高気密高断熱の家│メリット・デメリットから分かる快適な家への必要性

高気密高断熱の家

新築時には間取りや外観にこだわりがちですが、生活のしやすさを追求するなら家の性能を高めることが重要です。

家の性能を高めることで、室内環境が整い、お家時間がより快適になるでしょう。

 

今回は家の機能性として「高気密高断熱」のメリット・デメリットを詳しくご紹介していきます。

デメリットもありますが、事前に確認しておくことで、しっかりと対策を取ることができるはずです。

高気密高断熱の特徴を理解して、ぜひ新築計画にお役立てください。

 


- point -

  • まずは高気密高断熱とはどのような性能なのか、確認していきましょう。
  • 高気密高断熱のメリットから、生活がどのように快適に整うのかお伝えします。
  • 高気密高断熱のデメリットを事前に確認して、新築計画で対策を立てていきましょう。

 

− contents −
◼ 高気密高断熱の家とは​
◼ 高気密高断熱の家│メリット​​​
◼ 高気密高断熱の家│デメリット​​​
◼ まとめ

高気密高断熱の家とは​

リビング

​高気密高断熱とは、住宅の性能のことです。

メリット・デメリットを理解するためにも、しっかりと確認していきましょう。

 

高気密とは

高気密とは気密性が高いことで、気密性の高い家のことを「高気密住宅」と言います。

家はしっかりと密封されているように感じますが、実際は壁や床、天井やサッシ、ドア部分などにすき間ができてしまいます。

外気が入ってきても気づかない程度のすき間なので、もちろん見た目にもわかりません。

 

しかしわずかなすき間が空いているだけで、外と室内の空気が出入りしてしまうので、室内の気温が保たれにくくなります。

エアコンなどの家電品を利用して室温の調整を行っているのであれば、無駄な電力の消費になっているかもしれません。

 

高気密住宅であれば、専用の材料や施工方法を利用して、家のすき間を最小限に抑えるので、快適な室内環境が整いやすくなります。

 

高断熱とは

高断熱とは、断熱性が高いことで、断熱性の高い家のことを「高断熱住宅」と言います。

家は外の温度に影響を受けやすいので、暑い夏は家の中も暑くなり、寒い冬は家の中も寒くなってしまいます。

これは先述した気密性も関係してきますが、外の温度が壁や天井(屋根)、窓などに伝わり室内に影響を及ぼすことが大きな要因です。

 

これを対策できるのが「断熱」です。

壁や屋根に断熱性の高い材料を用いたり、断熱性の高い窓を設置することで、家の断熱性を上げることができます。

つまり高断熱住宅とは、外気温や日光などの影響を極力抑えて、室内の環境を快適に整えることのできる家ということになります。

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高気密高断熱の家│メリット​

リビングダイニング

高断熱高気密の家にすることで、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

 

夏は涼しく・冬は暖かい​

高気密高断熱の説明の部分でもご紹介したように、高気密高断熱の家は夏涼しく、冬暖かい室内環境が整いやすくなります。

  • 断熱性が高いので、外気の温度が室内に伝わりずらい
  • 気密性が高いので、外気が室内に入ってきにくい
  • 気密性が高いので、室内で整えた温度が外にもれにくい
  • 断熱性が高いので、室内の温度が保たれやすい

気密性と断熱性、それぞれが室温の調整に役立ちますし、相乗効果で快適な環境が整いやすくなります。

 

光熱費を抑えられる

高気密高断熱の家は、先述したように室温が保たれやすいので、室温を調整するための電気消費を最小限に抑えることができます。

例えばエアコンを稼働させる日数や時間が減るだけでなく、温度設定や風力なども和らげることが可能です。

高気密高断熱の家は、室温調整のための電力を最小限に抑えることができるので、電気代の節約になります。

 

ヒートショックになりにくい

ヒートショックとは急激な温度変化がからだに影響して、重い病気を引き起こす現象です。

例えばトイレで用を足すと体温が一気に奪われてしまいます。

寒いトイレで下半身を露出することも、体温を下げる原因になるでしょう。

また寒い脱衣室で洋服を脱ぎ、浴室で一気に体を温めて、また寒い脱衣室に出るという行為も、体に急激な温度変化をあたえるので、ヒートショックの原因になります。

 

このヒートショックを起こりにくくするには、部屋ごとの室温を一定に保つことが大切です。

高気密高断熱の家は、家全体の気温が一定に保たれやすいので、ヒートショックの予防に役立ちます。

 

24時間換気システムを効率的に可動できる​

家の気密性が高いと、24時間換気システムが効率的に稼働するので、室内の空気がきれいな状態で保たれやすくなります。

24時間換気システムとは、空気の入り口と出口をつくって、強制的に室内を換気するシステムです。

家の気密性を高めると、すき間からの空気の道筋が絶たれるので、24時間換気システムのために設置した入り口と出口を空気が通りやすくなります。

室内の換気ができればすき間や窓からでもいいと思われがちですが、24時間換気システムの入り口にはフィルターが装着されているので、ゴミやホコリを取り除いたキレイな空気を取り込むことができます。

家の気密性を高めて、24時間換気システムを効率よく稼働させていきましょう。

 

遮音性がある​

高気密高断熱の家は、遮音性があるので室内の音が漏れにくく、外の音が気になりません。

気密性が高いので家のすき間から音が出入りしにくいことと、断熱性が室内の音を程よく吸収してくれるからです。

小さなお子さんのいるご家庭や、線路や工場などが近い立地であっても、音への悩みが解消されるでしょう。

 

高気密高断熱の家│デメリット​

リビングダイニング

次に高気密高断熱の家の、デメリットを見ていきましょう。

 

初期コストがかかる​

高気密高断熱の家にするには、専用の材料や施工方法が必要になるので、当然費用はかさみます。

また断熱性のある窓は、ガラスやフレームが特殊になるので、通常の窓と比較すると高額です。

とはいえ先にお伝えした電気や、空調設備の費用など、長い目で見れば費用対効果は十分に感じられるでしょう。

 

結露が起きやすい

高気密高断熱の家は、気密性が高いことや、外気との温度差があることから、結露が起きやすくなります。

この結露には目に見える結露「表面結露」と、目に見えない結露「内部結露」があります。

 

表面結露とは部屋の中で温まった空気が、外気の影響で冷たい窓ガラスなど触れて、水蒸気が付着する現象です。

24時間換気システムを常時可動させると、部屋の中の湿度を外に逃がすことができるので、運転を止めないようにしましょう。

 

また内部結露とは、部屋の温かな空気が壁の中に入り込んで、壁の内部や床下などに水分が付着してしまう現象です。

家の内部のことなので、結露が起こっていることが分かりにくく、気付いたころにはカビやダニの影響を受けているかもしれません。

内部結露は断熱方法を外張りにすることで軽減できます。

新築計画時に、地域性などを踏まえて施工業者に確認してみましょう。

 

まとめ​

新築住宅

高気密高断熱の家は、年間を通して室温が整いやすく、その室温が保たれやすいメリットがありました。

さらに24時間換気システムとの組み合わせで、キレイな空気を循環しやすくなるので、体にも優しい性能です。

 

デメリットの初期コストがかかることは大きなハードルですが、ランニングコストと日々の快適さを考えると費用に対しての価値を感じることができます。

家の気密性と断熱性を高めて、家族の快適な室内環境を整えていきましょう。

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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