【狭小住宅】15坪以下でも大丈夫!敷地面積に左右されない住宅設計
敷地面積が15坪以下の土地に建てられる住宅を「狭小住宅」と呼ぶことが多いですが(明確な定義ではない)文字通り、狭い家ということになります。確かに15坪以下では決して広い家とは呼べませんが、土地が狭いから快適な家が建てられないということではありません。
そこで今回は、15坪以下の土地でも快適な家を建てるための間取り設計について紹介していきます。これから狭い土地での新築を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
− contents −
◼ 狭小住宅だからこそのメリットを紹介
◼ ここに注意!狭小住宅ならではのデメリット
◼ 15坪以下でも実現可能!狭小住宅を建てる際のコツとは
◼ 15坪以下でも満足のいく狭小住宅を建てよう
■狭小住宅だからこそのメリットを紹介
狭小住宅と聞くとマイナスなイメージを持ってしまう方もいるかもしれません。やはりどうしても、広い家に比べて狭い家は不便な点が多いように感じてしまうのでしょう。
しかし、実際は狭小住宅でも十分快適に暮らすことは可能であり、なかには狭小住宅ならではのメリットもあるのです。
ここでは、狭小住宅のメリットについて紹介していきます。
・都市部など立地条件が良い
狭小住宅は敷地面積が狭いのが特徴です。しかし、家を建てるための土地が狭い理由は都市部であるためそもそも広い土地が確保できない、という理由であることが多く、土地の狭ささえ問題にならなければ、駅が近いなど立地条件がいいことがあります。
そのため、通勤や通学に便利であったり生活に必要なものを買いに行く場所が多かったりといった、むしろ暮らすには好条件であることが多いということを覚えておきましょう。どんなに広い土地で大きな家が建てられても、ちょっと買い物に行くにも車で20分かかる、最寄りの駅まで徒歩30分かかるのであれば、それは果たして暮らしやすいといえるでしょうか。
多少土地が狭くても、生活の質自体は高いこともあるので、しっかりと周囲の環境も把握しておくことが重要です。
・土地代や固定資産税を安く抑えられる
狭小住宅の場合、土地自体が小さいため土地の値段が安いことが多いです。また、敷地面積に応じて固定資産税も安くなるため、コストを抑えることができます。
さらに、間取りが小さいために部屋間の距離が短く、部屋数自体が少ないことが多いです。そのため、エアコンの台数が少なくて済む、またはすぐに効くため電気代の節約にもなります。家を建てる際のコストや日々の生活にかかるコストを安く抑えられるのは大きなメリットであり、注目すべきポイントでもあるでしょう。
・デザイン性の高い住宅になる
狭小住宅の場合、土地にかかるコストが安い分建築費に多くのコストを充てられることがあります。そのため、建物の外観にもこだわることができるため、デザイン性の高い家が完成するでしょう。
広い土地で大きな家を建てる場合には土地代と基本的な建築費で多くの費用がかかりますが、狭小住宅であれば土地にお金をかけずに建物にお金をかける、といった予算の使い方ができるのです。
家の見た目にこだわりたい方であれば、外観に思い切って予算を割いてみてはいかがでしょうか。
・家族との距離が近い
狭小住宅は間取りの上限があり、各部屋の広さもある程度決まってきます。それはリビングでも同じことがいえ、家が狭いことで結果的に家族との距離が近くなるのです。そのため、頻繁に家族間でのコミュニケーションがとれ、家の中がいつも賑やかに感じるでしょう。
家族との時間を大切にしたいと考える方にとっては、大きなメリットとなるのではないでしょうか。家が狭いことをデメリットと捉えず、むしろ一番のメリットと考えることができるかもしれません。
■ここに注意!狭小住宅ならではのデメリット
狭小住宅は狭いながらも十分なメリットがあることを分かっていただけたでしょうか。しかし、狭小住宅を建てる際には必ず覚えておかなければならないポイントも存在します。これはただ間取りが狭いということではなく、そもそも家を建てる以前の話になるため、よく確認をしておくようにしてください。
・3階以上の木造住宅には制約がある
