二世帯住宅が「しんどい」とならない間取り│完全分離型で解消しよう

二世帯住宅が「しんどい」とならない間取り

二世帯住宅と聞くと「しんどい」など、ネガティブな印象を持つ方も少なくないでしょう。

しかし二世帯住宅は親世帯にとっても子世帯にとってもメリットが大きいので、しっかりと生活環境を整えれば「しんどい」とこぼすこともありません。

子世帯からすると、親世帯に子育てのサポートをしてもらうことで夫婦共働きができます。

一方親世帯からすると、老後の心配から解放され、子どもや孫と暮らす生活に安心感を覚えるはずです。

 

そんなメリットを十分に感じられるよう、二世帯住宅の形をしっかりと整えていきましょう。

こちらの記事では、二世帯住宅での生活が「しんどい」とならないための、住宅の型や間取りについて詳しくお伝えしていきます。

二世帯住宅について検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 


- point -

  • 二世帯住居での生活は、しっかりと環境を整えることで快適に過ごせます。
  • 二世帯住居、完全分離型の特徴を理解していきましょう。

 

− contents −
◼ 二世帯住宅がしんどいとなる理由と対策​​​
◼ 二世帯住宅│完全分離型の特徴​​​​
◼ まとめ

 

二世帯住宅がしんどいとなる理由と対策​

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まずは二世帯住宅での生活が「しんどい」となりがちな理由について見ていきましょう。

それぞれの対策も一緒にご覧ください。

 

家づくりの希望が通らずしんどい​

新築計画は、決めごとの連続です。

家の構造や設備、インテリアや間取りなど、全ての決めごとが生活のしやすさに反映します。

せっかく自分達の家を手に入れるのに、理想を形にできないのは非常に残念です。

  • 小さくてもいいから専用の書斎が欲しい
  • 木のぬくもりが感じられる家にしたい
  • 洗濯物を室内で干せるランドリールームを作りたい

間取りに不満があったり、理想の設備が整っていとなれば「しんどい」と感じるのは当然です。

 

【対策】費用を折半にする​

家づくりの希望が通らないのは、費用をどちらかに多く負担してもらうことで起こりがちです。

「本当はこうしてほしいけど、費用を出してもらっている身なので我慢しよう」と思ってしまうのは仕方ありません。

また費用を多く負担している側にとっては「自分達の希望を通して当然」と思ってしまうのもまた仕方のないことです。

 

そうならないために、費用面は全て折半にしてはいかがでしょうか。

二世帯住宅の建築にかかる費用はもちろん、その後の生活にかかる費用も全て折半にすれば、新築計画だけでなく生活の面でも意見を伝えやすくなります。

費用を負担しているとなれば、理想を叶えたいという気持ちも高まりますし、家をもったという責任感にも繋がります。

費用を折半にして引け目を感じることなく、お互いを思いやる言葉でしっかりと希望を伝えていきましょう。

価値観の違いが大きすぎてしんどい​

これまで別々の生活をしていたのですから、価値観の違いがあることは当然です。

  • お誕生日は家族全員で盛大に祝うもの
  • 一緒に住むんだから洗濯はどちらかが負担するべき
  • 食事は家族全員が食べ終わるまで席を立たない

これまで一緒に生活していた家族にとっての価値観を、押し付けられてはしんどくなります。

 

【対策】住む前に生活のルールを決めておく​

価値観の違いによるしんどさを軽減するために、生活のルールを決めておきましょう。

  • 玄関の土間に出す靴は1人1足にしましょう
  • 湯船につかる前に体を洗いましょう
  • お互いの家に行き来するときには事前に連絡を入れましょう

改めてルールを決めるのもいいですが、新築計画を進めながらルールを決めるとスムーズに伝えられます。

例えば玄関の広さやシューズクローゼットについて決めているときに「シューズクローゼットをつくれば靴の収納に悩まされずにすみますね、災害時にすぐに靴が履けるよう土間に1人1足だけ並べるようにしましょう」と伝えれば、自然な流れが作れます。

