地下室・半地下のある家とは|ドライエリアなし・ありで変化する地下構造と間取り
特に東京などの密集地では住まいにかけられる広さにも限りがあり、その広さに対するアイデアとして、「地下室」や「半地下」があります。
地下室は住まいの快適性を上げる、自分たちの要望を叶えるための手段として有効的です。
しかし地下室があることで感じられるメリットや活用法がある反面、地下室があることのデメリットやドライエリアのあり・なしなど構造の違いなど、疑問や不安点を心配している方も多いでしょう。
今回は、東京の住まいで「地下室・半地下のある家」で知っておきたいポイントにクローズアップしてみましょう。
ぜひ東京での家づくりの参考に、お役立てください。
- point -
- 地下室はつくり方により、快適性や間取り。そして、気をつけたいポイントも異なります。
- 希望する間取りに合わせるためには?土地の条件により地下室はどう変化するの?など、建てる前に知っておきたい情報を知ることができます。
− contents −
◼ 地下室・半地下のある家<メリット・デメリット>
◼ 間取りを変化させる「地下室のドライエリア」とは?
◼ まとめ:使い方は自由!あなたならどんな地下室に?
地下室・半地下のある家<メリット・デメリット>
私たちが「地下室」と聞いてイメージするのは、1階よりも下にある空間というのが一般的でしょうか。
建築基準法で地下室とは、「地階※」と表現されています。床が地盤面より下にあって、「天井高の3分の1以上が地面の下に埋まっている空間」を指しています。
※地階:地下室の天井が地盤面よりも1m以下の位置あること。
通常であれば使うことのできない部分を活用できる地下室では、一体どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、東京の住まいにつくる「地下室のある家のメリットとデメリット」を解説していきましょう。
地下室のメリット① 限られた敷地でも、有効面積を広げられること
東京など人口の密集したのエリアの場合、今現在でもたくさんの建物が建っています。
そのため、希望通りの広さがある。けれど形状が傾斜地だった。
希望するエリア、利便性の高い土地なのに、希望する広さが確保できない。など「自分たちの希望通りの敷地を手に入れることはとてもハードルが高い」ケースも多いものです。
地下室のある家にすることで、地中に埋まっている空間を活用することができ、通常の2階建てでも「実質3階建てと同じ面積を確保」することができます。
例えば1階・2階が40㎡ある2階建ての場合、延べ床面積は80㎡になります。そこに地下室をつくることでさらに40㎡の延べ床面積と追加することができるのです。
またある一定の条件を満たすことで、住宅の地下室は一定を上限に容積率の緩和を受けることができます。
使える空間を増やすだけではなく、税金面などの維持面などにもよい効果が期待できます。
地下室のメリット② 地震災害にも強い住まいにできる
地震が発生した場合、大きなエネルギーにより建物は大きく揺さぶられます。
一般的に地震の揺れを考える場合、地面よりも上と下では、異なる動きになるのです。
例えば地面よりも上の建物は、地面の揺れを追いかけるように建物が揺れます。
一方地面よりも下にある地下室では、地面に埋まっているため「地面と一緒に揺れる」ことになります。
元々地下室は土の圧力に負けないよう強い構造でつくられることから、非常に剛性が高く、壁の歪みも発生しにくいのです。
「地面と一緒に揺れる」ことで地上よりも揺れが小さく感じられ、万が一の災害時「自宅シェルター」として活用できる可能性も広がります。
地下室のメリット③ 気温や湿度が安定した空間をつくることができる
田舎などの住まいでは、山の斜面に横穴を掘り大きな室をつくり、野菜やその他保存食の貯蔵庫として活躍していました。昔から伝わる知恵で、土の中の方が空間内の環境を安定しやすいためです。
地下室は横ではなく下に室をつくり、住まいに便利な空間をプラスしてくれます。
日常使用する食材の貯蔵庫として。趣味のワインを並べるワインセラーとしてなど、いろいろな活用法がありますね。
地下室のメリット④ 防音性に優れた空間がつくれる
東京の住まいでは、どうしても近隣との距離も近くなりがちです。騒音などの音の問題は、近隣トラブルにもつながりやすいのです。
一般的にイメージする地下室は、周囲を地面に囲まれています。そのため外部や室内からの音も伝わりにくくなります。
シアタールームや楽器の演奏など、周囲を気にせず楽しめる空間として。
また周囲の雑音が伝わりにくい部分を活かし書斎や読書部屋など、自由に使える「防音室」として活用することもできます。
地下室のデメリット① 住宅建築のコストがかかる
やはり地面の下に住まい空間をつくるため、どうしても建築する費用が発生します。
また、上に建物をつくるとは違った施工や調査なども必要となり、
- 地盤・地質調査費
- 構造計算費
- 地下室用の図面・施工図作成費
- 山留工事費
- 堀削・残土処分費
- 防水工事費
- 配筋・打設工事費
- 断熱・除湿工事費
などの費用が追加されるケースが考えられます。
建てる前に、どんな費用が発生するのかを確認することは「失敗しない地下室のある家づくり」につながります。
地下室のデメリット② 湿気対策が必要となる
土の中は気温や湿度が安定しやすいとはいえ、昔のように周囲を取り囲んでいる素材に違いがあります。
そのため土の室よりも「地中の温度と部屋の温度差により、湿気がたまりやすく」なるのです。
建物をつくる上で基盤となる建築基準法では、地下室を設ける際「調湿・換気のための設備の設置が義務付け」られています。
湿気が溜まりやすい部分をしっかりと考慮し、対策を検討しておくことが大切です。
このように東京で地下室のある家にすることで、たくさんのメリットを感じることができます。
デメリットをしっかりと把握することは、メリットに変えることも可能です。
いろいろな注意点や規制のある地下室のある家は、どの施工会社でも建てられるとは限りません。
地下室のある家の実績のある施工会社を選び、しっかりと相談しながら進めることをおすすめします。
間取りを変化させる「地下室のドライエリア」とは?
