狭小住宅でおしゃれに暮らす間取りのコツ

 

 

 

狭小住宅では、好きなインテリアにするのは難しい、狭いしおしゃれにするのなんて無理、安く抑えて建てたいからおしゃれになんてならない…と諦めていませんか?
狭小住宅でも、間取りを工夫することで、暮らしたい形を実現し、おしゃれに暮らすことができるんです。
今回は、狭小住宅の予算別プランニングや、間取りの考え方のコツをまとめてご紹介します。

このコラムが、これからの家づくりに役立ち、背中を押すきっかけになれば幸いです。

 

 

このコラムのポイント
・狭小住宅は、一般的には約15〜20坪以下の土地に建てられた狭く小さな家または延床面積約70平米の一戸建てのことです。
・キッチンやリビング、子供部屋など間取りを決める際に工夫できるポイントは多く、今後の住み心地を左右します。
・このコラムを読んで頂くことで、工夫次第で狭小住宅でもおしゃれに快適に暮らすことができることを知り、利便性の高い場所が家づくりの候補地に仲間入りします。

 

 

 

狭小住宅とは


 

そもそも狭小住宅とはどのくらいの広さの住宅を指すのでしょうか。狭い土地に建つ狭小住宅ですが、一般的には約15〜20坪以下の土地に建てられた狭く小さな家のことをいいます。延床面積約70平米の一戸建てのことを指す場合もあります。ただ、狭小住宅の定義は特に決まってはおらず、実際には業者によって異なる場合も多く、狭い土地に建つ家が総じて狭小住宅と言われています。

 

狭小住宅という選択は、都心部に家を持ちたい、利便性を重視して家を建てたい、など様々な多様性に対応しています。働き方も生活スタイルも、誰一人として同じではない分、何を選ぶかは今後の暮らしを左右する大きなポイントとなります。

 

 

 

予算別で考える狭小住宅


家づくりの方向性を左右する予算。まずは予算ごと(建物のみ)にどのような住宅を建てることができるのか、見てみましょう。

 

 

1.000万円台の狭小住宅

予算1.000万円台で建てる狭小住宅。予算としては少なめです。デコラティブなこだわった住宅というよりも、シンプルで機能的、スタイリッシュな住宅に仕上げることができます。
家の形は土地の形にもよりますが、正方形に近いすっきりとした形で、設計費や建築費を抑えることができます。外観もシンプルなデザインにすることで統一感も出ます。内装も、木やコンクリート打ちっ放しのような素材を活かすことで、どんな家具でも合わせやすくなります。

シンプルな作りだからこそ、間取りもシンプルに仕上げることができます。部屋数を増やさなくても、大きなリビングさえ確保できればいい、スタイリッシュにのびのび暮らしたいという方にとっては、少なめの予算でも満足して暮らすことができます。

 

 

2.000万円台の狭小住宅

予算2.000万円台で建てる狭小住宅。1.000万円台の家よりも、内装や設備などにこだわることができます。設備は素材やデザインにこだわることができるので家づくりの楽しみが増えますね。また、バルコニーや窓を増やすことも可能になります。窓やバルコニーといったような選択肢が増えることで、間取りの工夫もよりできるようになります。

 

 

3.000万円台の狭小住宅

予算3.000万円台で建てる狭小住宅。狭い土地とはいえ、しっかりとした予算を確保しているのでしっかりとこだわった住宅を建てることができます。

間取りやデザインの自由度はとても高いので、好きな間取りやデザインが可能になります。好きな要素をしっかりと詰めて建てているので、満足度も高くなります。

 

 

このように予算別で差は生まれますが、どんな住宅を建てたいか、どんな暮らしを実現したいかをしっかりと考えた上で資金を用意するようにすることで、予算が足りない不安や来ていない未来に焦ることがなくなります。

 

 

 

間取りの考え方とコツ


では、間取りの考え方としてどのような方法があるでしょうか。場所別にご紹介していきましょう。

 

