家に地下室が欲しい│デメリット対策をして快適な空間に仕上げる方法

家に地下室が欲しい

狭小地域に多くみられる地下室は、どのような利用目的でつくられるのでしょうか。

地下室と聞くと暗くてジメジメしたイメージあるので、快適な環境が整いにくい印象です。

さらに地面より低い位置にあるので、浸水被害への不安も感じます。

 

こちらの記事では、そんな地下室を欲しいと思う理由を、4つのケースに分けてお伝えしていきます。

地下室であることから起こるデメリットと、対策方法を一緒にまとめるので、ぜひお役立てください。

利用目的にあった地下室を、安全で快適な空間に仕上げていきましょう。

 


- point -

  • 家に地下室が欲しいと思う理由を、地下室の特徴からご紹介します。
  • 安全で快適な地下室にするために、しっかりとデメリット対策をしていきましょう。

 

− contents −
◼ 家に地下室が欲しい4つの理由​
◼ 地下室のデメリットと対策方法​
◼ まとめ

 

家に地下室が欲しい4つの理由​

家に地下室が欲しい理由を、4つご紹介していきます。

新築でどのような目的の間取りを整えたいのか、想像しながらご覧ください。

 

生活スペースを広げたい​

家の広さを確保するために、地下に生活スペースを広げる場合があります。

家を建てるにはさまざまな制限があるので、自由に家の面積を広げることができないからです。

地下に家を建てる理由として、2つの制限が関係しています。

 

【高さ制限】

高さ制限とは、建物の高さを制限したもので、地域によって異なります。

限られた土地に家を建てる場合は、縦に生活スペースを広げる必要があるので、通常であれば3階建て4階建てと上に階層を増やしていきます。

高さ制限により必要な階層を確保できない場合は、地下に生活スペースを広げるしかありません。

 

【容積率の制限】

容積率とは、敷地面積(土地)に対する延べ床面積(家の中の床面積の合計)の割合のことです。

つまり土地に対して家の広さの上限は決まっていることになります。

 

この容積率の緩和を受けられるのが「地下室」です。

地上の延べ床面積が容積率の制限いっぱいであっても、延べ床面積の1/3までであれば、延べ床面積に加算されません。

容積率に関与しないので、生活スペースを広げることが可能になります。

 

静かな空間を作りたい​

alt=“”見出し画像 東京 地下室付き住宅

地下室の周りは、コンクリートや土に覆われているので、遮音性に優れています。

静かな空間を確保したい場合は、地下室の利用が最適といえるでしょう。

  • 学校や工場、線路などが近いので、静かな部屋を作りたい
  • 書斎や仕事部屋など集中できる部屋を設けたい
  • 質のいい睡眠のために、静かな寝室にしたい

静かな環境を整えて、ストレスのない生活を送りましょう。

 

音漏れしにくい部屋をつくりたい​

地下のシアタールーム

室内で大きな音を出したい場合には、地下室の利用がおすすめです。

先にお伝えしたように、地下室は遮音性に優れているので、室内の音を外に漏らしません。

さらに天井の壁に防音性を高めたり、階段の手前に防音ドアを設けるなどすれば、防音室にすることができます。

  • ダンススタジオを設けたい
  • 楽器の練習がしたい
  • 趣味のカラオケルームをつくりたい
  • 大音量で映画や音楽を楽しみたい

時間に縛られることなく、大きな音を出すことができます。

近隣にはもちろん、家族にも負担をかけずにすむのでおすすめです。

>>>【事例紹介】地下室にオーディオルームがある家

 

地震に強い家にしたい​

地下室をもうけることで、地震に強い家にすることができます。

​地震は地面と地下が一緒に動くことで家を揺らしますが、地下室は周りの土などと一所に動くので、ほとんど揺れを感じません。

そのためシェルターのような避難場所として利用することも可能です。

 

また地面深くつくられる地下室は、地上の家を支える基礎とも言えます。

地上階の揺れを軽減する働きもあるので、家全体の耐震性が高まることに繋がります。

 

