「2階建ての狭小住宅」豊かに暮らす7つの間取りアイデア│3つの施工事例も紹介

「2階建ての狭小住宅」豊かに暮らす7つの間取りアイデア│3つの施工事例も紹介

これから注文住宅を建築する人の中には、予算が限られている人や、予算が十分にあっても、その後の生活のために残しておきたいと思う人もいるでしょう。

限られた予算の中で、都内を中心に土地の単価が高いエリアに住みたいと思うと、土地の面積はコンパクトになってしまいがちです。床面積を増やすためには、3階建て、4階建ての住宅を建築するのが望ましいですが、建築費用も高額になってしまいます。

そこで生まれるのは、本記事で紹介する「狭小敷地ながら2階建ての住宅」に対する需要です。

2階建てで狭小住宅を建築する場合は、一体どんな点に気をつけて住まいづくりすればよいのでしょうか。7つの間取りのアイデアと、実際に建築された3つの事例を紹介するので、参考にしてみてください。


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  • 狭小住宅で2階建て。実現は可能です。
  • 2階建て狭小住宅の実現に効果のあるアイデアを7つ紹介します。

「2階建ての狭小住宅」豊かに暮らす7つの間取りアイデア

コンパクトな敷地に2階住宅を建築する場合、どんな点に気をつけて建築するべきか、7つのアイデアを紹介していきます。

アイデア(1)空間を生かして上手に収納を確保する

狭小敷地に建築する場合、常に問題になるのは収納です。限られた床面積で整頓された生活を送るためには、十分な収納が必要です。

しかし2階建ての場合は、3階建てなどと比べるとさらに床面積が限られているため「空間を生かした収納」の重要性が高くなります。

>施工事例:収納力にこだわったお家

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たとえば、階段の下まで空間を最大限に活用した収納です。床面積が限られているなら、天井裏から床下まで、使える部分がないか探してみてください。

>関連コラム:新築の収納アイディア|取り入れたい実例をご紹介

アイデア(2)移動するだけのスペースは排除する

1つ目のアイデアと同様に、床面積が限られている場合は「移動のためだけに使うスペースの排除」が求められます。廊下を中心に、移動以外に使わない空間を、収納や書斎など、有用に使える空間へ変換しましょう。

アイデア(3)LDKは可能な限り壁を取り払う

>施工事例:木のぬくもりに包まれるお家

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狭小敷地に建築する場合は、奥行きや横方向の広がりを確保しづらいため、壁を立ち上げてしまうと視線が遮られ閉鎖的な間取りになりがちです。特に2階建ての場合は、個室を確保するために壁が立ち上がりやすく「壁を取り払う開放的な間取り」を実現するためには、間取り上の工夫が必要になります。

たとえば、2階リビングにして、1階を個室にする。収納は集中して壁側に設ける。こういった工夫が考えられます。

アイデア(4)内装は白を多用して広がりを演出

開放感を演出するために、内装を利用するのも効果的です。具体的には「白い壁紙を用いる。白い木材や床材を用いる。」こうした工夫が考えられます。

>施工事例:ラグジュアリーモダンのお家

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白は光を反射しやすく、照明や太陽光を反射して、室内を明るく照らしてくれます。明るいと部屋は膨張しているように見えるので、部屋が広がったように感じられるでしょう。

>関連コラム:家のデザイン事例10選│おしゃれな内装と外観のポイントをご紹介

アイデア(5)光を上手に取り込んで明るく暮らす

アイデア(4)と並行して「外部の光を取り込むこと」も、開放的に暮らすために重要になります。

>施工事例:窓から光がたっぷり入る明るく快適な住まい

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天窓や高窓を利用することで、周囲を建物に囲まれている都市部の住宅でも天然の日光を取り入れられます。地窓を利用すれば、私たちの目線から遠い床に光を当てられ、空間を広く感じさせることも可能になります。

アイデア(6)屋根の上に広がる空間を有効活用する

狭小敷地に建築する場合は「屋根の上に広がる空間の利用」も大事な要素になります。

>施工事例:屋上付き住宅

>施工事例:屋上付き住宅

都市部で土地を購入する場合、外構のためのスペースを確保するのは、土地取得費用の面から困難です。しかし、土地いっぱいに建物を建築してしまうと、靴を洗ったり、洗濯物を干したりと、外で行いたい家事の一切ができなくなります。

屋上を設けておけば、外を利用する家事や家庭菜園など、外部の利用を図れるようになります。

>関連コラム:3階建て住宅につくる屋上テラスの魅力​│開放的な事例をご紹介

アイデア(7)敷地に余裕がなくても外構スペースは確保

屋上空間に加えて「敷地の前面に外構スペースを確保」できると、生活の利便性は大きく向上します。

屋上を利用することで、外部を利用する家事の多くは完結できますが、やはり1階から屋上まで持っていくのは大変です。小さなスペースでも、外構スペースを確保することで、便利な生活が手に入ります。

>施工事例:ホームエレベーターのある暮らし

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可能であれば、車を一時的にでも駐車できるスペースがあると、車を購入した時、自転車を置く場所として、レジャー用具置き場として、様々な利用方法が見出せるでしょう。

狭小敷地に建つ2階建て住宅│事例から間取りを学ぼう

では、実際に10坪・20坪台のコンパクトな土地に建築された、2階建ての注文住宅の実例を見てみましょう。どの家も建築条件や施主の要望によって異なるテイストの建築になっています。あなたに合ったアイデアを見つけてみてください。

【街道沿い・狭小・屋上】敷地22.1坪|延床29.9坪!