キッチンの間取り


キッチンの間取りを考える際は、誰がどんな頻度でキッチンに立つのか、どの時間帯に料理をするのか、どのくらいの人数が立てるスペースがあればいいのかなどを考えます。その上で、一連の動きをシミレーションし、作業効率のいい間取りを考えていきます。そうすることで、作業スペース、収納スペース、収納や家電の位置関係などに無駄がない間取りになります。

 

また、食料品の買い置きや収納のためにパントリーを設置することも検討してみてください。共働きで買い出しの時間がなく、一度に多くの買い出しをする、野菜やお米を大量にストックする、という方には重宝されています。収納だけでなく、昨今多く発生している災害にもしっかりと備えることができます。

 

 

階段の間取り


階段は上下階を縦にまっすぐ繋ぐものから、らせん状に繋ぐものまで様々です。空間をしっかりと分けたい場合は、部屋の形や空間に応じた階段を選択するようにしましょう。

また、スキップフロアにすると実際の面積以上に空間に奥行きを感じることができます。

 

スキップフロアとは

 

床の一部に高低差を設け、数段の階段でつなげるもののことです。1.5階、2.5階ができるようなイメージを持ってもらうと分かりやすいかもしれません。スキップフロアはフロア同士を半階ごとにつなぎ、視界を縦に広げるだけでなく、新たな居住スペースや収納スペースも生み出します。1.5階または2.5階を作ることで、段差そのものが空間を区切る役割を果たしてくれ、縦の空間を最大限活用することができます。

 

スキップフロアがあると廊下が必要なくなります。その分、各階の居住スペースを広くすることができます。廊下の幅は一般的に80センチとされており、この分を省き居室スペースとして活用できるのは、狭小住宅にとって大きなメリットですね。

 

また、スキップフロアによって生まれた空間を、子どもの遊び場やちょっとした書斎、収納スペースにするということができます。スキップフロアひとつで、狭小住宅として存分に空間を活用することができます。

 

 

リビングの間取り


狭小住宅のリビングは、天井を高くする、吹き抜けを作るなどで広々とした空間を感じることができます。家族でゆっくり過ごすために、穏やかな時間の流れを感じることができる空間に仕上げましょう。

リビングに窓をつくるときは天井ギリギリまでガラスにする、小さくても複数の窓を設置する、など施すことで、室内に光が行きわたります。また空がより遠くまで見えることで、空間の広がりや奥行きを室内ながらも感じることができます。窓が難しければ、大きな鏡を取り付けることでも空間を広く感じることができます。

 

 

子供部屋の間取り


小さいうちは必要ないと思っていても、いずれ必要になってくるのが子供部屋です。とはいえ、狭小住宅に子供部屋を設置するのは正直厳しい…と思う方も多いかもしれません。こんな時にオススメなのが、ロフトを設けるという方法です。

 

ロフトとは

 

天井高を高くして部屋の一部を2層式にした上部スペースのことです。建築基準法上の採光・換気の基準を満たしていないので、居室とは認められませんが、新たにスペースを増やすことができるので、狭小住宅にとってはとても有効です。

 

ロフトは、子どもが小さいうちは物置きや書斎に利用し、子どもが大きくなれば子供部屋に利用することができます。将来的な暮らしの変化は予測できないので、フレキシブルに対応できるような間取りにしておきましょう。

 

 

 

おしゃれで快適な暮らしをするために


狭小住宅だからといって、理想の暮らしが実現できない、おしゃれな暮らしができないわけではありません。工夫次第で、快適な暮らしに近づけることは可能です。狭いから…といって快適さを諦めるのではなく、できることからより快適な暮らしを目指していきましょう。

 

狭小住宅として参考になる建築実例がたくさんあります。お好みの建築実例をぜひご覧になってみてください。

LINEでお問い合わせ

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

詳しいプロフィールはこちら