入も検討してみましょう。
関連記事:災害に強い家を実現する3つの工夫
ZEH Orientedの知っておきたいこと・注意点
記事の終わりに、ZEH Orientedを利用する場合に知っておきたいことや注意点を紹介します。
令和6年度もZEHの事業は継続予定
令和6年度もZEH補助金は継続予定です。
環境省では令和6年度のZEH化支援事業の予算を計上済みです。
令和5年度に引き続いて同条件で事業を実施する予定ですので、これからZEH住宅の建築を予定している方も本事業を利用できる見込みです。
補助金事務局Siiに登録されたハウスメーカーに依頼する
補助金を受ける場合はSii(ZEH補助金を運用する事務局)に登録されたハウスメーカーへの依頼が必要です。
断熱性能など、補助金を受ける条件に合致した住宅を建てても、未登録のハウスメーカーが施工する場合は補助金の対象となりません。
ハウスメーカーを選ぶ際に、Siiへの登録を完了しているか確認してみましょう。
公募方法は「先着方式」予算に限りがある
公募方法は先着方式であり予算には限りがあります。
各年度ごとに予算が決められていて、予算の上限に達した場合はそこで受付が停止されてしまいます。
土地探しや設計の段階でスケジュールを立てて、余裕をもって補助金を申請できるようにすることが大切です。
【東京都助成金対象】太陽光発電+蓄電池で実現する都市型ZEH住宅
まとめ│ZEH Orientedで都市部でもエネルギーゼロの暮らし
【敷地20.09坪】都内で実現した断熱性の高いZEH住宅の事例>>>
通常、ZEHは省エネと創エネ、どちらも達成することが求められます。
しかし都市部の狭小地に家を建てる方は、敷地条件の面で十分な創エネ(太陽光発電)を行うことが難しい場合があります。
そこでZEH Oriented(オリエンテッド)であれば、ZEHオリエンテッドの地域性の条件と住宅の性能基準をクリアすれば補助金を受けらます。
都内狭小地だからといってZEHの補助金は諦める必要はありません。国が推進するZEH Orientdの制度を利用して高性能な住まいを補助金を活用しながら実現しましょう。
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