狭い家の間取りの考え方│狭小住宅を快適空間にするコツ
『狭い家』と聞くと、マイナスなイメージを持ってしまう方もいるのではないでしょうか。どうせ家を建てるなら広い家がいい、と思う方もいるでしょう。では実際に、狭い家は住みにくい家なのか、狭い家の特徴について紹介していきます。
間取りが狭くても快適な生活を送ることは可能であり、狭い家でも狭く見せないような工夫をすることもできます。これから住宅を購入する際、土地が限られていて狭い間取りの家になってしまう、という方もぜひ参考にしてみてください。
− contents −
◼ 狭い家でも快適に暮らせる間取り設計のコツ
◼ 狭い家にありがちな間取り上の弱点
◼ 狭小住宅であることを強みにするためには
◼ 狭い家でも間取り次第では快適満足な理想の家になる
■狭い家でも快適に暮らせる間取り設計のコツ
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最近では都心部でも比較的手ごろな価格でマイホームを購入することが可能になりました。しかし、敷地が広くないためどうしても狭い家となってしまうことが多いです。では、狭い間取りの家でも広く見せるためにはどのような工夫をすればよいのでしょうか。
・空間を広く見せるには
狭い家を広く見せるための方法はいくつか存在します。
まずは部屋のベースカラーをナチュラル・ホワイトにして、部屋全体を明るくすることです。特にホワイトは空間に広がりをもたらすカラーなので積極的に取り入れたいところ。
さらに、部屋に置く家具は背の低いものを選択し、視線が抜ける奥行きのある空間にするのがポイントです。鏡やガラスを取り入れると空間認識が変わり同様の効果をもたらしてくれます。家具を低くすることで上部に空間ができますが、足元にも空間をつくるために、余白やすき間を上手く活用しましょう。
また、家具は部屋の角に置いたり壁面に寄せることで使用できる床面積が広くなり、すっきりとした見た目になります。
・キッチンとリビングの相性
LDKの場合キッチンに物があふれかえっていると見た目が悪いだけでなく、空間全体が狭く感じます。なるべくキッチンには物を出しておかず、常に整理整頓をしておくとよいでしょう。
キッチンもリビングと同様に白を基調とした配色にするとリビングとの一体感が生まれ、LDK全体が統一感のある広々とした空間になります。
また、キッチンの収納も、棚を活用し「あえて見せる収納」をするとおしゃれな見た目となりますが、その際はなるべくすき間を空けて物を配置するようにしてください。
・とことんムダを省く
部屋の間取り上広さには限界があるため、少しでも広く使うためには「ムダなものを省く」必要があります。ここでいうムダなものとは、主に「空間」と「物」です。
間取り設計をする際、余計なスペースやムダなスペースはありませんか?いわゆるデッドスペースは特に使い道がなく、汚れが溜まってしまったりとあっていいことはないので、そのようなムダなスペースを作らない間取り設計が重要となります。
また、物に関しても同様に、物が多ければそれだけしまうスペースをとられてしまうため、極力持ち物は厳選して必要以上持たないようにしましょう。敷地を広げることができないのであれば、その分生活に必要なスペースを少しでも広く確保するためにも、不要なスペース・物を減らすことが重要です。
■狭い家にありがちな間取り上の弱点
狭い家に住んでいて、日常生活に不便さを感じている人も少なくないでしょう。では、狭い家ではどのような点で住みずらさを感じてしまうのでしょうか。ここでは、狭い家にありがちな生活の悩み、間取り上の弱点について紹介していきます。
・収納スペースが足りない
狭い家の一番のデメリットといってもよいのが、収納スペースが足りないことです。限られた間取りのなかで家族の部屋や生活スペースを確保すると、どうしても収納スペースは後回しになってしまい、結果十分な収納スペースが確保できないことがあります。