地下室のデメリットと対策方法

ここまででお伝えしたように、地下室をつくることで、生活に幅がでたり快適な環境が整うなど、多くの魅力があります。

しかし地下室には地上階とは違う特性があるので、快適な環境を整えるための対策が必要になります。

地下室のデメリットとその対策方法をご紹介するので、しっかりと確認していきましょう。

 

湿度が上がりやすいので湿気対策をする​

alt=“東京地下室のある家”

地下室は土に囲まれているので、温度が一定に保たれやすくなります。

そのため湿気を含んだ空気が地下室内に入ると、外気との温度差によって結露を起こしやすくなります。

カビやダニ、白アリなどの原因になるので、湿度調整ができるように対策をしていきましょう。

 

地下室に有効な湿気対策は、換気をすることと、湿度調整できる設備を整えることです。

窓やドライエリアがあれば手軽に換気をすることができますし、24時間換気システムを利用すれば常に空気の入れ替えが行われている状態になります。

しかし先述したように、湿度を含んだ外気を採り込むことが結露の原因です。

湿気の多い夏場は外の空気を入れない方が湿度調整しやすい場合もあります。

 

季節によっては外気を入れずに、除湿できる設備に頼る方が賢明です。

  • エアコンのドライ機能を利用する
  • 除湿機を利用する

 

特に新築のコンクリートには水分が含まれているので、湿度が上がりやすい傾向にあります。

除湿設備を整えて、湿気対策をしていきましょう。

 

地下室は暗いので採光対策をする

当然のことながら地下室は暗いので、日中でも電気をつける必要があります。

この暗さが地下室のイメージをよくない方向に導くのかもしれません。

 

そんな地下室でも外の光を採り入れて、明るい部屋にすることができます。

半地下にすれば高い位置に窓を設けることができますし、ドライエリアをつくれば大きな掃き出し窓からの採光が可能です。

ドライエリアとは、地下室に沿って掘られた空間のことで、コンパクトな中庭のように利用することもできます。

開口部分の広い掃き出し窓から採光ができるので、明るい地下室に仕上がるでしょう。

 

また地下室の中に吹き抜けをつくって、上階からの光を採り入れる方法もあります。

地下室にも自然光をたっぷりと採り入れて、明るい空間にしていきましょう。

 

浸水被害が起こらないよう対策をする​

alt=“東京地下室のある家”

​地下室は地面よりも下に位置しているので、台風や大雨の際に、浸水被害が起こる可能性があります。

  • 下水管から逆流する
  • 雨水が外から流れ込む

それぞれ対策方法と一緒にご説明します。

 

【下水から逆する】

大雨によって下水道管の水位が上昇すると、地下のトイレやお風呂から下水が逆流し浸水被害が起こります。

下水が逆流しないように、排水ポンプの設置をしましょう。

排水ポンプを設置しておけば、大雨の日でも水回りを利用することができます。

 

【雨水が外から流れ込む】

地上に雨水が溢れると、地下部分に水が一気に流れ込んできます。

浸水してしまったら、水圧によってドアや窓を開けることはできません。

これは地下室にいることで外の状況がわかりにくいことも原因にあげられるので、地下室を寝室として利用する際には気を付けてください。

 

外からの雨水をせき止めるために、地下の入り口を一段上げて浸水対策をしましょう。

一般家庭では、家の中から階段で繋がっているケースがほとんどですが、ドライエリアがある場合は同様の浸水対策が必要です。

また半地下にして窓や換気口を地上ギリギリに設置すると浸水被害が起きやすいので、立ち上がりをつくるか、十分な高さを確保しておきましょう。

 

土嚢(どのう)を摘んだり、ドアに板を挟むなどの緊急対策もありますが、新築時にしっかりと対策を立てることで、大雨でも安心して過ごすことができます。

 

まとめ​

家に地下室を作りたいと思う理由は主に4つあります。

  • 家には高さや広さに制限があるので、地下に生活スペースを広げる必要がある
  • 地下の遮音性を活かして、外からの音が気にならない静かな空間をつくりたい
  • 地下の遮音性を活かして、防音室をつくりたい
  • 地下室に支えられた、地震に強い家にしたい

 

このように地下室をつくる理由はさまざまです。

さらに浸水対策や採光対策、湿気対策などを施して、快適な環境に整えていきましょう。

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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