地下室のある家を検討している方であれば、1度は「ドライエリア」というフレーズを目にしたこともあるのではないでしょうか。
一般的な地下室は、地面の中に空間があるイメージです。しかし現在では、いろいろな地下室の作り方があります。
ここでは、東京で地下室のある家をつくる際に知っておきたい「地下室の工法の違い」について解説していきましょう。
一般的に地下室のある家は上のように、
- 地下が完全に地面の中にある「全地下スッポリタイプ」
- 地下室の半分が地面に埋まっている「半地下タイプ」
- 片方の面を地下の部分から開放する「ドライエリアタイプ」
の3つの工法に分けることができます。
このように地下室のつくり方により、使用しやすい目的も変化し、間取りにも大きな影響をあたえます。
工法により、どんな違いが生まれるのかをみていきましょう。
「全地下スッポリタイプ」
地下室の空間が全部地下に埋まっていることから、断熱性や遮音性、室温の安定性などに優れています。
しかし自然光の光を取り入れる、通風環境を整えるなどができないため、居室として活用することはできません。
食材を保存する「パントリールーム」や上階の「収納スペースをサポート空間」などの活用法がおすすめです。
「半地下タイプ」
半地下タイプは、地下空間の階の1/3が地下に埋まっているスタイルです。
傾斜や段差のある土地形状など、住宅建築としてネックになりやすい部分をプラスに変えられるアイデアのひとつです。
また全地下のスッポリタイプとは違い、上の図のように土地の悪条件を逆手に取ることで「地下室内に採光や通風」を取り入れやすくなります。
また地下室として使う部分を掘る手間も軽減できるため、コストが抑えられる部分はメリットのひとつ。
「このエリアに住みたい。でも土地形状に不満点がある」場合でも、地下室のある家は建てられるのです。
「ドライエリアタイプ」
ドライエリアとは、建物の周りを掘り下げ、あえて空間をつくる方法です。
地下室のお悩みのひとつとして、湿気の多さがあげられます。
地下室を寝室などの居室とする場合には、風や採光を確保するのに必要な大きな窓の設置が義務付けられています。
こういった空間として活用したいと検討している方であれば、このドライエリアは必ず必要となります。
ドライエリアは、地下室空間の環境を整えるだけではなく、プライバシー面の高い中庭などアイデアにより活用方法はさまざまです。
「こんな空間として活用したい」「こんな風な使い方がしたい」など、地下室の使用目的を施工会社に伝え、最適な工法を選ぶことが大切です。
まとめ:使い方は自由!あなたならどんな地下室に?
今回は、敷地を最大限有効活用する!地下室のある家についてクローズアップしてきました。
地下で、趣味の楽器を思う存分楽しみたい。
周囲の音の届きにくい環境を寝室として活用したい。など、地下室での使用目的は、人それぞれです。
後悔しない地下室のある家にするためには、様々な規制の多いエリアの特性を理解し、立地を活かす提案ができること。
そしてその特性を理解した上で、最適な設計や施工ができることなどがとても重要です。
「こんな暮らしがしてみたい」「このエリアで暮らしたい」「相談したけれど、断られてしまった」など、不安や疑問、そしてあなたの思いを声にしてみてください。
お客様との何気ない会話からご要望を見つけ出し、アドバイスやご提案をさせていただいております。
限られた敷地を活かしきる!地下室のある家
を、私たちと一緒に建ててみませんか。