そのため、しまう場所がない物たちが家の中に散乱してしまい散らかってしまうのです。収納の問題を解決するためには、物を減らすか使えるスペースを有効的に収納として活用するほかないでしょう。壁面や階段下など、空いている空間を収納として活用するだけでなく、できてしまいがちなデッドスペースを収納として活用するといった工夫が必要です。
・家事動線が確保できない
家事動線が短い方が家事の効率がよく、日々の生活において快適な暮らしを送るためには欠かせない要素となります。しかし、狭い家では間取り上空間が分散していることが多く、一つの場所で必要な家事が完結しないことがあるでしょう。そうなってしまうと家事の効率も悪くなってしまうため、使い勝手の悪い、住みにくい家と感じてしまうのです。
このような問題を解決するためには、間取り設計の段階で家事をメインに行う人が負担にならないよう、洗濯や掃除がしやすいような間取りを組むことが重要となります。なるべく一つひとつの空間を近付け、動線が短くなるような工夫が必要となるでしょう。
・風通し、光の流れが悪い
狭い家の弱点として「風通しが悪い」「日当たりが悪い」といった問題が挙げられます。土地が狭い家は隣の家との距離が近く、これらの環境が悪いことが多いです。その結果、家の中が昼間でも暗かったり、風通しが悪いために湿気がこもってしまうといった問題が発生してしまいます。
この問題を解決するためには、2階以上の家であれば吹き抜けを作り採光を確保するといった方法が考えられます。または、天窓を設置し高いところから日光を取り入れるのがよいでしょう。
風通しについては吹き抜けも有効ですが、間取り面でみるなら玄関からリビングを一直線とし、なるべく風が通り抜けやすい工夫をすることが重要です。とくに夏場は湿気がこもってしまうとカビが発生する原因となるため、風通しの問題は解消しておくことをおすすめします。
■狭小住宅であることを強みにするためには
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狭い家に住むことで日常生活に起こりうる問題点について触れました。しかし、狭い家は決して悪いことばかりではないのです。なかには狭小住宅ならではのメリットともいえることもあるので、ここではそのメリットについて紹介していきます。
・土地が狭い=狭い家ではない
まず覚えていただきたいのは、土地が狭いから狭い家しか建てられないということではない、ということです。つまり、土地が狭くても階層を増やすことで十分快適な暮らしを送ることは可能となります。
狭小住宅の強みは、狭い土地の安さを活かして多階層の家を建てやすいというところにあるのです。土地の建築条件さえ満たしていれば地下室のある家や、3階建て以上の多階層の家を建てることも可能であるため、たとえば20坪に満たない土地でも二世帯住宅を建てることだってできます。
一つひとつの空間の狭さを階層で補うことでスペースにもゆとりができるので、余裕をもった間取り設計ができるでしょう。
・狭小住宅だからこそできることもある
狭小住宅は土地の価格が安いことが多いので、その分建物にコストをかけることが可能となります。では、そのメリットを活かして建物の外観にこだわってみてはいかがでしょうか。広い敷地の大きな家では土地と建築費に多くのコストがかかってしまうため、建物の見た目にまで多くのコストをかけることができないかもしれません。
しかし狭小住宅では外観にコストをかけられる分、おしゃれで独創的なデザインの家にすることもできるでしょう。家づくりにおいて見た目も重要な要素となるため、狭い家だからこそこだわれるポイントに重点を置いてみてはいかがでしょうか。
■狭い家でも間取り次第では快適満足な理想の家になる
狭い家は日常生活においてデメリットとなる点もあるでしょう。しかし、間取り次第では狭い家でも十分に家族が快適に暮らせる家となるのです。そのため、これから注文住宅を建てる方はたとえ土地が狭くても、工夫次第で満足な家を建てることは十分可能であると覚えておいてください。
今回紹介した間取り設計のコツ以外にも狭い間取りを有効活用した事例はたくさんあるので、ぜひそちらも参考にしていただければと思います。