【木造の耐火建築物とは?】基準やメリット、準耐火との違いを徹底解説
都心部では、木造の3階建て・4階建ての耐火建築物のニーズが増えてきています。
「防火地域でも、木造住宅で大丈夫なの?」と不安に思う方もいらっしゃるかと思いますが、基準をクリアすれば防火地域でも木造住宅は可能です!
そこで本記事では、「木造の耐火建築物の基準」や「メリット」「準耐火との違い」について解説します。
これから都心部で耐火構造の住宅を検討する方は、鉄骨や鉄筋コンクリート造と比較するためにも、木造の耐火建築物について確認してみましょう。
木造の耐火建築物とは?基準や準耐火との違い
木造の耐火建築物とは、どのような住宅をさすのでしょうか?
基準や準耐火建築物との違いについて、順番に解説します。
木造の耐火建築物とは?基準を確認
木造建築物の耐火基準は、大きく3つに分けることができます。
- 耐火建築物
- 準耐火建築物
- その他建築物(一般木造)
その中でも耐火建築物とは、建築物の主要構造部を耐火構造にし、「火災後も倒壊しない水準」を求められる建物です。
そのため、火災後に避難できる時間を確保しやすくなります。
また、延焼の恐れがある窓などの開口部分には、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる必要があります。
関連記事:【新築・耐火木造】耐火建築物とはどんな建物なの?|一般住宅との違いを比較
準耐火建築物との違い
耐火建築物と準耐火建築物の主な違いは、求められる耐火時間です。
耐火建築物 | 準耐火建築物 | |
耐火時間 | 1時間・2時間・3時間 | 45分・60分 |
基準の時間は、建物の階層や延べ床面積、地域の法規制などによって異なります。
また準耐火建築物は、「通常の火災による延焼の抑制」が求められており、「火災による倒壊の抑制」までは求められていません。
参照サイト:国土交通省 建築基準法概要集
木造耐火建築物の戸建て住宅の推移
木造の耐火建築物の建築は、平成12年の建築基準法の改正によって可能になりました。
耐火建築物・準耐火建築物の合計棟数は、令和元年まで増加傾向です。
令和4年の建築基準法の改正では、木造戸建ての促進を目的とした「防火規定の合理化」が施行され、更なる増加が期待されています。
【防火地域・準防火地域の木造3階建て以上の戸建て住宅の推移】
参照サイト:国土交通省 木造3階建て住宅及び丸太組構法建築物の建築確認統計
※木造3階建て以上は、防火地域内の場合、原則耐火建築物になります。(防火地域以外では、一定の措置を講じることで準耐火建築物での建築が可能です。)
次章では、耐火構造の木造住宅を選ぶメリットについてご紹介します。
木造の耐火建築物のメリット
以前は「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の建築しか選択肢がなかったエリアでも、木造住宅のメリットをいかした耐火建築物を建てられるようになりました。
木造の耐火建築物の住宅を選ぶ主なメリットは、下記のとおりです。
- 建築コストや地盤改良費を抑えることができる
- 火災保険料が安くなる
- 耐震等級3にできる
- 4階建てにして、理想の間取りを実現
順番に詳しく解説します。
建築コストや地盤改良費を抑えることができる
木造の耐火建築物は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて建物重量が軽いため、地盤改良費を大幅に抑えることが可能です。
費用を数百万円削減できるケースもあり、経済的に大きなメリットがあります。
また、木造の軽さは基礎工事にも影響を与えます。
鉄骨・鉄筋コンクリートと比べて基礎断面を小さくできるため、作業量や工期を短縮でき、建築コストを抑えることが可能です。
関連記事:【耐火構造】木造の耐火住宅にする5つのメリット│準耐火構造と防火構造の違いも解説
火災保険料が安くなる
建物の火災保険は、構造によって保険料が異なります。
- M構造(マンション構造)
- T構造(耐火構造)
- H構造(非耐火構造)
一般的な木造住宅のH構造より、T構造のほうが火災保険料を安く抑えることが可能です。
耐震等級3にできる
