軽量鉄骨の家づくりに後悔しがちなポイントとは?特徴や魅力もご紹介

軽量鉄骨の家づくりに後悔しがちなポイントとは?

軽量鉄骨は建物の強度を大きく上げられる割には、鉄筋コンクリートのように高コストがかからないので、一般住宅に利用されることが多くあります。

多階層住宅や広い空間をつくりたい場合におすすめの建築方法です。

 

魅力の多い軽量鉄骨ですが、構造の特徴から後悔に繋がりやすいポイントが3つあります。

事前に確認して、しっかりと対策を整えていきましょう。

後悔しない家づくり計画のために、ぜひお役立てください。

 


- point -

  • 軽量鉄骨の特徴や、同じ材料が使われる重量鉄骨についてまとめていきます。
  • 軽量鉄骨を利用した家づくりで、後悔に繋がりやすいポイントを3つお伝えします。
  • 軽量鉄骨の魅力もぜひご覧ください。

 

− contents −
◼ 軽量鉄骨とは
◼ 軽量鉄骨の家づくり│後悔しがちな3つのポイント
◼ 軽量鉄骨の魅力
◼ まとめ

 

 

軽量鉄骨とは

新築外観

 

軽量鉄骨とは建物の骨組みが鉄でできている構造で「鉄骨造」に分類されます。

この鉄骨造には軽量鉄骨の他に重量鉄骨があり、鉄骨の太さで区分されます。

  • 軽量鉄骨・・・家の骨組みとなる鉄骨の太さが6㎜未満
  • 重量鉄骨・・・家の骨組みとなる鉄骨の太さが6㎜以上

 

木造よりも強い家づくりができるので、柱と柱の間を大きく空けることができます。

そのため一般住宅だけでなく店舗や倉庫、ダンスフロアやガレージなどに利用されることが多く、開放的でダイナミックな空間が広がります。

 

軽量鉄骨の家づくり│後悔しがちな3つのポイント

リビング

軽量鉄骨の家づくりに後悔するポイントを3つご紹介します。

  • 耐火性が低い
  • リノベーションがしにくい
  • 遮音性が低い

それぞれのポイントを理解して、可能な対策を立てていきましょう。

 

【後悔ポイント①】耐火性が低い

軽量鉄骨には銅が使われていますが、銅は約200度で液化してしまう性質があるので、熱を受けるとかなり強度は低くなります。

そのため火災が起きると、倒壊する危険性が高いというデメリットがあります。

 

火災が起きないよう火の取り扱いに十分気をつけることが大切ですが、火災は事故や外からの燃え移りもあるので防ぐのは難しいでしょう。

もしもに不安を感じるのであれば、建物の耐火性能をあげることをおおすすめします。

 

耐火性の低さは、鉄骨が熱で高温にならないように耐火性のある材料でカバーする対策が有効です。

鉄骨への熱が伝わりにくくなり、強度を保つことが可能になります。

 

【後悔ポイント②】リノベーションがしにくい

軽量鉄骨の建物をリフォームやフルリノベーションしようとすると、鉄骨の錆びや劣化により建て替えと同様の費用がかかる場合があります。

また構造によっては柱の間を補強するために入れられたブレースが邪魔をして、間取りの変更ができないかもしれません。

 

鉄骨造の建物は木造よりも強度が高く、耐用年数が長いことから選んだ構造であっても、リノベーションやリフォームがしにくいとあっては、長く住み続けることが難しいと後悔するかもしれません。

 

対策としては鉄骨が錆びを起こさないように、雨の侵入を防いだり、湿気が高くならないように通気性や換気機能を整える必要があります。

軽量鉄骨の耐用年数は、鉄骨の太さが4ミリ未満で27年間とされていますが、メンテナンスによっては長く引き上げることが可能です。

鉄骨がいい状態であれば、リノベーションの費用が高額にならずにすむでしょう。

 

また壁の仕切りが取り外せない点は、木造住宅の梁のように、鉄骨の柱をデザインとして残すのもおすすめです。

鉄骨を通して壁の向こうまで視線を伸ばすことができるので、開放感を得ることができます。

スタイリッシュでモダンなデザインに仕上げることができるでしょう。

 

