木造住宅の防音性が低い理由とは│快適に暮らすための音漏れ対策をご紹介

木造住宅の防音性が低い理由とは

木造住宅は、一般住宅の中で最も利用される建築方法です。

主に木材で造られるので、温かみのある雰囲気や、日本の気候に合っていることが人気の理由です。

また建築費用が比較的やすいのも、木造住宅の魅力といえるでしょう。

 

そんな木造住宅ですが、デメリットとして防音性の低さがあげられます。

生活音が外に漏れ出たり、外からの音が生活のストレスになっては、快適な暮らしとはいえません。

さらに音問題は近隣を巻き込んで、トラブルが起こることも考えられます。

 

今回は木造住宅の防音性が低い理由を掘り下げて、その対策方法をお伝えしていきます。

快適な暮らしを整えるために、ぜひお役立てください。

 


- point -

  • 木造住宅の防音性が低い理由を確認して、どのような対策方法が有効なのかお伝えしていきます。
  • 家の中での音問題にも目を向けて、快適な生活空間を整えていきましょう。

 

− contents −
◼ 木造住宅の防音性が低い理由とは
◼ 木造住宅の音漏れ対策
◼ 木造住宅│家の中での音問題を対策
◼ まとめ

 

木造住宅の防音性が低い理由とは

新築住宅外観

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一般住宅で利用される木造住宅・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の中で、防音性が一番低いのは木造住宅です。

木造住宅の壁は木材の柱で骨組みをして、室内側にはボードを、外側にはサンディングなどの外壁材を貼り付けてつくられます。

外壁と内壁の間に断熱材を入れますが、防音対策としては不十分に感じられるでしょう。

 

  • 壁と壁の間を通る木材が振動を伝える
  • 壁の間に空間ができるので、振動が起こりやすい
  • 木材は気候によって伸縮するので、骨組み部分にもすき間が空きやすい

振動しやすいボードや木材、空間ができやすい構造は音漏れしやすいと言えます。

 

そのため生活音が外まで漏れたり、外を通る車の音や工事の音などがうるさく感じられるかもしれません。

戸建て住宅なのに生活音を気にするのも、外からの音がうるさくて落ち着かないのも理想の暮らしではないはずです。

では音に悩まされず快適な家づくりをするにはどうすればいいのか、確認していきましょう。

 

木造住宅の音漏れ対策

新築住宅外観

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家の内側からの音、外側からの音を通しにくい家づくりのポイントをお伝えします。

 

外壁の防音性を高める

家の外壁の防音性を高めるには、次の様な施工が行われます。

  • 外側と内側の壁を厚くして質量を増やし、音による振動を防ぐ
  • 外壁と内壁の間に断熱材や気密シートを敷き詰めて、音の通るすき間をなくす
  • 外壁と内壁を繋げる骨組みを互い違いにずらして、音の振動を遮断する

このように断熱性と気密性を高めることは、防音性を高めることにも繋がります。

 

断熱性が高いと室内の温度が安定しやすくなり、気密性が高いとキレイな空気を保ちやすくなります。

さらに静かな環境を整えることができるので、快適な生活を送ることができるでしょう。

 

窓の防音性を高める

壁に設置されるサッシや窓ガラスは、音を通しやすい特徴があります。

サッシはすき間が空きやすく、窓ガラスは振動を伝えやすいからです。

 

  • サッシはアルミ製よりも樹脂製の方が気密性を上げられるので、音が通りにくくなる
  • 窓ガラスは2枚取り付ける複合ガラスにすることで、音の振動を抑えることができる

このような機能性の高い窓を設置することで、窓部分の音漏れ問題を解消することが可能です。

 

吐き出し窓のような大きな窓を設置したり、コンパクトな小窓をリズムよく配置したりすると開放感がありおしゃれな部屋になります。

しかし窓の範囲が広くなると防音性が下がるので、窓の性能を高めて静かな環境を整えていきましょう。

 

ドアの防音性を高める

玄関のドア部分も、扉と扉の枠の間にすき間が空きやすいので、気密性の高いドアを選ぶようにしましょう。

横にスライドする引き戸よりも、扉を前後させる開き戸の方がすき間が空きにくいのでおすすめです。

壁や窓と同じように、すき間をなくして音の通りを減らすことで、玄関周りの音漏れ対策になります。

 

木造住宅│家の中での音問題を対策

個室

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家の外と中での音問題も切実ですが、家の中で起こる音が生活の快適さを脅かすこともあります。

家族であっても生活のリズムが違うこともありますし、音の出やすい間取りや静かに過ごしたい間取りがあるからです。

木造住宅は家の中の壁も、木材の柱とボードでつくられるので、音が伝わりやすい特徴があります。

家の中での音問題を対策して、快適な生活空間にしていきましょう。

 

個室の音問題を対策する

個室の部屋を静かな空間にするには、収納スペースの位置がポイントです。

部屋に設置する本棚やクローゼットを、音が入ってきそうな壁側につくることで音の伝わりを和らげることができます。

楽器や音楽を楽しむ部屋にするには防音室などの特殊な施工が必要ですが、通常の生活音程度であれば効果を感じることができるでしょう。

 

トイレの音問題を対策する

トイレの音は家族であっても聞かれたくないものです。

しっかりと音問題を対策して、利用する側も家の中で過ごす側も不快にならないように整えていきましょう。

 

まずはトイレをどこに配置するかがポイントです。

家族が集まったり、食事をしたりするリビングから、トイレの位置を遠ざけておきましょう。

例えば玄関ホールなどに設置すると、リビングとの距離を取れる上に、家を出入りするときに利用しやすいので便利です。

トイレのある玄関ホールとリビングの間に扉をつけると、さらに音問題の対策になります。

 

次に二階などの上階にトイレを設置する場合は、配管を通る音が下の階に負担をかけないか確認しましょう。

音対策が必要な場合は、吸音性のある配管を利用することで解消できます。

 

間取りで音問題を対策する

家の中の音問題は、間取りの整え方でも対策をとることができます。

音の出る間取りと静かに過ごしたい間取りはできるだけ遠ざけて配置しましょう。

  • 音の出る間取り・・・リビング・キッチン・お風呂・トイレ・ランドリールーム
  • 静かに過ごしたい間取り・・・書斎・寝室・ご両親の部屋(同居の場合)

 

音の出る間取りと静かに過ごしたい間取りが隣通しになる場合は、先にお伝えしたようにクローゼットなどで対策するのがおすすめです。

納戸のように大きな収納や廊下を設置するのも、音の仕切りになります。

また上階に音の出る間取りを設置する場合は、足音などが多少響いても問題がない間取りを真下に配置しましょう。

 

まとめ

リビングダイニング

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木造住宅の防音性が低い理由と、音漏れの対策方法についてお伝えしました。

木造住宅の防音性が低いのは、壁の構造にすき間が空きやすく、振動が伝わりやすいからです。

 

外壁と内壁の間に断熱材や気密シートを施す・壁に厚みを設ける・壁を繋ぐ木材を互い違いにする、などの対策を施して音漏れを防いでいきましょう。

さらにすき間の空きやすい玄関ドアや窓の気密性を高めると、より音漏れしにくい家づくりができます。

 

今回ご紹介した音漏れ対策は、楽器の演奏をしたり、ダンススタジオを自宅に設けるといった防音対策ではありません。

外の音が気にならない程度、又は家の中での生活音が外に漏れない程度の対策方法になります。

通常の生活であれば、快適な空間を整えることができるでしょう。

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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