二世帯住宅のタイプ別│母一人と一緒に住む間取りを考える
両親が揃っている内は二世帯住宅の必要性を感じなかったご家族が、父親の他界をきっかけに一緒に住むことを検討されるケースもあります。
- 年齢を重ねた母親の生活を、近くで見守りたい
- 1人の生活が寂しいのではないか心配
- これまでは父親が、母親の介護をしていたから自分達のサポートが必要
- 体調の変化があった時、すぐに駆け付けられる距離にいたい
シングルマザーで育ててくれた母親の年齢や体調などが、二世帯住宅を建てるきっかけになる場合も同様です。
今回は母一人と一緒に住む、二世帯住宅の間取りについてお伝えしていきます。
間取りを決めるには、まず二世帯住宅の型を理解しなくてはいけません。
母親との二世帯住宅にどの家づくりが最適か検討してみましょう。
- point -
・二世帯住宅の3つの型、メリット・デメリットをご紹介します。
・二世帯住宅の3つの型が、おすすめなケースを理解しましょう。
・母一人と一緒に住むための、間取りを決めるポイントをお伝えします。
− contents −
◼ 二世帯住宅の3つの選択
◼ 二世帯住宅を完全分離型で建てる場合
◼ 二世帯住宅を部分共有型で建てる場合
◼ 二世帯住宅を完全同居型で建てる場合
◼ まとめ
二世帯住宅の3つの選択
二世帯住宅には3つの型があります。
- 完全分離型
- 部分共有型
- 完全同居型
基本的なメリット・デメリットや、おすすめなケースをお伝えしていきます。
母親の体調や性格、お互いの経済状況や生活スタイルを踏まえて見ていきましょう。
二世帯住宅を完全分離型で建てる場合
完全分離型とは、玄関から水回りリビングに至るすべての生活スペースを分けるスタイルです。
居住スペースとしては、マンションの横並び、上下階に住んでいるようなイメージで、共有するのは駐車場やお庭くらいになります。
完全分離型の基本的な、メリット・デメリットは次の通りです。
【完全分離型のメリット】
- プライバシーが守られる
- 生活スタイルを合わせなくて済む
- 何かとトラブルになりにくい
- 困った時はお互い助けられる距離である
- 賃貸としての利用も可能
【完全分離型のデメリット】
- 横に分けるには敷地面積が必要
- 家二軒建てるほどの費用がかかる
- 二世帯住宅の型の中では、一番生活費がかかる
完全分離型のメリット・デメリットをもとに、母一人との二世帯住宅としておすすめなケースを見ていきましょう。
【母一人との同居】完全分離型がおすすめなケース
完全分離型がおすすめなのは、これまでの生活スタイルや、お互いのプライバシーを守りたいご家族です。
同居されるお母さんもまだまだお元気で、生活に家族の手を必要としないのであれば、一人の生活の方が気を使わず快適と感じるかもしれません。
水回りなどを共有すると、お風呂やお料理(食事)のタイミングを合わせる必要が出てくるので、これまでの生活スタイルを変える必要が出てきます。
年齢を重ねると自分の生活スタイルを変えるのは簡単ではありませんし、体にもよくありません。
まだお元気で、一人の生活も楽しめるのであれば、完全分離型をおすすめします。
さらに一緒に住む方が、夫側のお母さんであれば、妻とのトラブル回避になりますね。
完全分離型は家を完全に分けた生活ができる上に、何かあったらすぐに駆け付けられる安心感があります。
いい距離感をもって、助け合いができる環境を整えていきましょう。
完全分離型│間取りを決める時のポイント
完全分離型の間取りを作る時のポイントは、コミュニケーションが取りやすくなるスペースを設けることです。
完全分離型はプライバシーが守られる反面、顔を何日も合わせない日が続くこともあるでしょう。
せっかく二世帯住宅にしたのですから、適度なコミニュケーションを取って繋がりをもつことも大切です。
例えばお互いのリビングからテラスに降りられるようにすれば、孫の遊んでいる姿を自然な形で見せることができます。
洗濯物を干すスペースとして利用するなら、家事の合間に声をかけやすくなるでしょう。
家族の暖かさを適度に味わえる間取りを採り入れてみてはいかがでしょうか。
二世帯住宅を部分共有型で建てる場合
部分共有型とは、家の一部を二世帯で共有するスタイルです。
- 玄関だけ共有する
- 水回り全般を共有する
- お風呂だけ共有して、キッチンとトイレは分ける
部分共有スタイルには、家族の生活や性格に合わせて共有部分を決めていきます。
部分共有型の基本的な、メリット・デメリットは次の通りです。
【部分共有型のメリット】
- 程よい距離感を保てる
- 水道光熱費などの節約ができる
- 完全分離型よりも建築費がおさえられる
- コミュニケーションが取りやすい
- 子どもの面倒を見てもらいやすい
【部分共有型のデメリット】
- 水道光熱費の利用明細をわけにくい
- お掃除がどちらかの負担になりやすい
- 共有部分が散らかっていると(汚れていると)イライラする
- 共有部分を利用するときに気を使う
- 共有部分を作ることで間取りに制限ができる
部分共有型のメリット・デメリットをもとに、母一人との二世帯住宅としておすすめなケースを見ていきましょう。
【母一人との同居】部分共有型がおすすめなケース