【後悔ポイント③】遮音性が低い

鉄骨造は柱が鉄骨である以外は、ほぼ木造住宅と構造が同じです。

そのため遮音性が低く生活音が外に、また外の騒音が家の中に通りやすくなります。

 

せっかくのマイホームで大きな音を立てないように気を使ったり、声のボリュームを調整する必要があっては、日々の生活にストレスを感じてしまうでしょう。

また外からの騒音がダイレクトに入ってくる環境では、ゆっくりと体を休めることはできません。

音の問題は近隣を巻き込んでのトラブルにもなり兼ねないので、新築時の構造計画で対策することをおすすめします。

 

楽器の練習をする、大音量で映画や音楽を楽しみたい、そんな希望はとくにない一般住宅であれば、家の気密性を上げるだけで、かなりの遮音効果が期待できます。

家の気密性を高めるには、外壁と内壁の間に気密シートや断熱材を敷き詰める方法が有効です。

 

家のすき間をできるだけなくすことで、音が通りにくくなるので遮音性を高めることができます。

更に遮音性を高めるには音が振動しにくいように壁に厚みをつけたり、窓を複合ガラスにして音の伝達を弱くしたりとさまざまです。

家族の生活スタイルや、近隣の環境によって遮音性能を高めていきましょう。

関連記事:木造住宅の防音性が低い理由とは│快適に暮らすための音漏れ対策をご紹介

軽量鉄骨の魅力

リビング

後悔ポイントを対策すると、軽量鉄骨の魅力を活かした理想の家づくりができます。

  • 広い空間を作れる
  • 家を建てるまでの期間が早い
  • 害虫の被害がない
  • 基礎工事・地盤改良の費用を抑えられる

それぞれ詳しくお伝えします。

 

広い空間を作れる

軽量鉄骨は強度が高いので、柱と柱の間を広く取ることができます。

広い空間の間に柱を立てる必要がないので、安全で開放的な間取りを作ることが可能です。

  • 広い倉庫
  • ビルトインガレージ
  • ダンスホール
  • パーティー会場
  • スーパーやショップ

用途に応じて階層の1部分だけを軽量鉄骨にすることもできます。

関連記事:ビルトインガレージとは│狭小地域におすすめの理由を解説​

 

家を建てるまでの期間が早い

軽量鉄骨は材料を工場でカットや加工をして、現場では組み立てる方法が取られます。

現場での工程が少なく済むので、家を建てる期間が短く済みます。

工期が短いと人件費が抑えられるので、新築コスト削減にもつながるでしょう。

 

またこのような工程を利用すると、技術者の腕などで建物の品質が変わることはほとんどありません。

そのため品質の安定した建物にすることができます。

 

害虫の被害がない

鉄骨造は木材を利用しないので、白アリなどの被害にあいません。

白アリを防ぐには定期的にメンテナンスをする必要があるので、軽量鉄骨にすることでランニングコストの削減にもなるでしょう。

 

基礎工事・地盤改良の費用を抑えられる

軽量鉄骨の骨組みに使われる銅は細いので、基礎や地盤にかかる重さは、木造住宅とほとんど変わりません。

重さのある重量鉄骨と比較すると、基礎工事・地盤改良などの費用を抑えることができます。

 

まとめ

ダイニング

軽量鉄骨の家は、木造住宅と比較すると強度があり、鉄筋コンクリート造と比較すると低コストで建てることができます。

そんな魅力の多い軽量鉄骨ですが、構造の特徴から後悔に繋がりやすいポイントもあります。

  • 骨組みに使われる銅は熱に弱いので、火災が起きると倒壊の危険がある
  • 鉄骨の錆びや、柱の補強部分が邪魔でリノベーションがしにくい
  • 骨組み以外は木造住宅と同様の作りなので、遮音性が低い

 

生活スタイルや建築コストにもよりますが、新築時に対策を立てることで、この様なポイントを回避することができます。

軽量鉄骨の魅力を活かした家づくりのために、後悔ポイントの対策を検討してみましょう。

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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