木造住宅を3階建て・4階建てと縦に階層を増やした際に、鉄骨・鉄筋コンクリート造と比べて、耐震性に問題はないか不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
長く安心して住むためには、地震の多い日本では耐震性の高さは重要ですよね。
施工会社や建物形状にもよりますが、3階建て・4階建ての木造耐火建築物でも、最高等級の耐震等級3は可能です。
耐震等級3は、大きな地震を1度受けても、その後、住み続けられると想定される耐震性を持っています。
- 耐震等級1:震度6~7の地震で倒壊・崩壊しない水準。
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる性能・耐震強度の水準。
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられる性能・耐震強度の水準。
4階建てにして、理想の間取りを実現
都市部は土地代が高いため、比較的小さな土地を有効活用して縦に階層を増やした住宅を選択する方が多くいらっしゃいます。
その中で、木造の耐火建築物の4階建てを選択することで、ご家族に必要な居室スペースの確保や、1階ビルトインガレージ、店舗兼用住宅などが実現しやすくなります。
建築コストを抑えつつ、交通の利便性の高い都市部を選びやすいメリットがあります。
木造耐火建築物の3階建て・4階建てを建てる際の注意点
防火地域でも、国土交通省が認定している耐火構造の外壁や内壁で施工することで、3階建てや4階建ての木造住宅を建てることは可能です。
しかし、施工会社によっては、鉄骨や鉄筋コンクリート造での施工実績はあっても、木造耐火構造での3階建て・4階建ての実績がない場合があります。
木造耐火構造の3階建て・4階建ては、複雑な設計や技術が求められるため、実績が少ないと、希望のプランで建てられない可能性があります。
とくに、木造4階建てが可能な施工会社は少ないため、施工会社を検討する段階で、実績や技術を確認することが大切です。
施工会社都合の間取りプランではなく、家族構成やライフスタイルに合ったプランの提案が期待できます。
木造の耐火構造の施工事例
都心部の防火地域内に建てられた、耐火構造の木造住宅をご紹介します。
狭小地でも機能的でおしゃれなデザインを実現しているため、ぜひ参考にしてくださいね。
木造耐火4階建て【敷地約33㎡、延床約79㎡】
防火地域内の木造4階建ての住宅です。
高級感のある外観は、メンテナンスフリーの軽量タイルで仕上げており、汚れにくく耐久性もあることから、維持管理がしやすい特徴があります。
また、4階建てにしたことで、お子様の秘密基地のようなロフトを設けることができました。
関連記事:ロフトを子ども部屋にする方法│デメリットへの対策とメリット
木造耐火3階建て【敷地57.30㎡ 延床113.57㎡】
1階を車2台が駐車できるビルトインガレージのある木造耐火構造の3階建てです。
間口が狭くとも、奥行きのある敷地を活かして、他社では考えられなかったキッチンを縦に配置する柔軟な設計によって、暮らしやすい間取りを実現しました。
十分な収納スペースや開放的なスケルトン階段など、デザイン性と機能性を両立したお住まいです。
関連記事:スケルトン階段でも老後まで住める?|落ちそうで怖いなどのデメリットを解消する安全対策
まとめ
木造の耐火建築物の基準や準耐火建築物との違い、メリットや耐火構造の木造住宅事例をご紹介しました。
耐火構造の木造3階建て・4階建ての建築には高い設計力と技術力が求められるため、施工会社選びが重要です。
クレバリーホーム東京の建築士は、耐火構造の木造住宅の設計に求められる耐火構造認定資格を取得しております。
東京都内で3階建てや4階建てなど多層階住宅をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
クレバリーホーム東京は、お客様のご希望やライフスタイルに合わせた住まいづくりをしています。
- 3階建て住宅・4階建て住宅
- 木造耐火住宅
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