オーバーハングをわかりやすく解説|メリット・デメリットと外観の実例
「オーバーハング」という建築手法をご存じでしょうか。
あまり聞き馴染みのないワードですが、さまざまな建物に使われている手法です。
オーバーハングの建物を見れば「見たことある」と感じる方がほとんどでしょう。
間取り・デザイン性などにメリットをもたらすオーバーハングですが、一方で構造的なデメリットもあります。
今回は、オーバーハングのメリット・デメリットや実例を紹介します。
- point -
- オーバーハングは建物面積を増やしたり、デザイン性の高い建物に仕上げたりできるなどのメリットがあります。
- 慎重に設計しないと耐震性が弱まる危険性があるため注意が必要です。
- オーバーハングを取り入れた事例を見てお気に入りの外観デザインを見つけてみましょう。
− contents −
◼ 建築用語「オーバーハング」って何?
◼ オーバーハングのメリット
・敷地を有効に使える
・2階の面積を増やしても費用がかかりにくい
・日よけや雨よけになる
・個性的な外観を作りやすい
◼ オーバーハングのデメリット
・耐震性の検討が必要
・おしゃれな外観にするには設計技術が必要
・希望通りに窓を配置できないことがある
◼ 【オーバーハングの家】外観の実例を紹介
◼ まとめ
建築用語「オーバーハング」って何?
オーバーハングとは、2階以上の部分が外へせり出している形状のことを指します。
1階よりも2・3階の方が出っ張っている建物を見たことはないでしょうか。
上の画像では、2階と3階のバルコニーが「オーバーハング」しています。
オーバーハング(=overhang)は、英語で「突き出るや張り出す」という意味の単語です。
建物の形状から突き出ているような見た目なので、建築業界ではオーバーハングと呼ばれるようになりました。
オーバーハングは「片持ち」と呼ばれることもあります。
オーバーハングのメリット
オーバーハングの建物のメリットを紹介します。
敷地を有効に使える
オーバーハングの建物を採用すれば、敷地を有効的に使うことができます。
例えば、狭小地で庭の確保が難しい場合を考えてみましょう。
総二階の建物を設計すると、建物が敷地のほとんどを占めて庭が確保できないかもしれません。
しかし、2階部分をオーバーハングさせて面積を広げ、1階の面積を小さくすれば庭を作ることができます。
狭小地だけでなくても、庭や駐車スペースを広めに設計したい方にもおすすめです。
また、必要な敷地面積が少なくなれば、土地の予算を下げられたり選択肢が広がったりします。
オーバーハングを検討して、土地に対する問題を解消しましょう。
2階の面積を増やしても費用がかかりにくい
オーバーハングはコスト面でもメリットがあります。
例えば、1階部分の床面積を広げると、基礎と屋根の面積も一緒に増えますよね。
しかし、2階部分の床面積を広げてオーバーハングさせると、屋根面積は広がりますが基礎は増えません。
住宅建築において、基礎工事は意外とコストがかかります。
1階の面積を増やすより、基礎を施工しなくていいオーバーハングを採用した方が、コストをかけずに家を広くすることができるでしょう。
日よけや雨よけになる
オーバーハングの施工場所によっては、1階部分の日よけや雨よけとしても活用できます。
・1階のLDKの上:軒の深い屋根のように日差しを遮ってくれる
・玄関の上:玄関の庇代わりになって雨よけになる
・駐車スペースの上:カーポートの代わりになって日差しや雨を遮る
オーバーハングの下に自転車置き場を作っても良いですね。
室内と屋外の両方の使い勝手を考えながら、オーバーハングする場所を検討してみてくださいね。
個性的な外観を作りやすい
オーバーハングは個性的な外観を作りやすい点もメリットです。
2階部分の部屋を広げてオーバーハングさせれば、大きな箱が重なっているような外観になります。
また、バルコニーをオーバーハングさせて、外壁の色や素材を貼り分けてもおしゃれです。
道路から良く見える面をオーバーハングさせて、デザイン性にもこだわってみましょう。
オーバーハングのデメリット
オーバーハングを採用する際のデメリットを紹介します。
耐震性の検討が必要
オーバーハングは、一般的な建物よりも慎重に構造の検討を行わなければなりません。
