狭い家で子育てはどう?子育て家庭の間取り設計の考え方

 

子供が産まれたことでライフスタイルが変わるという方も多いでしょう。また、出産を機に家を新築したいと考える方も多いはずです。しかし、地域によっては土地が狭く家自体も狭い間取りの家になってしまうことがあるかもしれません。

 

その場合、家が狭いことが子育てに不利に働いてしまうのではないかとお悩みではありませんか?そこで今回は、狭い家でも快適に子育てができる間取り設計のコツについて紹介していきます。

 

− contents −
◼ 狭い家は子育てに向かない?狭い家にありがちなデメリット
◼ 狭い家でも子育てに余裕をもてる間取り設計のコツ
◼ 家を建てる=2階建てという概念を崩してみよう
◼ 狭い家でもストレスなく子育てを快適にしよう

■狭い家は子育てに向かない?狭い家にありがちなデメリット

 

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狭い家、延床面積が15坪以下の家を「狭小住宅」と呼びますが、狭い家と聞くとマイナスなイメージを抱いてしまう方も多いようです。まずここでは、狭い家にありがちなデメリットの例を紹介します。デメリットを理解したうえで、この後紹介する間取り設計のコツを参考にしてみてください。

 

・収納スペースが足りない

 

狭い家の一番の問題は、間取りの狭さが原因となる「収納スペースが足りない」といった問題です。収納スペースがない家は家のなかに行き場を失った物があふれ返り、散らかってしまいがちです。そうなってしまうと、もともと狭い家がさらに狭くなってしまうでしょう。

 

また、家族が増えればそれだけ収納スペースが必要となります。しかし、まずは家族の居住スペース、それぞれの部屋の確保が優先であるため、どうしても限られた間取りでは十分な収納スペースが確保できないのが現状でしょう。これは間取り設計を工夫するか物を減らさない限り、解消しにくい難しい課題となります。

 

・家事動線を確保できない

 

家事動線は日々の家事においてとても重要な要素です。十分な家事動線を確保できないと家事に際しての移動が多く、家事の効率が悪くなってしまいます。子供が産まれることで母親にかかる負担はおのずと増えますが、家事についても使い勝手の悪い家だとその負担は倍増するでしょう。

 

家事動線が悪い家の特徴は、物が多かったり間取りの配置ミスといったことが考えられます。とくに間取りに関しては、一つの目的を一つの場所で完結できない、必要な機能が必要な場所にないといった問題が挙げられるでしょう。この問題を解消するためには間取り自体を変更するしかないので、それができずに日々不便さを感じている方が多いようです。

 

・なにかと間取りの制限がある

 

狭い家だと使用できる面積も限られているため、色々な制限があります。たとえばキッチンスペースが狭く使いずらい、玄関スペースが狭くベビーカーを置けない、バスルームが狭く子供と一緒に入りずらい、他にも挙げればキリがありません。

 

間取りが狭いということはそれだけ機能も制限されがちであるため、当初希望していた暮らしができない可能性もあります。そのため、狭い家はよいイメージをもたれないことが多く、子育てにも不利に思われがちなのです。

 

■狭い家でも子育てに余裕をもてる間取り設計のコツ

 

ここまで狭い家のデメリットの例を挙げましたが、おそらくこれ以外にも実際に住んでみると不便に感じる点はまだまだあるでしょう。しかし、狭い家は決して悪いことばかりではないのです。そこでここでは、狭い家のメリットを挙げつつ、土地が狭いことを活かした間取り設計について解説していきます。

 

・狭い敷地をムダなく活かす

 

家を建てるためには土地が必要であり、建ぺい率にもよりますが、基本的には広い土地であればそれだけ大きな家を建てることができるでしょう。一方、土地が狭い場合には当然建てられる家も小さくなります。

 

では、その狭い土地を有効活用する方法はないのでしょうか。まず、土地が狭いということは、土地の価格自体は安いことが多いです。つまり、土地にかかる費用が安い分、建物自体に予算を充てられる可能性があります。そのため、なかには狭小住宅の構造を活かして地下室を設けたり、3階建て以上の多層階に屋上を設置するという方もいるのです。

 

狭小住宅だからできないことがあるのであれば、反対に通常の家ではなかなかできないことをやるというのも一つのアイデアとなります。

 

・狭い家だからこそデザインにこだわる

 

家を建てる際どのような家に住みたいか、どのような目的で家を建てるのかは住む人によって異なります。見た目を重視したい、機能性を重視したいといったように、なにを目的にするかで実際に立つ家は変わるのです。

 

土地が狭く家自体も小さくなるのであれば、その分家の外観・内装のデザインにこだわってみてはいかがでしょうか。大きな家をおしゃれにするよりも小さな家をおしゃれにする方が壁や床にしても施工面積が小さいため、かかるコストを抑えることが可能です。

 

なかには施工が複雑でコストがかかるものもありますが、家のデザインにこだわると住み心地もよく、狭くても快適な暮らしを送ることができます。機能よりも見た目を重視したプランニングも一つの手段として参考にしてみてください。

 

・子供と過ごす時間、空間を増やす

 

狭い家は一つひとつのスペースがコンパクトであり、部屋数も少ないことが多いです。ですがその分子供や家族と顔を合わせる機会は増えるでしょう。狭い家を少しでも広く見せるために、なるべく壁を取り払い空間をつなげるテクニックがありますが、その結果常に家族の様子を確認することができるのです。

 

これは小さなお子さんがいる家庭にとってはメリットであり、家族との時間を大切にしたいと考えるのであれば何よりも大きな魅力ではないでしょうか。とくに子供が小さいうちは目が離せないので、このような空間の使い方をしたいと考える方にとっては、広い家よりも狭い家の方がかえって都合がよいでしょう。

 

■家を建てる=2階建てという概念を崩してみよう

 

子育てにも適したこの事例をもっとみてみる▶▶

 

一戸建てを建てる際、通常は2階建ての家を想像するかもしれません。しかし、一戸建てはすべてが2階建てではなく平屋のような1階建てや3階以上の多層階の家もあるのです。今回は狭い家であるため、住宅に対して広い土地が必要となる平屋は対象となりませんが、3階以上の家についてはどうでしょうか。

 

建物の階層が増えるほど居住スペースが増えるので、単純に間取りがワンフロア分増えることになります。そうなれば家族の部屋を確保したり、十分な収納スペースを確保できるかもしれません。建築条件をクリアしていれば狭い土地でも4階建て、5階建てといった多層階の家を建てることが可能です。

 

また、子供が大きくなればいずれ子供部屋が必要となり、その人数が増えればさらに必要な部屋数は増えていきます。そのような場合にも多層階の家であれば対応できるため、たとえ一つひとつのスペースは小さくても活用の幅が広がるため子育てには適しているといえるのです。

 

■狭い家でもストレスなく子育てを快適にしよう

 

狭い家は子育てに適さずマイナスに思われがちですが、決してそうではありません。たとえ間取りが狭くても部屋の配置やデザインで住み心地をよくすることができるだけでなく、狭い家ならではのメリットもたくさんあるからです。

 

また、土地が狭く一つひとつの部屋が狭い家でも、階層を増やすことで広さの不利を解消することができます。そのため、新たに家を建てる際には土地の広さだけでなく、土地の値段や建築条件を確認し、どのような家を建てられるのかをしっかりと確認したうえで子育てに適した家づくりをしていくようにしてみてください。

 

 

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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