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>施工事例:1階で愛車を眺め、屋上で家庭菜園を楽しむ、夫婦夢の注文住宅

1つ目の事例は、大きな通り沿いにある、敷地面積22.1坪の土地に建つ、延床面積29.9坪の屋上付き2階建て住宅です。
1階部分はガレージと玄関が配置されていて、玄関を入って左側に複数並んだ窓から愛車が見えるのが気に入っています。

【街道沿い・狭小・屋上】敷地22.1坪|延床29.9坪!

階段を上がって2階部分がLDK。キッチンカウンターがダイニングテーブルの役割も兼務していて、1つの空間で複数の役割を担うことで空間を有効活用している点に注目です。

【街道沿い・狭小・屋上】敷地22.1坪|延床29.9坪!

日差しのよく当たる屋上は、多肉植物やサボテン、家庭菜園を行うスペースとして活躍しています。2階に光を落とし込む天窓に屋上から簡単にアクセスできることから、掃除やメンテナンスに留意している点も、家を綺麗に保つ工夫に数えられます。

【街道沿い・狭小・屋上】敷地22.1坪|延床29.9坪!

窓からの光が明るい寝室は、大きめの収納を確保しています。収納に鏡を取り付けることで姿見の設置スペースを減らしたり、内部建具に引き戸を利用したりすることで、限られた床面積を有効活用しています。

【収納力が自慢】敷地24.30坪|延床38.57坪!

>施工事例:家族で過ごす居心地の良いリビングがあるお家

>施工事例:家族で過ごす居心地の良いリビングがあるお家

次に紹介する事例は、LDKが一体となっていて、白でまとめた内装の恩恵も受けつつ広々とした空間使いが魅力的な注文住宅です。本事例の魅力のひとつは、コンパクトな敷地ながら十分すぎるほど確保された収納にあります。

テレビボードだけでも、リビングとダイニングのほとんどの物が収まってしまいそうです。

>施工事例:家族で過ごす居心地の良いリビングがあるお家

キッチンも大型の背面収納を配置しながら、3口横型コンロ、広々とした作業台など、恵まれた広さと収納を確保しています。

>施工事例:家族で過ごす居心地の良いリビングがあるお家

玄関横のシューズクロークは前後2面配置になっていて、家族の分の靴はもちろんのこと、スポーツ用品や傘など、外で使用するあらゆる物を一括して収納できるよう設計されています。

>施工事例:家族で過ごす居心地の良いリビングがあるお家

キッチンの先につながる洗面脱衣室も、奥側両面に可動棚を設けていて、洗濯に使用する洗剤や物干し道具、寝巻などを収納できます。

各所に収納を設けて、新たに家具を購入・配置しなくてもよい間取りは、限られた床部分を最大限利用可能にします。造作収納を利用することも、豊かに暮らすための要素のひとつといえそうです。

【屋上つき住宅】敷地18.10坪|延床34.33坪!

【屋上つき住宅】敷地18.10坪|延床34.33坪!

>施工事例:収納力を意識した家

最後に紹介する事例は、コンパクトな土地に建築された屋上つきの注文住宅です。本事例も、収納力を意識している点は2つ目の事例と似通っています。

【屋上つき住宅】敷地18.10坪|延床34.33坪!

ハンガーパイプと天袋収納があることで、服飾品から季節用品まで、何でも収納できるスペースができています。ここでも、収納用品は後置きにせず造作にすることで床に物を置かないWICが実現できています。

「床に置かない」は床面積が限られた住宅の間取りを考える際の重要なキーワードになりそうです。

【屋上つき住宅】敷地18.10坪|延床34.33坪!

こちらの事例でも、壁紙は白を中心としたものを、木材は明るめの色を選択している点に注目です。都内を中心に、敷地面積が限られた住宅では、隣家が迫っている、三方向を家で囲まれている、といった環境に直面しやすいものです。限られた光や照明の光を遠くまで届けられる工夫を凝らしましょう。

まとめ│アイデア次第で狭小住宅でも豊かに暮らせる

狭小敷地に2階建てを建築する場合に気にするべき「7つのコツ」を解説しました。

建築予定の土地が狭小である場合、床面積を確保しようとすると建物をタテ方向に伸ばす必要性に迫られます。しかし、工夫することで2階建てに納めて、建築費用を節約できる可能性があります。

一方で、無理に2階建てに納めると、窮屈な生活になり後悔を抱えてしまう可能性があります。2階建てにするか、3階建てにするか、家族の生活スタイルを顧みながら考えてみましょう。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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