生活のルールを決めて、価値観の違いを少しでも軽減していきましょう。​

 

生活スタイルが合わずにしんどい

親世帯と子世帯では生活のスタイルが大きく違うので、お互いに合わせようとするとしんどくなります。

一番の違いは就寝の時間です。

 

親世代が眠ろうとする時間帯に、子世帯はお風呂に入ったり、リビングでテレビを見たりしているかもしれません。

逆に親世代が朝起きて洗濯などをしていると、休日でゆっくり休んでいたい子世帯にとってはストレスに感じます。

 

​これも話し合いで軽減できる部分ではありますが、毎日お互いの生活に配慮しながら過ごすのは負担が大きいでしょう。

特に生活音に関してはなかなか抑えることも難しく、仕事などの関係上生活時間をズラすこともできません。

 

【対策】完全分離型で家を建てる​

生活スタイルの違いにしんどさを感じないためには、生活スペースをできる限り分けることが重要です。

二世帯住宅には3つの型があり、それぞれ共有する部分が違います。

  • 完全同居型・・・家の形としては一般住宅と同じで、個人の部屋以外は全て共有します
  • 部分共有型・・・家の玄関やキッチン、お風呂やリビングなどの一部を共有します
  • 完全分離型・・・家のスペースや設備の全てを分けます

完全分離型であれば、自分達の生活スタイルを通しても、別世帯へ負担をかけなくて済みます。

ではそんな完全分離型について深堀していきましょう。

 

二世帯住宅│完全分離型の特徴​

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くり返しになりますが、完全分離型とは生活のスペースや設備の全てを各世帯で分けたスタイルです。

プライバシーが守られやすく、生活スタイルや価値観の違いによるトラブルも起きにくいメリットがあります。

デメリットとしては、建築費用が高くなることです。

 

そんな完全分離型の二世帯住宅を2階建てで建てた場合、縦割りにするか横割りにするかで、生活のしやすさが大きく変わります。

どちらがいいという事ではなく、何を重視するかを考えながら見ていきましょう。

 

完全分離型│縦割りの場合​

完全分離型の縦割りとは、建物を縦にわけて各世帯を横に配置するスタイルです。

家族が多い子世帯に居住スペースを多く分割することもできます。

 

生活音に対する気遣いも減らせるため、子どもを自由に遊ばせられるのは大きなメリットです。

デメリットとしては、各世帯のフロアに階段が必要になるので、居住スペースが圧迫されがちです。

親世帯も2階建て3階建てになるので、ホームエレベーターの設置が必要になるかもしれません。

 

完全分離型│横割りの場合​

完全分離型の横割りとは、各階を各世帯で分けるスタイルです。

 

階段での移動がない1階部分を親世帯、2階以上を子世代で構成することが多くあります。

しかし上階からの生活音が親世帯の負担になるかもしれません。

 

逆に親世帯を上階に構成すれば、静かに過ごしてもらいやすくなります。

階段の負担が心配なのであれば、ホームエレベーターの設置を検討しましょう。

関連記事:二世帯住宅とは│建築基準法などでの定義があるのか解説します

 

まとめ​

二世帯での同居生活が「しんどい」とならないためには、完全分離型の二世帯住宅がおすすめです。

完全分離型であっても、しっかりと理想の家づくりをするために費用の折半を申し出て、新築計画を進めながら生活のルールもまとめていきましょう。

 

完全分離型であれば、プライバシーが守られ過度な干渉もなく、お友達も気兼ねなく呼ぶことができます。

お互いサポートが必要になったときに、すぐ駆け付けられる距離であることは言うまでもありません。

 

また二世同居が必要ではなくなっても、賃貸や販売がしやすい特徴もあります。

快適な生活環境を整えて、二世帯住宅のメリットを十分に得ていきましょう。

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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