家を建てる際、敷地内であればどのような家を建てるのも自由というわけではありません。家を建てる際には、さまざまな建築規制によって制限を受けることがあるので注意しましょう。代表的なものに、防火地域指定や建ぺい率、斜線制限といったものがあります。
家を建てる予定の地域が防火地域に指定されている場合、3階建て以上の木造住宅を建てることができません。ただし、木造耐火建築物であれば建てることが可能です。また、準防火地域の場合には準耐火建築物とする必要があります。狭小住宅の場合、敷地の狭さを逆に利用し、3階建て以上の多層階住宅を建てる人も多いためこの点には注意する必要があります。
・建築費が高くなる可能性がある
家を建てる際、土地が広く建てる建物が大きいほど建築費も高くなると思われがちです。その点狭小住宅は土地も狭く建物も小さいため、建築費が安くなると感じるでしょうが、必ずしもそうではありません。
土地が狭いということはそれだけ材料や機材の搬入・搬出が困難であり、狭い土地に足場を組む手間や人件費をみたときにコストが割高となることがあります。同じ狭小地でも工事のしやすさで建築費は異なるため、土地を選ぶ際には工事のしやすさなど周囲の環境などもチェックしておくとよいでしょう。
■15坪以下でも実現可能!狭小住宅を建てる際のコツとは
15坪以下の敷地にいわゆる狭小住宅を建てる際、狭い間取りでも家を広く見せるためにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、狭小住宅のデメリットともいえる収納問題などいくつか存在する課題をクリアし、住みやすい家を建てるためのコツを紹介していきます。
・部屋を細かく仕切らない
狭小住宅は間取りが狭いため、部屋数を多くしてしまうとそれだけ一部屋当たりのスペースが狭くなってしまいます。そのため、なるべく部屋同士を壁で仕切らない工夫が必要です。リビングからつながる各々の部屋を仕切らず一つの空間としてしまうほか、スキップフロアなどを採用するのも手でしょう。
また、あえて廊下を作らないのも有効な手段です。廊下の分のスペースを部屋に割り当てることで、少しでも部屋を広くすることができます。
・スムーズな家事(生活)動線を意識する
住みやすい家の条件には「欲しいところに欲しい機能がある」「家の中での移動がしやすい」といったものがありますが、快適に暮らすために家事(生活)動線をしっかりと確保しましょう。
これらの動線は家の中でのムダな移動を減らし、なるべく少ない移動で目的を完結させるために必要なものとなります。そのため、狭い間取りでもそれぞれの部屋の位置や役割をしっかりと決めておかないと、狭い家の中をぐるぐる歩き回ることとなり不便です。
狭いながらも実際の生活を想定して間取り設計を行いましょう。
・収納スペースも忘れずに確保する
狭小住宅でありがちな失敗例として多いのが、収納スペースが足りないということです。これは間取りの狭さが大いに関係していますが、具体的な解決策は大きく分けて2つです。
一つ目は、建物自体を3階建て以上にするということ。狭小住宅を建てる際3階建てにする方は多く、敷地の狭さを補うために階層を増やして延べ床面積を広げるといった方法です。この方法であればフロアが一つ増えるため、さらに間取り設計の幅も広がり、十分な収納スペースを確保することができるでしょう。
二つ目は、小上がりやスキップフロアを活用すること。リビングに小上がりやスキップフロアを設けることでいわゆる「中二階」ができるため、これも延べ床面積を増やすのに効果的な方法といえます。それぞれのスペースには下に空間ができるため、その部分を収納スペースとして活用することができるでしょう。
■15坪以下でも満足のいく狭小住宅を建てよう
敷地面積が15坪以下の住宅、いわゆる狭小住宅ですが、土地が狭いことがすべてデメリットになるわけではありません。住む人や住む地域によっては十分なメリットになるほか、間取り設計や空間の使い方次第では住むうえで不自由なく、十分に快適な空間をつくることが可能です。
これから狭い土地での住宅計画を考えている方は、ぜひ今回の記事を参考に住む地域や予算、これらをしっかりと検討したうえで満足のいくマイホームを建ててください。