【基礎知識】どうする?二世帯住宅の間取り
家族同士の絆を感じながら、支え合って生活していくことができる二世帯住宅。いい面もたくさんありますが、違う人間同士が暮らしていくので、違いはどうしても生じてしまいます。
二世帯住宅として新たにリフォームを検討する時、どのような間取りにするか迷ってしまう、お互いの世帯での意見のすり合わせがうまくいかない、などの問題が生じてしまうまえに、できる準備はしておきましょう。
今回は、二世帯住宅で暮らす良さや間取りのパターン、間取りを決める時のポイントをご紹介します。
このコラムのPOINT
・二世帯住宅での暮らしは、日常的にサポートし合うことで家族同士の絆が深まるだけでなく、経済面での負担を減らしていくことができます。
・間取りを決める際は、生活スタイルや将来ビジョンを考慮した上で、親世帯と子世帯双方が快適に暮らすことができる間取りにすることが重要です。
・このコラムを読んで頂くことで、二世帯住宅での暮らしをイメージすることができ、リフォームする際の参考にすることができます。
二世帯住宅での暮らし
二世帯住宅は、2つの世帯が暮らしを共にすることです。人とのつながりが希薄になってきたと言われる昨今ですが、共に暮らすことで改めて家族のつながりや関係性を意識することができます。
◼︎ 家族の絆が深まる
共に暮らすことで、家族全員で支え合って生活していこうという姿勢が強くなります。家族が身近にいるというだけで、何かあった時は心強いです。日常のふとした瞬間だけでなく、何か災害が起こった時にさらに深く実感するでしょう。家族で支え合う大切さを感じながら、生活していくことができます。
◼︎ 世帯同士でお互いにサポート
保育園や塾への子どもの送り迎えや買い物など、日常の用事で人手があれば心強いものです。子世帯が共働きであれば、勤務中は自由がきかないことも多くなります。そんな時でも、親世帯のサポートがあるので安心して任せることができます。親世帯も、重労働は子世帯に手伝ってもらう、いざ介護が必要になった時にサポートしてもらう、など生活の中でお互いが助け合いながら生活を築き上げていくことができます。
◼︎ 経済面の負担減少
トイレ、バスルーム、リビングなどの共有スペースがあれば、水道光熱費を安く抑えることができます。また、建物にかかる維持費もそこまで多くかかりません。公共交通機関が発達している地域であれば、1台の車を親世帯と子世帯で共有することもできますし、2台あったとしても維持費は半分の負担で済みます。単身世帯で生活するよりも、経済的な負担が少なくなります。
また、二世帯住宅であれば相続にかかる税金が軽減されます。2010年から相続税の課税が厳しくなり、納税対象になる可能性がある人は増えてきています。もし、親世帯のどちらかが亡くなったとしても、故人が住んでいた2世帯住宅に同居の相続人が住み続ける場合、適用条件はありますが『小規模宅地の特例』という敷地面積の240m²まで相続税評価額が80%減額になる措置があります。
二世帯住宅は3タイプの間取り
二世帯住宅の間取りは、大きく3つのタイプに分けることができます。
完全分離型
親世帯と子世帯の生活空間が、完全に分けられている間取りです。玄関、バスルーム、トイレ、リビングなどすべてが分かれています。
双方の家を横に並べる左右分離型と、双方の家を積み重ねる上下分離型があります。左右分離型は、広い敷地を必要とするため土地代がかかります。上下分離型は左右分離型と違い土地代はかかりませんが、生活リズムがずれている場合は生活音が気になりやすくなります。
部分共有型
親世帯と子世帯の生活空間を、部分的に共有している間取りです。玄関だけ、玄関とリビング、キッチンを共有、など様々なパターンがあります。
共有する設備が多ければリフォーム代金が安く済みますが、お互いのプライバシーは守られにくくなります。
完全共有型
親世帯と子世帯が、完全に同じ空間で生活する間取りです。プライバシーはあまり守られず、個室以外は完全に共有です。
トイレや洗面所など、費用はかかりますが使用頻度が高い設備を増やすことで、生活の中でのお互いの不満を抑えることができます。
このように、生活スタイルや予算に合わせて間取りを考えていく必要があります。双方の将来設計や希望をすり合わせながら、今後のリフォーム計画を進めていきましょう。
間取りを決めるポイントは
二世帯住宅の間取りを決める際には、ポイントをしっかり抑えることで、双方が納得した上で気持ちよい暮らしを実現していくことができます。
◼︎ 家族構成とそれぞれのライフスタイル
距離感を程よく保ちながら、二世帯住宅で暮らしていくためには、お互いの生活時間帯の違いを踏まえて間取りを考える必要があります。
朝起きる時間や食事、入浴、就寝に至るまで、高齢者と現役世代とでは生活の時間帯が大きく異なります。どちらかの世帯が就寝中に、どちらかの世帯の活動時間ということは多々あります。そのため、生活音が影響しないように、寝室を水回りに隣接させないなどの工夫が必要です。
小さなストレスがたまり、大きなトラブルが引き起こされた…ということは多々あります。ライフスタイルは、一緒に住んでみてからわかることもありますが、避けられるトラブルは、事前に避けるように間取りを決める段階で配慮しておきましょう。
◼︎ 経済性も配慮
二世帯住宅にリフォームする際、予算はもちろん重要です。後々トラブルにならないようにするためにも、資金計画についてはしっかりと話し合った上で間取りを考えていきましょう。
親子でローンを組む場合、親子それぞれが別々にローンを組む形であれば、さほどトラブルにはなりません。しかし、子が親のローンを引き継いだ場合、子が先立ってしまった場合など、将来のことも念頭に置きつつ無理のない資金計画を立てましょう。相続時精算課税制度を使うと2500万円の贈与までは贈与税がかかりません。しかし、贈与分が相続時に財産に加算されます。生前に現金で贈与を受けるよりも、不動産という形で自宅を相続したほうが負担は軽くなります。
◼︎ 今後のビジョンや生活の変化
現段階では、親世帯も子世帯も元気で生活することができています。しかし、数年も経てば、生活は変化していきます。
親世帯に介護が必要になった場合、車いすや病院のタンカーなどがスムーズに敷地内、玄関に入ってくることができるか、子世帯が留守中でも介護ヘルパーさんが来やすいかなども配慮しておきましょう。
また、子世帯の子どもが大きくなったり、進学で家を離れたりして家族構成が今と変わった場合にも、柔軟に変更しやすい間取りにしておくことも重要です。
このように、様々な視点から見た上で二世帯住宅の間取りを決めていきましょう。
二世帯住宅の間取りに迷ったら
二世帯住宅で暮らしていくことで、安心につながる部分もありますが、別々の世帯が一緒に住むという不安や、良好な関係性を築いていくことができるのかなどの不安も多々あると思います。
二世帯住宅に関する情報をしっかりと集めつつ、親世帯と子世帯でじっくりと話し合いをしながら、計画を立てていきましょう。
具合的にどのくらいの予算が必要なのか、やってみたい間取り案があるが採用してもらえるのか、工期はどのくらいかかるのかなどの疑問にも丁寧にお答えいたします。
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