部分共有型がおすすめなのは、二世帯住宅にすることで経済的なゆとりをもちたいご家族です。
親が一緒に住んでいれば、子世帯は安心して共働きをすることができます。
お孫さんの年齢や人数、お母さんの体力にもよりますが、子世帯の両親はフルタイムでの仕事に就くことも可能です。
仕事をすることができる環境は、世帯収入の大幅なアップに繋がります。
また完全分離型よりは土地の広さを必要としませんし、建築費用を抑えることもできます。
水道光熱費などの毎月の出費も、別々で暮らしていた頃と比較すると大幅に削減できるはずです。
今回は経済的な所に着目しましたが、程よい距離感で生活を共にできる「部分一致型」は、気持ちにゆとりをもった二世帯住宅とも言えます。
家族が一つ屋根の下で暮らせる安心感と、プライベートスペースのバランスをとって、穏やかな生活を送りましょう。
部分共有型│間取りを決める時のポイント
部分共有型の間取りを決める時のポイントは、プライベートスペースを充実させることです。
同居する母親との関係性がいい状態でも、一人になりたいことはあります。
考え事がしたい時や、趣味に没頭したい時、家に仕事を持ち帰ることもあるでしょう。
間取りを決める際に、プライベートスペースを充実させておくことで、ストレスなく過ごすことができます。
一般的な寝室はベッドとクローゼットなどしか配置しませんが、すこしだけスペースを広げてくつろげるソファなどを置くのもいいですね。
別部屋を用意できるなら書斎を作っておくと、リモートワークで仕事に集中したい場合などにも便利です。
母親の部屋には、小さな冷蔵庫などを設置すると、遅い時間にのどが渇いてもキッチンまで行く必要がなくなります。
家族で楽しむスペースと同様に、一人で落ち着けるスペースを充実させてストレスのない生活を送りましょう。
二世帯住宅を完全同居型で建てる場合
完全同居型とは、個人の部屋以外は全てを共有するスタイルです。
二世帯住宅といっても、家のつくりは一般住宅と変わりがありません。
完全同居型の基本的な、メリット・デメリットは次の通りです。
【完全同居型のメリット】
- お互いに助け合いやすい
- 一般住宅なので販売しやすい
- 家族の絆が生まれやすい
【完全同居型のデメリット】
- 生活リズムが違うとストレスになる
- プライバシーを守れるのは自分の部屋だけ
- お客様を呼びにくいことも
完全同居型のメリット・デメリットをもとに、母一人との二世帯住宅としておすすめなケースを見ていきましょう。
【母一人との同居】完全同居型がおすすめなポイント
完全同居型がおすすめなのは、同居する母親が妻側の場合、もしくは介護が必要な場合です。
同居する母親が妻側の場合
家事や子育てを主に妻側が行うご家庭がほとんどなので、必然的に家に居る時間が長くなります。
実の母親なら、一緒に過ごす時間が長くなってもストレスを感じにくいですし、子育ての相談やお願い事なども気軽にすることができます。
トラブルを0にすることは難しいかもしれませんが、話し合いができるので関係の修復に時間はかかりません。
介護が必要な場合
同居する母親が介護を必要とする場合、又は年齢的にサポートを必要とする時期が近いと思われる場合は完全同居型がおすすめです。
「介護」と言うと大げさかもしれませんが、何らかのサポートを必要とするなら、完全同居型のような距離感が便利です。
例えば食事の用意だけ子世帯がサポートするとしても、1日3回の食事となると負担は軽くありません。
「何が食べたいか」などを聞きにお部屋まで行くかもしれませんし、自室で食べることを希望されるなら配膳とお片付けなどが必要になります。
行き来するだけでもサポートする側の負担を減らしていきたいものですね。
また高齢者の体調は変わりやすいので、近い距離感で見守ることが大切です。
介護が必要な母親との同居は完全同居型のスタイルで、寄りそった生活を送りましょう。
完全同居型│間取りを決める時のポイント
完全同居型の二世帯住宅の場合、トイレは2つ用意しましょう。
一般住宅であってもトイレを2つ設置する家が多いですが、1つのおトイレを母親専用にするイメージです。
年齢を重ねるとトイレが近くなるのはもちろんですし、トイレに行くタイミングをズラすことはできなくなります。
トイレに行きたいのをガマンするのは体に良くないですし、家族が待っているかもと考えるとストレスになるでしょう。
できるだけ母親の部屋から近い場所にトイレを設置して、気兼ねなく使ってもらうことが母親の健康にも繋がります。
また介護が必要になったら、トイレが近いと非常に便利です。
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まとめ
今回は母一人と一緒に住むための二世帯住宅についてお伝えしてきました。
二世帯住宅には3つの型があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
完全分離型・・・プライバシーが守れる一方、コミュニケーションが取りにくい
部分共有型・・・同居のメリットを活かした、生活スタイルが整えられる
完全同居型・・・一つの家族として生活するイメージで、介護やサポートがしやすい
それぞれの特徴を活かして、お互いが暮らしやすい間取りにしていきましょう。