なぜなら、建物からせり出している部分は支えが無いため、全体の荷重バランスが不安定になりやすいからです。
総二階の建物なら耐震等級3が取れていても、大きくオーバーハングさせることで耐震等級が1~2に下がることも考えられます。
柱や壁の位置を検討することはもちろん、基礎の延長などが必要になるケースもあります。
耐震性を高める工事をすることで、費用がアップする可能性もあることを理解しておきましょう。
おしゃれな外観にするには設計技術が必要
オーバーハングした建物は、個性的でかっこいい外観に仕上げることができます。
しかし、オーバーハングの位置や大きさによっては、イマイチな外観になってしまうことも。
間取りの使い勝手に加えて、外観のバランスを考えながらオーバーハングを作ることは意外と難しいです。
提案された外観がイメージと大きく異なる場合もあるでしょう。
オーバーハングの建物を採用したいなら、設計経験が豊富な住宅会社にお願いすることをおすすめします。
クレバリーホーム城東店は、多くのオーバーハングの建物を設計・建築しています。
お気軽にご相談くださいね。
希望通りに窓を配置できないことがある
大きくオーバーハングした家は、希望通りに窓を配置できないことがあります。
なぜなら、オーバーハング下の壁には大きな負荷がかかるからです。
負荷がかかる壁は耐力を高めなければなりません。
そのため、窓の開口が確保できずに、壁になる可能性が高いです。
ただし、1mほどせり出したオーバーハングなら、問題なく窓を施工できるケースがほとんどです。
大きくオーバーハングした建物を建てたいときは、直下に窓が配置できない可能性があることを理解しておきましょう。
【オーバーハングの家】外観の実例を紹介
オーバーハングを採用した家の外観事例を紹介します。
実例① 色使いにこだわったオーバーハングのバルコニー
2~5階のバルコニーがオーバーハングしている事例です。
バルコニーだけ濃い茶色のタイルを施工し、外観のアクセントにしています。
また、軒天部分の色にもこだわった点もポイントです。
見上げられることが多い多層階の建物は、バルコニーの軒天が目立ちやすいです。
軒天を木目にすることで、外観全体の雰囲気に合ったオーバーハングに仕上がりました。
実例② バルコニーの横格子が印象的なオーバーハング
2~3階部分のバルコニーをオーバーハングさせた事例です。
バルコニーには、おしゃれな黒の横格子を採用しました。
風通しのいいバルコニーは洗濯物が乾きやすく、使い勝手も抜群。
玄関やガレージの上にオーバーハングしているため、雨の日に車の乗り降りをしても雨に濡れることはありません。
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実例③ オーバーハングのバルコニーをつなぐ縦格子
オーバーハングした2・3階のバルコニーを縦格子でつなぐ、斬新なデザインの外観です。
奥まった旗竿地ですが、オーバーハングしている部分だけが道路から見えてしまうという状況でした。
そこで、縦格子を採用してバルコニーの目隠しをすることに成功。
さらに木目のおしゃれな格子が建物のデザイン性も高めています。
帰ってくるのが楽しみになる、オシャレなオーバーハングの外観に仕上がりました。
実例④ 店舗の入り口の庇になるオーバーハング
店舗併用住宅のこちらの事例は、店舗の入り口の上に自宅のバルコニーをオーバーハングさせています。
バルコニーの壁を高めにして、お客様から洗濯物や家の中が見えないように工夫しました。
また、オーバーハングの軒天部分には3灯のダウンライトを施工。
夜は店舗のスロープやポーチを優しく照らして、おしゃれな雰囲気を引き立てます。
お店に来てくれたお客様を温かく迎えるエントランスに仕上がりました、
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まとめ
オーバーハングを採用しすると、デザイン性も使い勝手も良い建物になります。
敷地を有効活用できたり、割安で建物面積を増やせたりとメリットが多いです。
しかし、耐震性の検討が必要な点や、設計力が必要という弱点もあります。
オーバーハングの施工事例が多い住宅会社に依頼し、おしゃれで使い勝手が良く、耐震性も優れた建物を設計しましょう。
ぜひクレバリーホーム城東店にもご相談くださいね。