寝室の間取りを決める時の注意点│良質な睡眠を確保しよう

寝室の間取りを決める時の注意点

家の間取りを決める時、寝室の配置を優先することはあまりないかと思います。

リビングの日あたりや水回りの配置など、日中の生活導線や、家事導線が優先されがちです。

もちろんそれらも大切なのですが、寝室の間取りに配慮すると良質の睡眠をとることができるので、日々の活力に繋がります。

 

睡眠の質は、寝室環境と、体の要因(ストレス・生活リズム・疲労など)が大きく影響します。

今回は寝室環境を整えることに注目して、寝室の間取りについて詳しく見ていきましょう。

これから家を建てられる方は、健康づくりの一環として参考にしてください。

 


- point -

  • 良質な睡眠とはどのようなものか改めて確認しましょう。
  • 良質な睡眠が取れる寝室の間取りについて詳しくお伝えします。

 

− contents −
◼ 良質な睡眠とは?寝室との関係性を解説
◼ 寝室の間取りを決める時の注意点
◼ まとめ

 

良質な睡眠とは?寝室との関係性を解説

良質な睡眠

「良質な睡眠」とは次の3つの要素が合わさった状態です。

  • 入眠するまでの時間が短い
  • 途中で起きることなく、ぐっすりと朝まで眠れる
  • 目覚めた時にスッキリと起きられる

(参考資料:良質な睡眠のための環境づくり

基本的にはどれか一つでも該当すれば「良質な睡眠」という訳ではなく、全ての要因が揃った状態が必要です。

 

良質な睡眠をとっていないと、体の疲労回復や細胞の修復がされないので、常に疲れた状態であったり、病気の引き金になることもあります。

さら脳の整理もされないので、集中力・記憶力などが鈍った状態になり、生活に危険が伴うかもしれません。

寝室の間取りを整えて、スッキリと元気な毎日を過ごしましょう。

 

寝室の間取りを決める時の注意点

寝室の間取りを決めるには、どのようなことを気を付ければいいのか、3つに分けて説明します。

 

音への配慮が必要

寝る時の環境として、音は40dBA以下が最適とされています。

この40dBAとは、図書館の中や、優しく降る雨、人のささやき声程度です。

「多少の音があっても眠れる」「音に慣れてきた」と感じる人もいるかもしれませんが、体は音に反応してしまうので、浅い睡眠が続いてしまいます。

 

家族と一緒に生活をしていると就寝の時間がズレることもあるので、寝る人は快適に眠れて、起きている人は物音に気遣いをしないで済む間取りにしていきましょう。

生活で起きる音とは次のようなものがあります。

 

【車の音】

車を止める駐車場などから、寝室を遠ざけておきましょう。

最近の車は静かになってきましたが、エンジン音・ドアを閉める音・バックする時の警戒音などはやはり気になります。

道路に面した間取りであれば、トラックが通る音なども睡眠の障害になるでしょう。

後ほど「日光」についても解説しますが、車のライトも窓に差し込まないようにする必要があります。

駐車場から寝室を離すことで、音と光の両方を回避することが可能です。

 

【お風呂・トイレ・洗濯・台所などの水回りの音】

生活音の中で一番大きいのは、水回りの音になります。

帰りが遅くなった家族が、それからお風呂に入るのは仕方のないことです。

トイレは時間帯に関係なく使いますし、最近人気のタンクレスのトイレは、流す時の音がかなり大きくなっています。

またキッチンでは、遅くまで夜ご飯の片付けや明日のお弁当の準備をしなくてはいけませんし、深夜電力を使って食器洗浄機を動かすご家庭も増えてきました。

洗濯も同様で、共働きをしていれば夜に洗濯する必要があるでしょう。

除湿器を夜間に動かしていれば、朝には洗濯物が乾いているので、お子さんの体操服なども十分に間に合います。

 

この生活音が出る水回りの間取りは、基本的にまとめて作られるので、寝室と離すことはそう難しくありません。

2階以上の建物であれば、上階に寝室を作ることでヘッドライトの光からは回避できるでしょう。

 

【テレビの音】

テレビを置いているビリングと寝室を離しておけば、リビングでお喋りしている家族がいても気になりません。

生活の中心になるリビングは、何かと人の出入りも多いので、物音が立ちやすい部屋になります。

 

このような間取りと寝室を分けた方が、睡眠の向上になると分かっていても、家の形や構造上、隣接しなくてはいけない場合があります。

そんな時は次のような対策を考慮しましょう。

  • 離したい間取りの間に、廊下を設ける
  • 離したい間取りの間に、扉を設ける
  • 離したい間取りの間に、クローゼットなどの収納スペースを作る
  • 外の音が気になる方向に窓を付けない
  • 外の音が気になる方向の窓には、防音効果のあるカーテンを付ける

音を0にすることはできませんが、間取りの配置で回避できない場合は、できるだけの対策をしていきましょう。

 

日光への配慮が必要

寝室に窓を設ける場合は、ベッドの位置を考慮して窓を設置しましょう。

朝日を浴びることで、体は覚醒し体内時計が整うと言われています。

しかし生活リズムはそれぞれなので、必ずしも朝日が昇る時間帯に起きるとは限りません。

朝日を浴びるのはリビングに出てからと考えて、寝室の窓からは日光の影響を受けにくい作りにしましょう。

 

【東向きの窓は避ける】

東の窓からは朝日が強く入るので、遮光カーテンをしていてもすき間から漏れてしまいます。

もし東に窓を設けなくてはいけない場合は、雨戸を設置すると光を遮ることが可能です。

 

【大きい窓を付けない】

大きき窓を付けるメリットは、光と風をたっぷり入れられることです。

しかし寝室の用途から考えると、風も光もある程度あれば問題ないでしょう。

 

大きな窓は冬に冷え込む原因にもなりますし、防犯上の不安もあります。

ハイサイドライト(高い位置につける横長の窓)などを利用すれば、ベッドまでの距離があるので冷え込みが気になりません。

防犯上の不安も軽減できるでしょう。

 

カーテンを付けるのは難しいので、ハイサイドライトを設置する壁側にヘッドボード(ベッドの頭の部分)を配置すれば、直接顔に日光が当たりにくくなります。

また日光を弱めたい場合はすりガラスなどを利用すると、入り込む日差しが優しくなります。

 

寝室に必要な広さ

夫婦で利用する寝室の広さは、7.5~8畳程がおすすめです。

シングルベッドを2つおいても、ダブルベッドを置いても、通路の確保は十分にできますし、小さなラックくらいは置けます。

シングルベッドをくっつけて配置する人もいますが、掛け布団もシングル用であれば、布団の端が左右に下がった状態の方が安定します。

ずり落ちる布団を引っ張り上げる必要が出てくると、睡眠の妨害になるので気をつけましょう。

 

寝室のスペースが十分にとれない場合は、収納方法を見直すことをおすすめします。

寝室のクローゼットなどの設置については別記事に詳しくまとめたので、ぜひ参考にしてください。

 

関連記事▷▷【寝室のクローゼット】使いやすい収納スペースの作り方と必要性を解説

 

まとめ

ベッド

寝室の間取りは睡眠に大きく影響します。

良質な睡眠をとるためには、音と日光に配慮した間取りにしましょう。

 

また夫婦で利用する寝室は7.5~8畳あると、2人分のベッドをゆとりをもって設置することができます。

スペースが狭くベッドをくっつけて並べることになると、相手の動きが気になったり、掛け布団が落ちやすくなったりするので、睡眠が浅くなるかもしれません。

 

良質な睡眠がとれる寝室に整えることを優先すると、家のどの部分に寝室を配置すればいいのか間取りが見えてくるでしょう。

良質な睡眠をとって、いつまでの元気でスッキリとした毎日を過ごしてください。

 

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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